記事 3047番  最新の記事 <前の記事 後の記事> 2020/2/23
教育における、垂直統合から水平分業への流れ
森川林 2017/09/22 17:40 


 垂直統合から水平分業へということで、コンピュータ産業が構造転換したときの様子を図解でわかりやすく説明しているページがありました。
パラノイアだけが生き残る
(池田信夫氏のブログより)
 この記事の趣旨は、自動車産業においても、EV化が水平分業の形で進むということです。

 しかし、私は、ここから連想して、教育産業にも同じことがあてはまると思いました。

 今の教育の本流は、垂直統合です。
 学校という場が、教材も先生も教室も用意して、垂直統合的に子供の教育を行っています。
 部分的に、学校とは別の習い事に行ったり、学習塾に行ったりする面はありますが、それは本流ではありません。

 しかし、インターネットの活用が、今後、教育においても、水平分業を進めていくと考えられます。
 そのひとつの象徴が、年々増加する不登校という現象です。

 平成27年度の調査によると、小学生の生徒数は654万人と、前年度よりも6万人減っています。
 しかし、不登校の数は2万6千人と2千人も増えています。
 中学生の場合は、347万人と前年度よりも4万人減っています。
 しかし、不登校の数は9万7千人と2千人も増えています。
平成27年度学校基本調査(確定値)の公表について

 ありえないことですが、このグラフをずっとそのまま延長していけば、やがて生徒数よりも不登校の数の方が多くなる時期が来るということです。

 不登校というと、まるで学校に登校することが当然のことで、登校しないことが例外的なことのように思われがちですが、そういうことはありません。

 私自身の子供時代をふりかえっても、学校の勉強は本当に退屈でした。
 いつも、窓から外を見ては、スズメなどの小鳥は自由でいいなあと思っていたものです。

 ただ、当時は不登校という選択肢があるとは知らなかったので、つまらなくても我慢して学校には行くものだと思って行っていただけです。
 そのときに自分を励ます言葉が、「○○ちゃんに会うために行くんだ」ということでした。

 もちろん、中には学校が好きでたまらないという人もいると思いますが、私は自分の経験から、不登校というのはごく普通のことのように思っています。

 ところが、昔は、学校の垂直統合度が今よりも高かったので、学校に行かないと勉強がわからなくなるという心配がありました。
 学校以外の選択肢というものが、あまりなかったのです。

 しかし、今は、学校以外の選択肢はかなりあります。

 それにも増して重要なことは、フリースクールなどのやはり垂直統合型の学習の場を選ぶ以外に、水平分業型の勉強もできるようになっていることです。

 それを可能にしたのは、やはりインターネットによる情報流通と交流機会の増加です。
 今は、家庭でいながらにして、教材と先生と教室を水平分業的に選べるようになっているのです。

 この水平分業的な選択がこれから増えてくると思われるのは、勉強の目的がこれまでの単線型の受験中心から、それぞれの生徒の関心や希望に応じたものになっていくからです。

 ここでコンピュータ産業が、水平分業型に移行した際、主要なプレーヤーがIBMからマイクロソフトに移ったのと同じようなことが、教育産業においても起きてくると思われます。

 それを私は、教材でも、先生でも、教室でもなく、一緒に勉強する友達ではないかと考えています。
 人間にとって、最も重要な選択の基準は、居心地のいい仲間と一緒にいることです。
 それは、勉強のような、それ自体は友達との交流が不可欠ではない分野についても言えることです。

 言葉の森も、そういう友達との交流ができるような学習機会を通信教育の中で作っていきたいと思っています。
 参加フォーム/言葉の森企画
国語力がつく読解検定2月
学校、塾、地域の団体受検もできます。 解き方のコツは、「読解・作文力の本」を参考にしてください。 言葉の森
 

同じカテゴリーの記事
同じカテゴリーの記事は、こちらをごらんください。
言葉の森のビジョン(51) 教育論文化論(255) 

コメント欄

森川林 2017年9月22日 17時55分 1 
 今はまだ、学校のような勉強全体を見てくれるところに頼らなければ、家庭だけで子供を教育するのは難しいと感じている人が多いと思います。
 しかし、条件としては、家庭学習だけで、学校と同じ勉強をすることは十分に可能になっています。
 と考えてみると、最後に残る重要な要素は、友達の存在ではないかと思いました。


nane 2017年9月22日 18時6分 1 
 コンピュータ産業においては、グローバル化が進みました。
 それは、IT技術が基本的にコピーが可能なものを対象にしていたからです。
 しかし、これからの教育文化産業においては、対象はコピーできない個々の人間になります。
 だから、これからの産業は、ネット上のローカル化が進んでいくのです。


コメントフォーム
教育における、垂直統合から水平分業への流れ 森川林 20170922 に対するコメント

▼コメントはどなたでも自由にお書きください。
しすせそ (スパム投稿を防ぐために五十音表の「しすせそ」の続く1文字を入れてください。)
 ハンドルネーム又はコード:

(za=森友メール用コード
 フォームに直接書くよりも、別に書いたものをコピーする方が便利です。
新着コメント1~3件
3.1週の授業 nane
 せいかつ文化コースの動画には、子供のこ 2/22
3.1週の授業 森川林
 「雑草の枯れ草で納豆を作ろう」というの 2/22
読点の打ち方 匿名
このもんだいすき 2/21
……次のコメント

オープン教育 1~3件
オープンの川
鳥の村 1~3件
鳥の村
虹の谷 1~3件
虹の谷
過去の記事

過去の1~30件目を表示
■国語力アップの秘訣(2)――問題集読書のすすめ 9月21日
■国語力アップの秘訣(1)――読む力をつける 9月20日
■「作文が全然書けないんです」という相談 9月19日
■読む力書く力をつける言葉の森の読書作文教育 9月18日
■書を持って街に出よう 9月17日
■作文の勉強が親子バトルにならないようにする方法 9月16日
■森林プロジェクトの作文資格講師講座の料金改定前の受講申し込みは9月20日締め切り 9月15日
■国語力は忘れたころについてくる 9月15日
■作文は人に見てもらうことでうまくなる 9月14日
■作文は準備のときに考える――将来の目標は10分1000字作文(構想図の例付き) 9月13日
■作文はできることに力を入れるから楽しく書ける(2) 9月12日
■作文はできることに力を入れるから楽しく書ける(1) 9月12日
■見えるのは結果だが、身につくのは過程 9月11日
■未来の教育作り――言葉の森の今後の方針 9月11日
■1677万色の自然 9月10日
■幼児期からの英語教育より、日本語の土台を作ること 9月10日
■小学1、2年生の作文は、書くことよりも読むことに力を入れる 9月9日
■森林プロジェクト9.9説明会のご案内 9月8日
■低学年の勉強は、能率第二、納得第一で 9月8日
■公立中高一貫校受験という選択(2) 9月8日
■真面目な先生より面白い先生――子供が勉強に熱中するとき 9月7日
■公立中高一貫校受験という選択(1) 9月7日
■勘違いの勉強のさせ方――自分の力でやらせようとする 9月6日
■小学1年生は勉強の仕方を確立する大事な時期――間違いは褒めて直すもの 9月5日
■小学4年生が反抗期の始まり=自立の始まり 9月4日
■分かりやすい映像の授業で思考力が低下する――考える力は文章を読むことによって育つ 9月3日
■小学校低学年の日記の宿題を国語力アップに生かす 9月2日
■中学生になって本を読まなくなるのは、小学校高学年のころの読書のあり方に遠因 9月1日
■森林プロジェクト問い合わせの人にお送りした「読書感想文の書き方」に多数の誤字と文字化け 8月31日
■人口の教育から自然の教育へ 8月31日
……前の30件
RSS
RSSフィード

カテゴリー
全カテゴリー

QRコード


通学できる作文教室
森林プロジェクトの作文教室

リンク集
現在作成中です。





 
小学生、中学生、高校生の作文(2007年4月まで)
小学1年生の作文(9) 小学2年生の作文(38) 小学3年生の作文(22) 小学4年生の作文(55)
小学5年生の作文(100) 小学6年生の作文(281) 中学1年生の作文(174) 中学2年生の作文(100)
中学3年生の作文(71) 高校1年生の作文(68) 高校2年生の作文(30) 高校3年生の作文(8)
手書きの作文と講評はここには掲載していません。続きは「作文の丘から」をごらんください。