楽しさ一番、学問二番、そして三番目は創造性 作文が早く書ける「音声入力オンライン講座」5月26日(土)11:00 心に残る勉強、心に残らない勉強 寺子屋オンラインの発表学習コース 【合格速報】都立白鴎高校・私立武蔵野大学附属千代田高等学院

記事 3312番  最新の記事 <一つ前の記事 一つ後の記事> 2018/6/23 
どんな本を読むか。その前に読まない方がよさそうな本
森川林 2018/05/20 11:19 

 子供の読む本についての質問を受けることが時どきあります。
 その内容は、どういう本を読んだらよいかというものです。

 確かに、子供にとってよい本を見つけるというのは、大人になってしまうと分かりにくくなります。
 しかし、世の中で読む本は無数にあり、子供たちの本を読む速さは、小学生で1週間平均2冊ですから、年間で約100冊です。
 そう考えると、どんな本を読むかという書名を指定するよりも、どういう本を読んでいくかという方向性を決めておく方が大事だと思うのです。

 その方向性を決める際に、私が考える「読まない方がよさそうな本」というものを挙げてみます。
 それは、子供たちの読んでいる本を見て、時どき疑問に思ったことがあるからです。

 読まない方がよさそうな本の第一は、怖い本です。
 子供たちは、怖いもの見たさという人間には誰でもある心理を持っているので、怖い本というものを意外と喜びます。

 大人は、子供が喜んでいるのだからと思い、そういう本をすすめてしまいがちです。
 しかし、これは、岡潔さんの言う「無明(むみょう)」を子供の心に育てていることだと思うのです。
 子供に限らず、大人でも、怖い話や怖いニュースはよく話題にされがちです。
 それは、無明というものが、人を引きつける力があるからです。

 子供が成長期に読む本は、明るく前向きな、美しい、人生を肯定するような本であるべきだと思います。
 きわめて単純なことです。
 こういう単純なことを、図書選びの基本方針とすることがまず第一です。

 第二に、これは読まなくてもいい本とは言いませんが、それほどおすすめしないという本です。
 それは、「何年生の読み物」というような、短編がいくつかまとめられて編集された本です。
 こういう物語やエッセイが短くつながった本は、手軽に読めるという面があります。
 しかし、それが逆に熱中して読み続けるという、読書の喜びのいちばんの要になる経験をさせにくくします。

 昔、「天声人語」を集めた本を読んだことがありますが、途中ですぐに眠くなりました。
 800字程度の短いエッセイが、次々と始まり、次々と終わるというような本は頭脳を疲労させるのです。

 本の面白さというものは、熱中してその本の世界に没入するところにあります。
 ところが、名作を短編にして、それを数多く並べた「何年生の読み物」という本は、子供が我を忘れて読むということがあまりありません。
 まるで体によいと言われる薬でものむように、その本を少し読んではおしまいにし、また次の日に少し読んではおしまいにする、というような読み方になりがちなのです。

 しかし、短編集であっても、熱中できる本ももちろんあります。
 私が、子供のころ読んだ「世界ふしぎめぐり」という本は、読んでいるとき、声をかけられても気がつかないほど熱中して読んだ経験があります。
 だから、短編集かどうかということよりも、子供が熱中して読めるかどうかということが大事なのだと思います。

▽参考「春風夏雨」(岡潔)より
====
「無明」
 前に京都に行ってピカソの展覧会を見たことがある。馬と女性の二種類の図柄の絵が大部分だったが、そこでわかったことは、これはひっきょう「無明」と呼ばれているものを描いたものだなということだった。無明をこれほどうまく描いているのは全く初めてだ。
 無明というのは仏教の言葉で、私の信奉している山崎弁栄上人の解釈によると、生きようとする盲目的意志のことである。盲目的であるにせよ、ともかく生きようとする意志のことなのだから、それほど恐ろしいものではないだろうし、また、少くとも六道のうちの最高の序列にある人・天の二道における無明は程度が知れていると考えていた。しかし、このピカソの絵を見て、生きんとする盲目的意志がどんなに恐ろしいものかがよくわかった。
 そこに描き出されたものは全く無明そのものなのだった。だから会場でも、一つの絵の前に立ち止ってゆっくり眺めようという気がせず、また二度も見ようなどとは思わず、二十分足らずで出て来てしまったのだった。
 そうして帰りがけに人の顔を見ると、どの顔にも無明が見えて仕方がない。というより、人の顔が無明そのものになっているという感じだった。
(中略)
 ピカソの絵は美を描いたものとはいえない。ここには芥川龍之介のいう「悠久なものの影」は見当らない。しかし、すぐれた人の文化的な作品には違いない。彼が巨匠であることはまぎれもない事実で、その作品は巨匠の傑作というほかはない。彼は醜悪なものを絶えず見つめることによって、その本質を描けるようになったといってよい。
====

同じカテゴリーの記事
同じカテゴリーの記事は、こちらをごらんください。
読書(95) 

コメント欄

森川林 2018年5月20日 11時38分  
 子供の本選びのことを考えていて、岡潔さんの「無明」の話とつながることがあると思いました。
 子供は、無明の方を選んでしまうことも多いのです。


nane 2018年5月20日 11時50分  
 若いときは、無明の方に真実があると思いがちです。
 しかし、無明を直視しようというのは、無明に負けていることです。
 では、現にある無明をどうするのかというと、それは無明のない世界を創造することです。
 例えば、「人間が食べるためには生き物を殺さなければならない」というのは、真実ではなく無明です。
 生き物を殺さなくても食べられるものを創造すればいいだけです。
 たとえ時間はかかっても、こういう方向がわかれば、無明の周囲を堂々巡りをする必要はなくなります。
 これが、手塚治虫の「ジャングル大帝レオ」のひとつの主題になっているのではないかと思います。
 話が飛びすぎか(笑)。


nane 2018年5月20日 12時9分  
 無明とは、暴飲暴食や二日酔いのことです。
 たまには、そういうことがあっても人間味があっていいのです。(よくないか)
 しかし、暴飲暴食や二日酔いが人間の真実ではないということです。

コメントフォーム
どんな本を読むか。その前に読まない方がよさそうな本 森川林 20180520 に対するコメント

▽コメントはここにお書きください。
なにぬね (スパム投稿を防ぐために五十音表の「なにぬね」の続く1文字を入れてください。)
 ハンドルネーム又はコード:

(za=森友メール用コード
 フォームに直接書くよりも、別に書いたものをコピーする方が便利です。
メルマガの配信
▼バックナンバー
○一般用 ダイジェスト版
○生徒用 完全版

Facebookページ
言葉の森作文ネットワーク
いいね! 17,226件
新着コメント1~10件
ゲームは飽きる nane
 一時、ゲーミフィケーションという教育方 6/21
ゲームは飽きる 森川林
 ものごとを合理的に考え能率よく進めると 6/21
海外帰国子女枠 森川林
 海外帰国子女の方の勉強に関する情報交換 6/21
海外帰国子女枠 nane
 海外帰国子女で、中学入試に作文の試験を 6/20
海外帰国子女枠 森川林
 言葉の森の受験作文小論文指導は、どこの 6/20
繰り返し読むの nane
 将来のデジタルブックは、ページが空間の 6/19
繰り返し読むの 森川林
 読書は、紙の本でなければ、人間の身体に 6/19
誰でも暗唱がで 森川林
 国語力をつける方法としては、読書と音読 6/18
誰でも暗唱がで nane
 なお、暗唱検定試験は1回500円、オン 6/18
誤字対策は漢字 匿名
「大幅な原点になってしまうことがあります 6/16
……次のコメント

オープン教育 1~10件
オープンの川
過去の記事

過去の1~30件目を表示
■楽しさ一番、学問二番、そして三番目は創造性 5月19日
■作文が早く書ける「音声入力オンライン講座」5月26日(土)11:00 5月17日
■心に残る勉強、心に残らない勉強 5月17日
■寺子屋オンラインの発表学習コース 5月16日
■【合格速報】都立白鴎高校・私立武蔵野大学附属千代田高等学院 5月14日
■思考力、表現力、創造力とは、岡潔さんの言う「わかるまでやめない力」 5月12日
■「寺子屋オンライン」の案内を更新しました 5月11日
■那須高原の読書作文キャンプの予定 5月11日
■子供に勉強させるというより、親子で勉強を楽しむ 5月11日
■勉強は、親と子と先生の二人三脚で 5月10日
■寺オン作文クラス発表学習クラスの5.3週の授業の動画をアップ 5月9日
■5月9日(水)本日、森林プロジェクトの交流会「森プロ交」を行います 5月9日
■勝海舟とコピー機 5月8日
■【連絡】スマホアプリ終了。今後は、ウェブを中心に 5月7日
■「寺子屋オンライン案内」のページを改訂しました 5月6日
■未来の教育の要は創造教育――その基盤は家庭の創造文化 5月4日
■限りなく高度になる可能性のある「新ゆとり教育」 5月3日
■楽しんでできる勉強が、理想の勉強の姿 5月1日
■入れる勉強から出す勉強へ 4月29日
■分離の教育から統合の教育へ 4月28日
■やり続ける力でいつの間にか山頂に着く 4月27日
■分科会場/動物広場を作りました 4月27日
■お父さんやお母さんとの対話が賢い子供を育てる 4月26日
■寺子屋オンラインの発表学習クラスで、生徒の希望に応じた分科会学習を計画中――学年別保護者会もGoogle+コミュニティで 4月25日
■作文は伸ばすのが先、直すのは後 4月24日
■受験作文の解説5.1週 4月23日
■勉強の基本を押さえた上で、読む力と書く力と経験する力をつける 4月22日
■森林プロジェクトで描く未来の教育のビジョン 4月21日
■答えを探す勉強より問題を作る勉強の方が難しい、そして力がつく 4月20日
■部活のノリで勉強する子供たち 4月19日
……前の30件
HPの記事検索
ホームページの全記事

 言葉の森新聞

Google+ページ
言葉の森作文オンエア

Twitter
言葉の森@kotomori

RSS
RSSリーダー

代表プロフィール
森川林(本名中根克明)

講師ブログ
言葉の森の講師のブログ

算数の通信教育
できた君の算数クラブ

カテゴリー
全カテゴリー
ICT教育(1)
遊び(6)
新しい産業(23)
暗唱(121)
生き方(41)
息抜き(19)
いじめ(1)
インターネット(25)
英語教育(10)
オープン教育(24)
親子作文コース(9)
オンエア講座(41)
音声入力(10)
音読(22)
オンライン作文(2)
外国人と日本語(4)
科学(5)
学問コース(1)
学力テスト(2)
合宿(14)
家庭学習(92)
家庭で教える作文(55)
漢字(17)
帰国子女(12)
教育技術(5)
教育論文化論(255)
教室の話題(26)
行事と文化(1)
ゲーム的教育(4)
合格情報(27)
高校入試作文小論文(10)
構成図(25)
公立中高一貫校(63)
国語問題(15)
国語力読解力(155)
子育て(117)
言の葉クラブ(2)
言葉の森サイト(41)
言葉の森の特徴(83)
言葉の森のビジョン(51)
子供たちの作文(59)
作文教育(134)
作文検定試験(4)
作文の書き方(108)
算数・数学(22)
自習検定試験(10)
自習表(5)
自然災害(1)
実行課題(9)
質問と意見(39)
受験作文小論文(89)
小学校低学年(79)
森林プロジェクト(50)
政治経済(63)
生徒父母向け記事(61)
生徒父母連絡(78)
全教科指導(2)
センター試験(7)
創造が価値の源泉となる社会(9)
大学入試(14)
対話(45)
他の教室との違い(22)
知のパラダイム(15)
中学生の勉强(21)
中高一貫校(11)
寺子屋オンライン(101)
読書(95)
読書感想文(19)
読書実験クラブ(9)
友達サイト(7)
日本(39)
日本語脳(15)
発達障害(1)
東日本大震災(15)
facebook(29)
facebookの記事(165)
プレゼン作文発表会(20)
プログラミング教育(5)
勉強の仕方(119)
未来の教育(31)
MOOC(2)
無の文化(9)
メディア(8)
森の学校オンライン(2)
森リン(103)
問題集読書(33)
読み物(1)
四行詩(13)
未分類(378)

QRコード






 
小学生、中学生、高校生の作文(2007年4月まで)
小学1年生の作文(9) 小学2年生の作文(38) 小学3年生の作文(22) 小学4年生の作文(55)
小学5年生の作文(100) 小学6年生の作文(281) 中学1年生の作文(174) 中学2年生の作文(100)
中学3年生の作文(71) 高校1年生の作文(68) 高校2年生の作文(30) 高校3年生の作文(8)
手書きの作文と講評はここには掲載していません。続きは「作文の丘から」をごらんください。

Donate with IndieSquare