記事 3632番  最新の記事 <一つ前の記事 一つ後の記事> 2019/5/25 
小学1、2年生は勉強のスタイルを決めることが大事――高学年も中高生も基本は同じ
森川林 2019/03/17 08:02 

 小学1、2年生は、勉強に取り組む姿勢の基礎ができる時期です。
 この時期の勉強は、内容的には難しいことは何もありませんから、勉強の内容や時間ではなく(むしろ時間は少ない方がいい)、勉強に取り組むスタイルを作っていく時期です。

 では、よい勉強のスタイルは何かと言うと、毎日同じことを、同じように、子供自身の意思で始めて終わりにすることです。
 この反対が、ときどき違う新しいことを、量が多かったり少なかったりしながら、親に言われてやることです。

 その他人依存型の勉強の典型が、学校の宿題と、親が思いつきで与える問題集です。
 と書くと、いろいろ語弊がありそうですが、これは本当です。

 問題集を解く勉強や、宿題をやる勉強は、子供がこのように言う可能性があります。
「問題集はもう全部終わったからやることがない」
「宿題がないから今日はやることがない」
 つまり、自分の意思で勉強するのではなく、他人の提供するものに依存して勉強することになるのです。
 そこで、新しい問題や宿題を出そうとすれば、それは別の形の問題や宿題になります。

 勉強で最も大事なのは、同じことを繰り返しやることです。
 確かに、いろいろな新しいものが出てくると、本人は変化があって面白いと思うかもしれません。
 しかし、それでは実力はつかないのです。

 ですから、家庭での学習は、時々変わる外から与えられたものに依存するのではなく、家庭で決めたいつでもどこでもできるものにしていく必要があります。
 そして、その勉強は、親が特別に見なければできないものではなく、子供に任せる形で最低でも1年間続けられるものでなければなりません。
 市販の問題集を利用する場合でも、その勉強が少なくとも1年間続けられるものであるかどうかを考える必要があります。

 勉強は、同じことを同じように継続することで力がつきます。
 たとえ平凡な勉強であっても、1年間通して毎日できるものであれば確実に力がつくのです。

 では、そういう勉強は何かと言うと、第一は家庭で決めた音読です。
 音読は、最近学校の宿題として出されることが多くなりましたが、宿題をあてにした勉強は他人に依存した勉強になります。
 家庭で決めた音読を基本にして、宿題は補助的なものとしてやっていくことです。
 これを両立させる方法は、朝ご飯の前の確実に時間がとれるときに家庭で決めた音読、夕方の勉強時間にできる範囲で宿題の音読というようにするのです。

 この音読と並んで行えるのが、第二の暗唱です。
 音読は、それが何かの成果として出るのはずっとあとになりますから、子供にとっては達成感がありません。
 しかし、暗唱はやればすぐに成果が出ます。
 その日の最初にできなかったことが、わずか10分の練習で最後にはできるようになるという実感があるからです。
 しかし、この暗唱は、お母さんも実際にやってみて、その感覚をつかんでおく必要があります。
 親に経験がないと、見当違いのアドバイスや注意をして、子供の意欲をそぐことがあるからです。

 家庭で取り組む勉強の第三は、読書です。
 読書は毎日欠かさずにやる必要があります。
 ただし、ほかにすることがあるときは、読書はいちばん最後に行うことです。
 読書は、読み始めると止まらなくなる性質があるので、最初にやると、そのあとの予定が進まなくなるからです。

 この音読、暗唱、読書ができれば、国語力の基礎はできます。
 次は、第四の算数です。
 昔は、算数でわからないところがあると、学校でわかるまで教えるということがありましたが、今は本人任せになることが多くなっています。

 子供は、意外に予想外のところでつまずくことがあります。
 そのつまずきを早めに察知して、算数が普通にできるようにする、少なくとも苦手意識を持たせないようにするための勉強が、市販の問題集1册を完璧にやりとげることです。
 そのためには、できた問題は二度とやらなくていい、できなかった問題だけ日をおいて繰り返すという勉強の仕方が大事です。

 小学校低学年のうちは、できた問題を繰り返しやってもそれほど時間の負担はありませんが、この勉強姿勢のまま高学年、中学生、高校生になると、学習の能率が極端に悪くなります。
 そして、こういう能率の悪い勉強をする生徒ほど、できなかった問題を繰り返すという勉強をしないのです。

 1冊の問題集を繰り返しやるためには、ばらばらのプリントではなく、製本された1冊のものである必要があります。
 ばらばらのプリントであっても、それをファイリングして繰り返せる仕組みになっているところはいいのですが、それでも学年が上がるとファイリングシステムを維持するのはかなり大変になります。

 また、最近はタブレットを使った問題集なども出てきています。
 勉強の結果をデジタル化するというのは、勉強の管理という面ではとても大事なことですが、勉強そのものをデジタル化するのは、かえって学力を低下させます。
 なぜなら、人間は、ある問題が自分のやった問題集のどの辺にあったかということをアナログ的に覚えているからです。
 このアナログ的な感覚が、勉強を定着させる助けになります。
 だから、勉強はあくまでも紙ベースで行い、その結果だけをデジタル化するという工夫が必要です。

 また、算数は、親がわざわざ教えなければ子供が理解できないような難しいものをやる必要はありません。
 小学校低学年の難しい算数の問題集は、算数の本質的な難しさではなく、問題文の文章が読み取りにくいだけの難しさであることがほとんどですから、算数の力がつくよりも、勉強が嫌いになる効果しかありません。

 家庭学習で第五に大事なことは、親がいつもにこやかで、子供が楽しく過ごしていることです。
 ある意味で、この子供の幸福感が学力を育てる最も重要な条件になります。
 これは、いろいろな外的条件があるとしても、基本は親の決心次第ですから、ときどき子供の立場に立って、子供が幸福に暮らしているかどうかを見直す必要があります。


言葉の森受講案内  無料体験学習
言葉の森サマーキャンプ   公立中高一貫校自主学習クラス

同じカテゴリーの記事
同じカテゴリーの記事は、こちらをごらんください。
小学校低学年(79) 

コメント欄

森川林 2019年3月17日 8時48分  
 小学1、2年生は勉強のスタイルの基礎ができる大事な時期です。
 この時期は、どんなやり方をしても、うまく行きます。
 子供は素直で吸収力があるので、どんな勉強の仕方でも成果が出るのです。
 しかし、だからこそ、その勉強スタイルが小学校高学年、更に中学生、高校生になっても続けていけるものかどうかを考える必要があります。
 小学1、2年生のころのいいやり方が、高学年になるとかえってマイナスになることもあるのです。


nane 2019年3月17日 8時53分  
 小学1、2年生のころは、何かをやらせれば必ず注意したいことが出てきます。
「もっとていねいに書きなさい」
「もっと漢字を使いなさい」
「もっと姿勢をよくしてやりなさい」
 「もっと……」「もっと……」と続けていると、それが母親の善意で言っていることであっても、子供は、勉強は嫌なもので、特に親とやる勉強は嫌なものだと思うようになります。
 だから、ここで、親は言いたいことをすぐに言うのではなく、もうひとひねり工夫する必要があるのです。


森川林 2019年3月17日 11時33分  
 以上の五つの家庭学習を成り立たせるために、最も役に立つと私が思うのが、寺子屋オンライン作文で、毎日の作文の勉強をすることです。
 作文を書くという勉強を通して、親子の交流と対話が生まれます。
 子供どうしの交流で、読書や音読や暗唱のきっかけがつかめます。
 保護者懇談会で勉強の仕方についての相談ができます。
 自主学習コース(現在、新しいシステムに変更中ですが)で、国語の問題集読書と算数の問題集の自主的な取り組みができます。
 発表学習クラスで、創造的な勉強に取り組むことができます。

 寺子屋オンラインでの勉強は、googleフォトの利用や、Zoomの利用などで、まだやや敷居を高く感じる人が多いと思います。
 また、新小学1年生の親子作文の場合は、親の負担が大きいと感じる方もいると思います。
 しかし、長い目で考えれば、そういう困難を乗り越えてでも取り組む価値のあるものです。

 これから、小学1、2年生になる方は特に、最初から長期間続けられる勉強に取り組んでいかれるといいと思います。

コメントフォーム
小学1、2年生は勉強のスタイルを決めることが大事――高学年も中高生も基本は同じ 森川林 20190317 に対するコメント

▽コメントはここにお書きください。
りるれろ (スパム投稿を防ぐために五十音表の「りるれろ」の続く1文字を入れてください。)
 ハンドルネーム又はコード:

(za=森友メール用コード
 フォームに直接書くよりも、別に書いたものをコピーする方が便利です。
メルマガの配信
▼バックナンバー
○一般用 ダイジェスト版
○生徒用 完全版

Facebookページ
言葉の森作文ネットワーク
いいね! 17,226件
新着コメント1~3件
パソコン講習会 nane
 いったんわかってしまえば簡単なことでも 5/24
パソコン講習会 森川林
 わからないときは全然わからないが、わか 5/24
勉強の追加をさ 森川林
 それは、ひとことで言えば、課題が難しい 5/24
……次のコメント

オープン教育 1~3件
オープンの川
鳥の村 1~3件
鳥の村
虹の谷 1~3件
虹の谷
過去の記事

過去の1~30件目を表示
■国語力のある子はどんな勉強をしているか――問題を解く勉強では国語力はつかない 3月16日
■3.3週の受業の動画(小1~小6)をアップロードしました 3月15日
■中学1・2・3年生の保護者懇談会――中学生の勉強の仕方 3月15日
■新小5・小6の保護者懇談会から――英語の暗唱について、意見文の書き方についてほか 3月14日
■【合格速報】横浜サイエンスフロンティア高校 3月13日
■いい本の選び方 3月13日
■小学校低学年のうちは、勉強させるというよりも、子供と知的で創造的な生活を楽しむ 3月12日
■準備を充実させ、交流を楽しむ作文の授業 3月11日
■千葉県立千葉高等学校 ・昭和学院秀英高等学校・渋谷教育学園幕張高等学校 ・志学館高等学校 4月1日
■京都市立堀川音楽高校指揮科、相愛高等学校作曲科 4月1日
■読解検定の問題文のページーー問題を解くことで読解力がつく検定試験 3月11日
■3.11を思い出す 3月11日
■お母さんとお喋りしながら作文の準備――親子で書く構想図の例【動画】 3月10日
■新しい作文のアップロードの仕方――googleフォトから作文の丘へ 3月10日
■中学生になったら作文の勉強 3月9日
■3.2の授業の動画をアップロード 3月8日
■東京医科大学医学部看護学科・東京女子医科大学看護学部 ・獨協医科大学看護学部看護学科 ・目白大学看護学部看護学科 ・東京医療大学ヒューマンケア学部看護学科・ 獨協医科大学附属看護専門学校 4月1日
■【合格速報】都立北園高校 3月8日
■作文は材料七分に腕三分――材料に関心が向く授業 3月8日
■発表学習クラスの発表から「なめこについて」 3月7日
■晩ごはんのおかずは何――発表学習クラスの授業のあとで 3月7日
■発表学習クラスの発表から――経験を学問に、学問を創造に【動画】 3月6日
■項目マークのシールを親子の知的な対応のきっかけに 3月6日
■寺オン作文クラスの参加者がコンセプトのわかりにくさくにもかかわらず次第に増えてきました 3月5日
■【合格速報】小山工業高等専門学校 3月5日
■【合格速報】都立竹早高校 3月5日
■小学4年生からの親子関係 3月5日
■寺オン作文クラス月1800の授業【動画一部】 3月4日
■子育ての基本は平凡――幼児期からの体験と日本語力 3月4日
■読書作文キャンプの1日目のバーベキュー広場 3月3日
……前の30件
HPの記事検索
ホームページの全記事

 言葉の森新聞

Google+ページ
言葉の森作文オンエア

Twitter
言葉の森@kotomori

RSS
RSSリーダー

代表プロフィール
森川林(本名中根克明)

講師ブログ
言葉の森の講師のブログ

算数の通信教育
できた君の算数クラブ

カテゴリー
全カテゴリー
ICT教育(1)
遊び(6)
新しい産業(23)
暗唱(121)
生き方(41)
息抜き(19)
いじめ(1)
インターネット(25)
英語教育(10)
オープン教育(24)
親子作文コース(9)
オンエア講座(41)
音声入力(10)
音読(22)
オンライン作文(2)
外国人と日本語(4)
科学(5)
学問コース(1)
学力テスト(2)
合宿(14)
家庭学習(92)
家庭で教える作文(55)
漢字(17)
帰国子女(12)
教育技術(5)
教育論文化論(255)
教室の話題(26)
行事と文化(1)
ゲーム的教育(4)
合格情報(27)
高校入試作文小論文(10)
構成図(25)
公立中高一貫校(63)
国語問題(15)
国語力読解力(155)
子育て(117)
言の葉クラブ(2)
言葉の森サイト(41)
言葉の森の特徴(83)
言葉の森のビジョン(51)
子供たちの作文(59)
作文教育(134)
作文検定試験(4)
作文の書き方(108)
算数・数学(22)
自習検定試験(10)
自習表(5)
自然災害(1)
実行課題(9)
質問と意見(39)
受験作文小論文(89)
小学校低学年(79)
森林プロジェクト(50)
政治経済(63)
生徒父母向け記事(61)
生徒父母連絡(78)
全教科指導(2)
センター試験(7)
創造力(9)
大学入試(14)
対話(45)
他の教室との違い(22)
知のパラダイム(15)
中学生の勉强(21)
中高一貫校(11)
寺子屋オンライン(101)
読書(95)
読書感想文(19)
読書実験クラブ(9)
友達サイト(7)
日本(39)
日本語脳(15)
発達障害(1)
発表交流会(20)
東日本大震災(15)
facebook(29)
facebookの記事(165)
プログラミング教育(5)
勉強の仕方(119)
未来の教育(31)
MOOC(2)
無の文化(9)
メディア(8)
森の学校オンライン(2)
森リン(103)
問題集読書(33)
読み物(1)
四行詩(13)
未分類(378)

QRコード






 
小学生、中学生、高校生の作文(2007年4月まで)
小学1年生の作文(9) 小学2年生の作文(38) 小学3年生の作文(22) 小学4年生の作文(55)
小学5年生の作文(100) 小学6年生の作文(281) 中学1年生の作文(174) 中学2年生の作文(100)
中学3年生の作文(71) 高校1年生の作文(68) 高校2年生の作文(30) 高校3年生の作文(8)
手書きの作文と講評はここには掲載していません。続きは「作文の丘から」をごらんください。

Donate with IndieSquare