子供の勉強を親が見るときに、つい早く正しくできるようにしたいと思って褒めるよりも叱ることを中心にしてしまう場合があります。
褒め言葉は効果が弱いような気がするのに比べて、叱り言葉はすぐその場で効果が出るからです。
そして、この叱るということはなぜか習慣になりやすいのです。
子供がよくお母さんはいつも小言を言うと思っているのは、小言を言うことが、お母さん自身は自覚していなくても一つの生きる姿勢に近くなってしまっているからです。
これに対して、ほめる姿勢は、なかなか習慣にはなりません。
だから、毎日意識して子供の良いところを褒めるようにしていくことです。
なぜ褒めることが大切かというと、それは子供が社会人になったときの生きる自信につながるからです。
学校の勉強は、ただ答えが合っていればいいだけですが、世の中で遭遇する問題は答えがあるような、ないようなものばかりです。
そこで何がいちばん差がつくかというと、その子の明るい前向きな姿勢なのです。
物事は暗く後ろ向きに考えると失敗する確率が高くなり、明るく前向きに考えると成功する確率が高くなります。
勉強ができるかできないかというよりも、この成功しやすいか失敗しやすいかということが人生で最も大切なことです。
そして、その自分の成功に対する自信は、子供時代の褒めて育てられたことによる自信から来ることが多いのです。
学校時代は、人生の練習期間です。
社会に出てからが、人生の本番です。
練習期間に減点法で自信をなくしてしまうと、本番でのびのびとプレーができなくなります。
叱らなければならないことがあった場合でも、強く明るく短く叱ることです。
長所を褒めることを第一にし、欠点を直すことを第二にすることが、本番に強い、社会に出てから成功しやすい子供を育てることなのです。
小学一年生の勉強で大事なことは、最初からすべてて子供に自分の力でやらせるようなことはしないことです。
お母さんがどんどん手助けをしてあげて、勉強というのは簡単にできるものだという感じを持たせることです。
作文の場合は特にこの手助けをして簡単な勉強にすることが大切です。
その方法は、最初から子供に書かせるのではなく、お母さんが子供の話を聞いて作文のメモを書いてあげるというやり方です。
このメモを構想図と呼んでいます。
(以前は構成図と呼んでいましたが、構成図という言葉だとそのとおりに書かなければいけないと思ってしまう人が多いので、今は構想図と呼んでいます。どちらも同じものです。)
構想図は、お母さんが子供と一緒におしゃべりをしながら、子供の言ったことやお母さんの言ったことを短文で散らし書き風に1枚の紙に書いていきます。
一枚の紙に書くのは、全体が一目で見られるようにするためです。
2枚も3枚も書くのではなく、1枚またはノート見開き2ページに書くぐらいがよいのです。
そのメモ(構想図)を書いたあとに、子供にまだ文章を書く力がなければ、お母さんがその構想図を元にした作文を書いてあげます。
子供の話したことがお母さんの書くのですから、半分は子供の作品、もう半分はお母さんの作品ということになります。
この場合、お母さんはあまりじっくり書いてはいけません。
お母さんが力を入れて長く書いてしまうと、子供は自分には到底そういうことはできないと思ってしまうからです。
子供が自分で作文を書けるようになったときに、同じように書けるぐらいの分量で書いておくのです。
この二人の合作を、お母さんが読んであげても、子供に読ませてもよいのですが、二人で作ったという感覚を共有することが大切です。
そしてこの二人の合作の作文に、お父さんがあとでコメントを入れてあげるという形にすれば、家族全員で子供の作文を書き上げたことになります。
その際、コメントは内容に共感するようなことを中心にして、間違いを直したり注意したりはしないことです。
子供はまだ文章は書けなくても、絵は描けるので、その作文に書かれていることを絵を描いておきます。
また、お母さんと話をする前の最初の時間に絵を描いておき、それをもとに親子で話すという形にしてもよいのです。
この親子で書く作文がなぜよいかと言うと、子供というものは常にお母さんやお父さんのような模範となる大人の真似をしたいと思っているからです。
お母さんやお父さんが楽しく文章を書いていれば、必ず自分もそのような文章を書けるようになりたいと思います。
実際に作文を書く前に、作文を書くことに対する気持ちの準備をしておくことが大事なのです。
構想図を書くことによって、作文の内容について親子で話をするということは、子供の語彙力や理解力や表現力を育てます。
作文は、文章を書くということに限定したものではなく、他の人の話を聞いたり、自分で話をしたりするということも作文の一部です。
子供がある程度作文が書けるようになったときにも、この構造図の方法は使えます。
よく書くことをすぐに親に聞く1、2年生の子がいます。
それは自分の書いたことを注意されるようなことがあったために、不安で聞くということも多いのです。
子供が作文を書いている間、そのたびにお母さんに聞くという形では、お母さんの時間的な負担が大きくなります。
この場合も、そのつど聞かれて答えるのではなく、最初に親子で構想図を書き上げてしまうのです。
構想図を書く時間は10分か15分程度で、そのあとは子供がその構造図を参考に自分で作文を書いていけるようになります。
構想図に書いたことをそのまま作文にして書いておしまいにする子もいます。 しかし、これはこれで構いません。
こういうときでも、書き上げたことをたっぷり褒めてあげます。
書くことに慣れて自信がついてくれば、子供は必ず自分のオリジナルな文を書こうとします。
だから、それまでのまだ自信のないうちは、お母さんの書いた構想図をそのまま作文に書き出すだけでもいいのです。
作文のような難しくなりがちな勉強は、何しろ楽にできるような形の勉強にしてそれができたらたくさん褒めてあげることです。
そして、このように作文を書くことは簡単だという気持ちを持たせる一方、読み聞かせや読書や対話によって文章を書く土台となる語彙力や表現力を育てていくのです。
なぜ、まだ作文が十分に書けない小学1年生のころから作文を書く練習をするのがいいかというと、作文を書くという時間を早めに小学校生活の一部にすることができるからです。
作文を書くことが生活の一部になると、そのほかの勉強も、遊びも、子供の生活全体を作文と結びつけて組み立てていけるようになるからです。
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