これまでの勉強は、聞く勉強でした。
聞いて理解して、覚えたことをテストで確認するような勉強を、長い間人類は続けてきました。
しかし、そういう勉強で得た知識は、これからの社会ではだんだん出番がなくなります。
知識は、基本的なものと、自分が特に興味があるものだけに絞られるようになり、あとは必要に応じていつでも外にあるものを利用すればよいという考え方になるのです。
以前、海外の大学入試で、受験生がスマホを使って外部と通信しカンニングするという事件がありました。
対策は、試験会場へのスマホ持ち込み禁止と考えるのではなく、カンニングできるような知識はもうテストする必要がないと考えることなのです。
では、そのかわり何が必要になるかというと、これからは「聞く知識」ではなく、「作る知識」や「発表する知識」が必要になるということです。
それは知識というよりも、「作る学力」「発表する学力」です。
寺子屋オンラインのクラスでは、いろいろな生徒が、自分のオリジナルな実験や工作をもとに、関心を持ったことを調査し研究し発表しています。
その過程で、準備をしたり失敗をしたりやり直しをしたりするので、作る勉強は、聞くだけ勉強よりもずっと時間がかかります
しかし、その時間の中で残るものが、これから必要になる本当の学力なのです。
ところで、小学校低中学年の場合は、ここに親の関わりが必要になります。
子供が何かに興味を持っても、その興味を「作る勉強」や「発表する勉強」に発展させるためには、親が準備を手伝ったりアドバイスをしたりすることが出てくるからです。
現在は、共働きで遅くまで仕事をして帰るお母さんが多いので、子供の「作る勉強」の手伝いは、時間的にかなり負担がかかります。
しかし、この時間を捻出して、子供と知的で創造的な時間を共有することが、あとになって必ず生きてきます。
これからの勉強は、能率よく知識を覚えることではなく、時間をかけて自分なりに考えることになるからです。
▽はんこ作りの研究と発表(寺子屋オンラインクラスの発表の例)
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点数を上げるための勉強の秘訣は、出題範囲を繰り返し読むことです。
しかし、これはあまり面白い勉強ではありません。
だから、必要なときに集中して取り組めばいいのです。
日常的に行う勉強は、もっと楽しいものであるべきです。
楽しむための勉強の秘訣は、その勉強する対象の事物と関わり、親と関わり、友達と関わることです。
これは、勉強を楽しむことであるとともに、その子の今の人生を楽しむことなのです。
勉強は楽しいものであるべきです。
その楽しさがあるからこそ、途中の過程の苦しさものりこえられるのです。
これは、苦しいことを我慢するのが勉強だという考えではありません。
我慢してやるようなことは、我慢する必要がなくなればやらなくなるからです。
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小学3年生以上は、作文の題名が決まっています。
題名が決まっている課題では、お父さんお母さんに取材することが大事になってきます。
例えば、「私の好きなスポーツ」という題名で書く場合、自分の体験だけで書くこともできますが、それを両親に取材することによって実例が立体的になっていきます。
その複数の実例を一つにまとめる感想が、作文の主題になります。
実例が複数あると、主題はその複数の実例に共通する、より抽象的な主題になってきます。
それが、小学校5年生以降の主題中心に考える作文の元になっていくのです。
もし、自分の体験実例をひとつ書くだけでそのまま感想を書くとすると、その体験が面白かったとかつまらなかったとかいう、体験に密着した感想になってしまいます。
それでは、深い感想というのは出てきません。
感想を深めるために、複数の実例で立体化していくことが大事なのです。
そしてまた両親に取材した話は、そこに両親の生き方や考え方が自然に盛り込まれています。
そういう話を聞くことが、子供にとって作文を書くこととは別の考える勉強になっているのです。
▼お父さんお母さんに聞いた話(寺オン作文の授業から)
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難しい本で、しかし興味を持って読める面白い本というのはなかなかありません。
難しくて面白くない本か、面白いが内容が薄い本が、どちらかであるのが普通です。
しかし、両親との話は、難しい内容を興味を持って面白く聞けるように話してくれることが多いのです。
だから、両親と話をする機会を増やすと、子供の考える力が育っていくのです。
小学4年生までの作文の課題では、親がそれほど準備しなくても、子供にいい話を聞かせてあげることができます。
しかし、小学5年生以上の課題になると、親が事前に似た話を考えておく方がいいのです。
例えば、食事の習慣における日本と欧米の文化との違いなどという話を、お母さんが台所で大根かなにかを切っているときに突然聞かれても、すぐにはいい話は出てこないからです。
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