あるパンフレットに次のような保護者の声が紹介されていました。
□職場復帰(共働き)のため、スクールに通えなくなった……
□本当は学童で預かってもらいながら、習い事もさせたい……
□塾に通わせたいけど、子どもを塾に連れていけない……
□塾・スクールで少しの間預かってくれるサービスがあれば……
それなら、簡単です。
小学3年生のあーこちゃんに登場してもらいます。
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わたしは、あーこです。
私はいつも、学校からまっすぐ自分の家に帰ります。
家には、お母さんもお父さんもまだ仕事中だから、誰もいません。
文鳥のピコがいるだけです。
私は、パソコンをつけて、言葉の森のZoomに入ります。
すると、先生や友達の顔が見えます。
仲良しのけんちゃんももう入っていました。
急いでその日の勉強の支度をします。
最初は、自主学習で国語と算数をやる予定です。
でも、その前に学校の宿題を済ませます。
授業は45分ですから、学校の勉強と同じ感じです。
学校と違うところは、途中でおやつを食べてもいいことです。
でも、長い時間席を離れると、先生から呼ばれます。
先生が呼んでも答えないでいると、近所の人に連絡されることがあります。
でも、そういうことはめったにありません。
どうしてかというと、あまり態度が悪いと、このオンライン自宅学童に行けなくなるからです。
そうすると、歩いて通う近所の学童に行かなければならなくなります。
私は、自宅でのんびりできるオンライン学童が好きなので、ずっとここにいたいからです。
横浜には、教室に通学できるオンライン自宅学童があるそうですが、私の住んでいるところは東京なので、横浜までは通えません。
でも、自宅学童に来ている子のほとんどは、自宅から参加しているようです。
この前、みんなで自己紹介をしたら、シンガポールやベトナムから参加している子もいたので驚きました。
それから、おかしいのは、インフルエンザで学校を休んだのにこの自宅学童に来て勉強している子がいたことです。
自宅学習の1時間目の勉強が終わると、15分の休憩のあと、2時間目は発表学習です。
さっきのクラスと同じ子もいるし、違う子もいます。
私は、この火曜日の発表学習クラスの田中君の発表が好きなので、このクラスだけは欠席しないようにがんばっています。
私の今日の発表は、日曜日にお父さんとやった理科実験の結果です。
この発表は、画像だけでなく動画も入れているので、みんなに見せるのが楽しみです。
この発表学習が終わると、3時間目は作文です。
今日の課題は感想文なので、似た例をお母さんとお父さんに取材しておきました。
授業では、最初にどんなことを書くかを発表します。
同じ課題でほかの人がどういう似た例を言うのかを聞くのが楽しみです。
自宅学童には、今度、そろばんとプログラミングのクラスもできるそうです。
私はどちもらやってみたいので、今度お母さんと相談しようと思っています。
お母さんは、「1教科3000円だから、時間的にできるなら何をしてもいいよ」と言っているので、少し勉強の時間が長くなってもいいからやってみようと思います。
授業を受けない見学だけなら無料なので、新しいクラスができたらすぐに見学に行く予定です。
この自宅学童のいいところは、夕方早くから始めて、夜遅くまでいられることです。
授業を受けるのは受講料がかかるようですが、その授業のあとクラスにずっと残っていたり、又はほかの授業を見学に行くだけなら無料で何時間でもいられます。
私は、お母さんの帰りが遅いときは、ほかのクラスの授業をずっと見ていることがあります。
この前は、夜9時までいましたが、その時間でもまだ勉強している学年の大きい子がいました。
3時間目の作文の授業の途中に、お母さんが仕事から帰ってきます。
時々、お母さんと先生が保護者懇談会をすることがあります。
先生は、いつも褒め言葉だけを言ってくれるので、お母さんは懇談会のあとはいつも優しくなります。
私も、ときどき保護者懇談会に顔を出します。
先生とお母さんが楽しそうに話しているのを見るのが面白いからです。
3時間の作文の勉強が終わったあと、お母さんに、今日やった勉強を説明します。
お母さんは、この間、笑いながらこんなことを言いました。
「このオンライン自宅学童が朝からあれば、あーこちゃんが学校に行かなくなってもも大丈夫だよね」
私は、学校も好きですが、今の自宅学童のクラスで一緒に勉強している子も好きなので、本当にそうだなあと思いました。
夏休みは、このオンラインの友達と那須合宿所にサマーキャンプに行きます。
Zoomの画面でいつも顔を見て話を聞いているので、初めて会うという感じはしませんが、実際に会えるというのは楽しみです。
サマーキャンプでは、勉強と遊びをするそうですが、私がいちばん楽しみにしているのは、夜友達と一緒に寝ることです。
お母さんやお父さんと離れてひとりで泊まるのは初めてですが、自宅学童の友達がいるなら大丈夫です。
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「オンライン自宅学童クラスが朝からあれば、学校に行けなくなっても大丈夫。勉強だけでなく、音楽や体育や図工もできるから。わたしの特に好きなのは、音楽で、みんなで踊りながら一緒に歌うクラスです。(あーこ)」
という時代になると思います。
現在、Zoomで行っている発表学習クラスでは、小学2年生から6年生までの生徒が、毎週個性的で創造的な研究発表を行っています。(発表学習というのは、言葉の森で行っている新しい考え方に基づく学習です。)
発表学習で大事なことは、みんなの前で発表するために、自分なりに工夫した学問的、創造的な発表を準備をすることです。
実際に、多くの生徒が、ユニークでレベルの高い研究発表をしています。
ところが、子供だけでは、少し複雑な理科実験などは敷居が高くてなかなか手が出せないことがあります。
例えば、保護者が乾電池を買ってあげたり磁石を用意したりして、子供の実験や観察の手助けをすればすぐにできるようなことでも、子供だけではできないことがあります。
特に、今は共働きなどで保護者に時間がないことが多いので、子供の学習も塾任せ子供任せになってしまうこともよくあるのです。
現在の発表学習クラスでも、学問的で創造的な発表というよりも、どこかに出かけたという出来事だけの発表になったり、参考書をただ写しただけのような勉強の発表になったりするケースも時々あります。
もちろん、そういう発表もあっていいのです。
発表内容は自由ですし、時々手を抜くようなことがあってもかまいません。
しかし、全員が毎週、出来事の発表をするだけだったり、参考書の中身の紹介だったりするのでは、発表学習としての充実度は低下します。
発表学習クラスの取り組みのキャッチフレーズは、「経験から学問へ、学問から創造へ」です。
単に経験しただけのことや、勉強しただけのことでは、周りで聞いている人たちも面白くはないのです。
自分の経験を学問にまで高め、その学問を創造にまで高めていくことが発表学習クラスの目的です。
しかし、毎週そこまでできる家庭は限られています。
そこで登場をお願いしたいのが、同居しているおじいちゃんやおばあちゃんです。
今のおじいちゃんやおばあちゃんは、比較的時間のゆとりがあります。
そして、昔の教育では全教科をまんべんなく学習する文化があったので、どの教科でもそれなりの知識の基盤を持っています。
そこで、言葉の森が発表学習クラスの授業の資料として毎週の理科実験や社会観察のヒントを提供すれば、それを利用してすぐにおじいちゃんおばあちゃんと子供の協力による発表学習の準備ができるようになります。
これが言葉の森が描いている、これからの発表学習のひとつのイメージです。
おじいちゃんおばあちゃんの多くはパソコンの操作に慣れていませんが、それは講習会を行うので心配は要りません。
パソコンがない場合は、4万円程度で購入できるクロームブックが1台あれば、それでZoomもgoogleフォトの利用もすべてできます。
そして、やがておじいちゃんおばあちゃんがZoomを使った学習に慣れてくると、今度はそのおじいちゃんおばあちゃんが発表学習クラスの講師となって子供たちに勉強を教えることができるようになります。
おじいちゃんおばあちゃんの世代は、近所で友達と遊ぶ文化がありましたから、発表学習クラスの中でもおじいちゃんおばあちゃんの先生と子供たちというのがひとつの社会的なルールを持った集団として成立していくと思います。
今度、5月4週の自主学習説明会のあとは、そのパソコン講習会を行う予定です。
この講習会は、今後随時行っていくようにしますので、これまでパソコン操作があるためにオンラインのクラスに参加されるのを遠慮されていた方も、今後はぜひ講習会を利用してオンラインクラスに参加していってくださるといいと思います。
なお、発表学習クラスは、毎回きわめてレベルの高いユニークな発表を行っているところが多いので、ご関心をお持ちの方は、見学においでください。
なお、見学の際は、事前にお電話でご連絡くださるようお願いします。
小学2、3年生で、孫と祖父母の共同研究(と言っても半分遊びの要素のある研究ですが)の蓄積があると、そのうち、孫が、「じゃあ、ぼくが今度おじいちゃんの伝記を書いてあげるよ」などとなるかもしれません。
そうしたら、寺子屋オンラインのクラスでも、「おじいちゃんおばあちゃんの伝記作成コース」などとという講座をスタートすることができます。
このように、少人数の全員対話型の寺子屋オンラインクラスは、いろいろおもしろいことができる可能性があるのです。