 
黄水仙
 小学校低学年の作文は、自由な題名課題です。
 なぜ自由なのかというと、題名を指定すると書けないことが多いからです。
 例えば、小学1、2年生の子に、「わたしのおかあさん」という題名で書いてごらんと言ったら、「わたしのおかあさんは、こんな人です。」と書くだけで終わってしまいます。
 絵をかくのと文章を書くのとでは違うのです。
 低学年のころは、事実を通して説明を書くということができないので、説明をそのまま書いて、それ以上は書けないのです。
 だから、「私の○○」とか「ぼくの○○」とかいう題名課題は、もっと高学年になってからの課題になります。
 低学年の課題は、実際にあった出来事が中心です。
 しかし、ここで注意しなければいけないことは、子供にとって書きたい話題が、必ずしも書きやすい課題ではないということです。
 子供が書きたがる話のひとつに、「○○をみたこと」というものがあります。
 映画を見たとか、テレビを見たとかいう話がそうです。
 ゲームをしたという話も、見た話と同じです。
 こういう「見た話」には、自分自身の行動がありません。
 映画を見て、どんなに面白かったにしても、それは映画の画面の中での話です。
 本人は、ただ座って見ていただけですから、自分らしいことが作文の中に出てきません。
 だから、「見た話」を書く場合は、それを見ていたとき、見る前、見たあとに自分がどんなことをしたかということを書くのが大事になるのです。
 もうひとつ、子供が書きたがる話で、書きにくい話が未来の話です。
 例えば、「明日は遠足」とか、「もうすぐ誕生日」とかいう話は、子供にとっていくら関心があったとしても、書くための材料がありません。
 こういう未来の話を書く場合は、「この前の似た話」や「去年の同じ話」などを続けて書いていくといいのです。
 もうひとつ、本好きな子で、実際にあった話よりも、自分で作った話を書きたがる子がいます。
 本人が書きたがるのであれば、しばらくは書かせてもいいですが、実際にあった話でなければ、表現力は伸びません。
 たとえを書くにしても、実際にあったことをたとえで表現するところに工夫があります。
 題材選びの前に、読書生活以外の楽しい実生活をすることが大事です。
 楽しいことがあれば、子供はそれを書きたがるからです。
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低学年の作文でいちばん大事なことは、題材選びです。
その題材選びは、実はお母さんの役割です。
書いたあとの添削ではなく、書く前の準備が大事なのです。
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横浜共立学園中学校 K.E.さん
<担当講師より>
  小1から長く続けてくれている生徒です。
 国語に苦手意識があるとのことでしたが、作文も読解もぐんぐん上達し、第一志望に合格しました。
 これからも個性豊かな作文を期待しています。
 合格おめでとうございます!
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 菜の花
菜の花
 小学4年生までの生活作文(事実文)では、書き出しの工夫と結びの工夫ができます。
 高学年や中学生、高校生でも、書き出しの工夫と結びの工夫をすることができます。
 書き出しの工夫がなぜ必要かというと、読み手を引き付ける効果があるからです。
 YouTubeのタイトルやウェブニュースのタイトルなどを見ると、オーバーな表現が目立ちます。
 引用するのが面倒だから、あえて書きませんが(笑)。
 作文は、読んでもらう人を想定して書きますから、読み手の入口になる題名と書き出しは意味があるのです。
 書き出しの工夫の方法はいくつかあります。
 会話の書き出し、情景の書き出し、動作の書き出し、名言の書き出しなどです。
 いちばんきれいに書けるのは、情景や動作の書き出しです。
 私(森川林)が担当している小4の子の書き出しです。
====
 ささっと私はキャベツをお肉で巻きます。弟はぐつぐつしているなべの中のじゃがいもがやわらかくなってきたか、フォークでつついています。弟が
「もっとほしい。」
と言ってくれました。
(このあと、料理を作った話が出てきます。)
====
 もみじを抜こうとしたら、くきは固くて根もしっかりはっていました。公園を通った時に、もみじの木の下で五cmくらいのもみじを見つけました。お母さんが
「さくらは植えきばちで育てるとずっとぼんさいの大きさだよ」
と言っていたので、もみじでもできるかなと思って持って帰ってきました。
(このあと植物の話が続きます。)
====
 書き出しが直接の情景描写になっているので、読む人はすぐに作文の中身に入ることができます。
 この短い情景描写のあとに、「いつ、どこで何がどうした」という説明を入れればいいのです。
 書き出しの工夫と対応するのが結びの工夫です。
 1200字の作文では、書くのには1時間ぐらいかかりますが、読む人は数分で読みます。
 だから、読み手には、最後まで読んでも、最初の書き出しの印象が残っています。
 そこで、書き出しの工夫に対応したキーワードが結びにもあると、読み手はなぜか心地よさを感じるのです。
 これは、小説などでも同じです。
 長い小説で、最初の方のページにさりげなく書いてあった何かが、後半に重要な意味を持つことになったという伏線のあるストーリーを読むと、読み手は、そこに気持ちよさを感じるのです。
 しかし、小さくまとまっているものは、面白くありません。
 書き出しと結びの間に、途中の広がりがあり、どうなるかわからないように見えながら最後にまとまるというところに快感を感じるということです。
 結びの工夫をするためには、感想や意見のあとに、書き出しのキーワードを生かした文を書くことです。
 先ほどの引用の書き出しの「もみじ」の作文の結びです。
===
今もみじは葉が全部無くて、芽がふくらんできています。もうすぐ春です。
====
 「もみじ」という言葉がキーワードになって、書き出しとつながっています。
 中学生や高校生は、意見文の課題になるので、書き出しや結びの工夫は関係ないと思うかもしれませんが、実はあるのです。
 硬い意見文の書き出しに柔らかい情景の書き出しがあり、中身の題材と意見が充実していて、しかも、結びに、書き出しのキーワードに対応した工夫があると、その作文の内容以上に、読み手は、その構成のセンスに感動するのです。
 中学生、高校生で、文章力に自信のある人は、そういう書き出しを結びの工夫を作文に生かしていってください。
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 作文で大事なのは中身です。
 しかし、中身はなかなか進歩しません。
 すぐにできるのは表現の工夫です。
 だから、勉強のアクセントとして表現の工夫をするのです。
 しかし、表現の工夫は、文章力のある子にとっては、パズルを解くように面白い勉強なのです。
 ……微妙な話だなあ(笑)。
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 椿
椿
 3月1週は、作文の実力テストです。
■字数
 それぞれの学年で、目標の字数まで書けるようにしましょう。
 小1は200字、小2は400字、小3は600字、小4は800字、小5は1000字、小6以上中学生高校生は1200字が目標の字数です。
 普段、目標の字数まで書けない人も、この実力テストでがんばって長く書くように努力すると、不思議なことに、それがその後のその人の実力になります。
 だから、何が何でもがんばって目標の字数まで書くということが大事です。
■項目
 それぞれの学年ごとに、作文の中に入れる項目が、★の印で指示されています。
▼項目表
https://www.mori7.com/mine/nae.php
幼長・小1は、
★ はじめに絵をかく(構成)
★ 会話(題材)
★ たとえ、又は、★ □○□○、又は、★ ダジャレ表現(表現)
★ どうしてかというと(主題)
です。
 途中の学年は、省略して、
高3は、
★ 予測問題の主題、又は、★ 書き出しの結び(主題)
★ 複数の対策一、かつ、★ 複数の対策二(構成)
★ 読書実例・長文実例(題材)
★ ことわざの加工、又は、★ 自作名言(表現)
です。
 「又は」となっているところは、いくつかある項目のうち、どれかが入れてあればよいということです。
■項目マーク
 その項目を入れたことがわかるように、印となる項目マークをつけておきましょう。
構成 
 
題材 
 
表現 
 
主題 
 
 パソコンで書いている人は、作文の該当する箇所に次の文字列を入れておきましょう。
構成 < <構成> >
(全角の山カッコを2つ続ける。日本語キーボードで「ね」と「る」の位置)
題材 < <題材> >
表現 < <表現> >
主題 < <主題> >
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ナデシコ
 昔、中学生、高校生の書いた作文をいくつも見比べてみたことがあります。
 よく見ると、どうしても、ある作文の方が上手に見えます。
 しかし、どこが違うのか、書いてある内容や表現や主題を見ても、そこに大きな差があるようには見えません。
 しかし、何度見ても、ある作文の方が上手に見えるのです。
 そこで、それらの作文の語彙を全部抽出して調べてみました。
 すると、語彙の多様性に微妙な違いがあることがわかったのです。
 語彙の多様性以外に、語彙の種類も関係がありましたが、最も大きな違いは多様性でした。
 上手な作文は、ある内容を表すのに、同じ語彙を使わずに多様な語彙を使って表現しているのです。
 しかし、人間が目で見てもその違いはわかりません。
 漠然と、ある作文の方が上手に見えると感じるだけなのです。
 その差は、機械で集計して初めてわかるような差だったのです。
 その差が集計の差として出るためには、作文の字数は1200字以上必要だということもわかりました。
 600字や800字の作文では、誤差の方が大きくなるので、必ずしも上手な作文の方が点数が高くなるとは言えません。
 しかし、1200字になると、語彙の多様性と人間が見て上手だと感じる感覚は一致してくるのでした。
 では、作文の勉強法として、どうしたら語彙が多様な作文を書けるのでしょうか。
 その方法のひとつは読書で、もうひとつは対話なのです。
 作文力は、言わば氷山の水面上に出ている部分で、その水面下には読書力というより大きな土台があります。
 だから、作文力は、書いたあとの添削によって上達するのではなく、その土台となる読む力をつけることによって根本的に上達するものなのです。
 ところで、小学4年生までの作文は、主に事実中心の生活作文です。
 だから、物語文の本を読んでいる子は、生活作文を上手に書けます。
 しかし、小学5年生からは説明文、中学1年生からは意見文になります。
 この時期に、説明文、意見文の本を読んでいないと、作文に必要な語彙が出てきません。
 今の学校では、中学生や高校生で作文の指導がされることはほとんどないので、高校生でも生活作文のような文章を書いている人は意外と多いのです。
 作文力のもうひとつの土台は、対話です。
 小学生でも、親子の対話が多い子は、自然に長い感想を書きます。
 対話の少ない子は、「とてもたのしかったです。」というような条件反射的な感想でまとめてしまうことが多いのです。
 この親子の対話は、子供の話を引き出すことではありません。
 親がいろいろな話をしてあげることです。
 その親の話も、単なる知識の伝達のような話ではなく、子供が面白がり、しかも考えることのできるような深みのある話であることが理想です。
 だから、親も読書によって日々新しい話題を仕入れておく必要があるのです。
 語彙力は、語彙の勉強でつくものではありません。
 語彙力のドリルや辞典や図鑑などは、気休めです。
 知識として語彙を覚えても、使える語彙にはなりません。
 読書や対話という生きた経験を通して身につけた語彙が、使える語彙になるのです。
 作文は、上達に時間のかかる勉強です。
 数学や英語は、本気になって取り組めば、数か月で著しく上達させることができます。
 苦手な子が普通になり、普通の子が得意になることまでできるのです。
 しかし、作文で、苦手な子が普通になり、普通な子が得意になるのは、数年間という遥かに長い時間がかかります。
 だから、作文指導で大切なことは、子供が書いたものを褒め続けて、何しろ勉強を持続させることです。
 作文の欠点を直して上達させようとすると、2、3回は効果があるように見えますが、それだけです。
 そして、直して上達させようとした子は、結局、作文の勉強を早々とやめてしまうのです。
 子供の作文を親が指導するのが難しいのは、そういう事情があるからです。
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 上手な作文とそうでない作文の差は、語彙力の差です。
 それは、作文の題材がいいとか悪いとかいう話ではありません。
 評価されるのは、作文力であって作文ではありません。
 その作文力は、読書と対話によって上達するのです。
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シダ
 今、小中高生のみなさんの勉強を見守っているお父さんも、お母さんも、学校の先生も、塾の先生も、君たちが学校の成績を上げて、いい大学に入ることを目標にしています。
 それは、それらの人たちが、そこまでの目標しかない時代を生きてきたからです。
 つまり、昔は、いい大学に入ったあとの目標がはっきりしていなかったのです。
 しかし、時代は、大きく変わっています。
 今は、資金も、人材も、道具や設備も、宣伝手段も、ほぼ何でも手に入ります。
 だから、誰でも、自分で仕事を始めることができるのです。
 ただし、それは、自分に、ほかの人にアピールできる個性と意欲があったときです。
 やがてベーシックインカムの時代が来て、誰もが自由に自分の好きなことをするようになります。
 なぜ、ベーシックインカムの時代が来るかというと、人類全体の生産力は、人類全体の消費力を上回っていて、しかも、労働はますます機械化、AI化されるので、労働→給与→消費→生産→労働という経済のサイクルが回らなくなるからです。
 ベーシックインカムの時代には、出発点は給与ではなく、国がくれるお小遣いになります。
 お小遣い→消費→生産→富→お小遣いになり、仕事は、自分の好きなことをして社会に貢献することが主な目的になっていきます。
 だから、いい学校に入り、いい会社に入ることを主なゴールにする時代は終わったのです。
 社会に出て自分らしい仕事をして、世の中に貢献することが新しいゴールになります。
 勉強の好きな人は、学問の世界を目指してもいいでしょう。
 しかし、社会に貢献することに結びつかない学問は、盆栽作りのような学問です。
 仕事の目的のうちの重要なひとつが、社会への貢献なのです。
 好きなことをするためには、努力が必要になります。
 その努力とは、読書を通して幅広い教養を身につけること、自分なりの何かに挑戦することです。
 ただし、教養と挑戦は、高校生、大学生の課題で、小中学生は、普通の多読と普通の勉強で十分です。
 総合選抜の大学入試の時代には、高校までの成績はオール4が取れていればよいということになります。
 オール5を目指すような努力は必要なくなります。
 その分、自分の個性を磨いていけばいいのです。
 ところで、オール4が取れる生徒にとって、今の学校教育での授業は退屈です。
 空いた時間をゲームやYouTubeで過ごすよりも、創造発表クラスやプログラミングクラスで、自分らしい学習をすることが、これからの新しい空き時間の過ごし方になると思います。
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 今はまだ、勉強のゴールは、大学入試になっています。
 大学を卒業したあとの人生と、大学で学ぶ勉強とのつながりがないので、とりあえずいい大学に入ることが学ぶ目的になっています。
 しかし、これからは、社会に出て仕事をすることが本当のゴールだということが、多くの人の共通認識になってくると思います。
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紅梅
 学校は、4月から新年度ですが、すでに現学年の教材を終えた人も多いと思います。
 3月からは、新学年の教材を使って結構です。
 注文は、下記のページからできます。
https://www.mori7.com/teraon/jgkyouzai.php
 新学年の教材でも、最初の方のページは、前学年の復習になっていることが多いです。
 学年は自由に選択できますから、前の学年からやり直したり、先の学年の教材をしたりすることもできます。
 中学生の数学と英語の基準教材は、発展新演習から標準新演習に切り替えました。
 発展新演習には、必要以上の難問が多かったためです。
 どちらを注文することもできますが、通常の高校入試又は中学生の勉強では、標準新演習を100%完璧に仕上げるようにすれば十分です。
 ただし、100%ということを目指して勉強を進めてください。
 数学と英語は、学年の先取りができますので、得意な人は先の学年まで進めて勉強をしていってください。
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早稲田大学先進理工学部物理学科・ 聖マリアンナ医科大学
K.S.さん
<担当講師より>
 小論文の試験で言葉の森の勉強が役に立ったと嬉しそうに話してくれました。
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