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読解力をつけるためにどうしたらよいか
森川林 2018/03/03 06:42 

 二つの文章の引用から初めます。

「AI vs. 教科書が読めない子どもたち」より
http://amzn.asia/3A1QTuc
====
 小学生のうちからデジタルドリルに励んで、「勉強した気分」になり、テストでいい点数を取ってしまうと、それが成功体験となってしまって、読解力が不足していることに気づきにくくなります。中学校に入ってもデジタルドリルを繰り返せば、1次方程式のテストで満点が取れて、英単語や漢字は身につきますから、そこそこの成績が取れるはずです。ところが受験勉強に向かい始める中学3年生になると、なぜか成績が下がってしまう。(中略)
 東ロボくんに散々「ドリル」をさせた私は自信を持って言います。読解力を身につけない限り、そこから先の成績は伸びません。読解力のある生徒が受験勉強に精を出し始めると、読解力のない子の相対的な成績はむしろ下がる一方になります。東ロボくんも、いくら憶える英文の数を増やしても、英語の偏差値は50前後で伸び悩みました。
====
 東ロボくん(とうろぼくん)とは、「ロボットは東大に入れるか」プロジェクトで使われた人工知能の名称です。

 私(森川林)はいつも、頭さえよくしておけば、成績は特によくする必要はないと思っています。別に成績をよくしてもいいのですが、95点を100点にするような努力は必要ないと思っています。

 それは、これまで多くの子供たちを見ていて、成績のよかった子が受験期には意外に伸び悩み、成績はそれほどでもなかった子が、受験期にぐんぐん伸びるという例をしばしば見てきたからです。

 伸びるか伸びないかの差は、頭のよさと言ってしまうと漠然としすぎますが、要するに読解力、語彙力、表現力があるかどうかということです。

 その読解力のもとになる最初のものは、読書です。小学生時代に、楽しい本をたっぷり読んでおくこと、つまり多読が読解力の第一歩なのです。

 しかし、多読は最初の一歩に過ぎません。二歩目以降は、単なる多読ではなく難読(難しい文章を読むことという意味の造語)なのです。

 国語力のある子は、読書好きです。しかし、いくら読書が好きであっても、高校生になってからも読むのは小説だけという子は、国語力はなかなか伸びません。高校生は、小説以外に、論説文の本も楽しく読めるようになっていないといけないのです。

 そこで、もう一つの引用です。

「池田信夫 blog」より
http://ikedanobuo.livedoor.biz/archives/52010699.html
====
 ウェーバーの『プロ倫』などの実証研究は、今では陳腐化しているが、彼の思想には価値がある。彼の著作は膨大だが、その思想を要約したのが本書に収められている「中間考察」である。ここでは彼が晩年の心境を語り、意味や救済について論じている。ここにはニーチェの影響が明らかだ。
―-――
「合理的・経験的認識が世界を呪術から解放して、因果的メカニズムへの世界の変容を徹底的になしとげてしまうと、宗教的要請との緊張関係はいよいよ決定的となる。なぜなら経験的でかつ数学による方向づけが与えられているような世界の見方は、原理的におよそ現世内における事象の「意味」を問うというようなものの見方をすべて拒否する、といった態度を生み出してくるからである。」
―-――
 近代科学はキリスト教を否定して出てきたのではなく、キリスト教神学の延長上に生まれた。それは世界を合理化して大きな富を生み出したが、人々を原子的な個人に分解して世界を「脱意味化」した――という物語は、ほとんどニーチェの「ヨーロッパのニヒリズム」である。
====
 ―-――と―-――で区切られている部分は、ウェーバーの「中間考察」からの引用です。

 私は、最初はこの文章を普通に読んでいましたが、途中でふと意味が取れていないことに気がつきました。
 「合理的・経験的認識が世界を呪術から解放して、因果的メカニズムへの世界の変容を……」という文章は、地の文と同じスピードで読むのではなく、途中で頭を切り換えて、少しスピードを落として読まないと理解できないのです。

 そして、これが高校生以降に必要とされる読解力だと思ったのです。

 読解力とは、難しい文章を読み取る力です。それは、言い方を変えれば、抽象的に思考する力です。
 この抽象力の基礎になるものは語彙力です。

 では、その語彙力を育てるためにはどうしたらいいかというと、それは決して「術語集」とか「故事ことわざ辞典」を読んで、いろいろな言葉を覚えるということではないと思います。
 難しい語彙を、生きた言葉として使わなければ、その言葉は自分のものになりません。

 それができるのが、一つは、自分の興味のある分野の説明文の本を楽しく読むことで、もう一つがお父さんやお母さんと少し難しい話題を楽しく話すことなのです。

 ここで大事なのは、「楽しく」ということです。
 苦しい勉強は、長続きしません。日常的にいつでも楽しくできるようなものだからこそ、そこで使われている難しい語彙や、抽象的な思考が身につくのです。

 だから、小学生時代に大事なことは、第一に勉強の時間を取りすぎないこと、第二にそのかわりに親子で対話をする習慣を作ること、そして第三に本人の興味のある分野で説明文の本を読む機会を作ること、になると思います。

 「AI vs. 教科書が読めない子どもたち」の本の内容がよかったので、今、小6以上の生徒を対象に、読解力を測定するRST(リーディングスキルテスト)の受検をすることを計画中です。
https://www.s4e.jp/

 費用は1,500円で、Zoomのウェブ会議システムを使い、自宅で受検できるようにしたいと思っています。

3/5追加
 その後、問合せてみたところ、ウェブ会議システムを利用した受検を想定していないこと、個別の成績は出ないこと、学校以外の団体が行うことについては検討中、ということでした。
 したがって、言葉の森では受検できないので、独自にこちらでリーディングスキルテストを作ってやっていこうと思っています。

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nane 20180303 1 
 読解力調査でわかったことは、「読解能力値と進学できる高校の偏差値との相関は極めて高い」ということでした。
 しかし、読解力を高めることと相関の高い勉強法や生活習慣は見つからなかったそうです。
 ところで、この新井さんは、活字を読むのは好きだが、それほど早くは読めないのだそうです。
 そのかわり、デカルトの「方法序説」が好きで大学生時代から20回は読んだそうです。
 私はこれを見て、昔、高校生4人ほどに「方法序説」を渡し、その一つの章を読んで感想文を書くという練習をしたところ、いつの間にかみんな寝てしまったことを思い出しました(笑)。
 「方法序説」は、哲学書としてはわかりやすいとてもいい本なのです。それでも、当時の高校生は、初めて見る語彙にくたびれて寝てしまったのだと思います。


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