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幼児教育の理論と方法について(その1)
森川林 2011/03/02 21:13 


 「栴檀(せんだん)は双葉より芳(かんば)し」という言葉があります。小学校1年生で学校に上がるとき、子供の能力には既に大きな差ができています。しかし、その差は先天的なものではなく、主に幼児期の教育によるものです。教育というとオーバーなので、幼児期の環境によるものと言ってもよいでしょう。

 もちろん、人間の成長は幼児期に決定されるものではありません。人間は動物と違い、成長してからも自分の能力を変容させる柔軟な可塑性を持っています。しかし、それでも、幼児期における土台の形成は、人間のその後の成長に大きな影響を及ぼします。

 幼児期の教育が重要だというのは、このような理由からです。



 さて、幼児教育について考える前に、教育というものの社会における役割について考えてみます。

 人間は、社会的に生きています。幸福な人生を送るためには、社会が個人の幸福を支えるものになっていなければなりません。

 ところで、現代の社会では、社会の最も主要な枠組みは、国際社会でも地域社会でもなく国家社会です。日本に生きている個人は、日本の国家全体が幸福になるのに比例して幸福になっていきます。

 日本の国家をよくするために最も重要な役割を担っているものは政治です。政治がビジョンと実行力を持てば、日本はたちまちよい国になります。しかし、今の政治は、ほぼだれもが認めるように、また国際社会でも認められているように、ビジョンにも実行力にも欠けています。

 こういう政治を許しているのは、私たちの世論です。その世論を形成する中核となっているものは、マスコミです。つまり、日本のテレビと新聞が、日本人の民度を低くしているのです。その方法は、ひとことで言えば、肝心でないことには正しい報道をするが、肝心なことについては報道をしないというものです。だから、日本人の大多数が知的でありながら、その知性に匹敵しない政治が存続しているのです。

 では、なぜこのようなことが行われてきたかというと、それはマスコミのトップが腐敗させられているからです。日本のマスコミは、多数の良心的なジャーナリストにもかかわらず、肝心なことについては真実を報道しないという体制で運営されています。

 しかし、現代は、マスコミを超えた情報ネットワークが次々と生まれている時代です。これからの社会に必要なのは、多様な情報を取捨選択する能力と意志を持った個人が増えていくことです。

 そのためのひとつの役割を担うものが教育です。これが、教育の社会における役割です。教育は、個人にとっても価値あるものですが、それと同時に社会にとっても価値あるものなのです。

 バランスのとれた教育がバランスのとれた世論を生み出し、その世論がビジョンと実行力のある政治を生み出し、その政治が豊かな社会を生み出し、その社会の上に個人の豊かな可能性が開花するというのが未来の日本の姿です。

====3/5に追加した分====

 話は脱線しますが、では、マスコミが真に国民の利益を考えたマスコミになるためにはどうしたらよいのでしょうか。それは、ある意味で簡単です。腐敗しているのは、トップ層だけのはずですから、マスコミのトップを、暴力にも賄賂にも屈しない、志のある人間に交代させればよいのです。

 マスコミは、既に、立法、行政、司法の三権分立に追加される新しい権力の頂点を形成しています。たとえ私企業ではあっても、国民的な規制を必要とする影響力を持っています。したがって、マスコミに関しては、トップがその企業の全社員の選挙によって選ばれるというようにすることです。そのことを、議員立法として国会で提案し、法律として明文化するのです。そういう国民の利益を考えた立法を行うのが国会の役割です。国会は、単に政党どうしの駆け引きや取り引きや揚げ足取りをする場ではありません。国民の前で、正々堂々と正しい政策を議論する場です。

====追加ここまで。====

 さて、教育は、大きく三つに分けられます。

 第一は、学校教育です。第二は、社会教育です。第三は、家庭教育です。



 学校教育は、教育の最も目につきやすい部分です。したがって、教育予算のほとんどはこの学校教育に投下されています。しかし、今、学校教育は大きな曲がり角に来ています。その理由のひとつは、これまでの教育の前提であった工業化社会が過去のものになるにつれて、欧米から輸入された一斉教育の限界が明らかになってきたためです。もうひとつの理由は、受験教育が、中国のかつての科挙のような末期症状を示すようになってきたためです。



 社会教育は、目立たないところで重要な役割を果たしています。社会教育とは、別のことばで言えば、教育に対する文化的影響力です。

 子供たちの教育は、その社会が何を価値あるものかと考えているかによって大きく左右されます。ドイツが科学技術の先進国であったのは、ドイツの社会に学問や学者を尊重する文化があったためです。日本にもかつて学問を尊重する文化がありました。しかし、今の日本は、科学技術や学問よりもスポーツや音楽や芸術を高く評価する文化になりつつあります。

 イチロー選手が活躍するのは悪いことではありません。歌と踊りのうまいタレントが人気者になるのも悪いことではありません。しかし、子供たちが自分の将来の理想の人間像をスポーツ選手やタレントに見るという社会は、やがて衰退します。スポーツや音楽や芸術は、あくまでも枝葉であり、幹となるものは、科学や技術や学問です。言い換えれば、社会の理想が、消費する文化ではなく、創造する文化であることによって、社会は発展することができるのです。



 家庭教育は、学校教育や社会教育と重なって存在しています。子供たちの年齢が上がるにつれて、家庭教育の役割は縮小していきます。しかし、子供が誕生してから保育園や幼稚園や小学校に行くまでの期間は、家庭教育の独壇場です。

 小学校時代が、家庭教育40%学校教育60%ぐらいの割合で進むとすると、0歳から3歳までは、家庭教育がほぼ100%の時代です。しかし、問題は、この時期が家庭教育という自覚と方法のないままに過ごされてしまうことです。

 そこで、幼児教育の理論と方法が必要になってくるのです。(つづく)
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