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記事 2478番  最新の記事 <前の記事 後の記事> 2025/12/16
読書は、好きな1冊を何度も、じっくりよりも早く、易よりも難で as/2478.html
森川林 2015/11/25 07:33 


 読書の仕方は、もちろん自由ですが、読むことで力がつくのは、次のような読み方です。

 第一は、次々と新しい本を1回しか読まないという読み方ではなく、好きな本を何度も繰り返し読むことです。
 お母さん方の中には、「同じ本ばかり読まないで、もっと別のいろいろな本を読みなさい」というアドバイスをする人もいますが、そういう必要はありません。
 自分の好きな本を読む中で、その本の内容が頭に入るだけでなく、その人のものの見方や考え方も形成されるのです。

 第二は、じっくりゆっくり読むのではなく、何しろ早く最後まで読み切るということです。
 本というものは、最後まで読んで初めて全体像が頭に入ります。最後まで読み切ることで、途中までのわかりにくかったところもわかるようになるのです。
 最初からじっくりと読んで、なかなか最後まで行かないと、その本の全体像がかえってつかめなくなります。
 まず最後まで読み、そのあとに、必要に応じて繰り返し読むという読み方がいいのです。

 これは、国語の文章題を解くときも同じです。特に、入試の問題文は、最初のところがわかりにくくなっていて、最後のところまで来ると初めて全体の話がわかるという作りになっているものがよくあります。
 読むことに慣れていない子は、この最初のところを理解しようとして時間をかけてしまうことが多いのです。

 第三は、易しい本を数多く読むよりも、数は少なくていいので難しい本を読むことです。
 小中学生のころは、読みやすい本でなければ読書が進まない面もありますから、易しい本でもかまいませんが、高校生や大学生になったら、自分で自覚して難しい本を読むようにする必要があります。
 難しい本というのは、高校の歴史の文化史の部分に出てくるような古典と言われるような本です。こういう本を1冊読む時間があれば、普通の本は10冊ぐらい読めます。しかし、難しい本を読むことによって考える力がついてきます。
 具体的に言えば、岩波文庫や講談社学術文庫に収録されているような本です。
 特に、日本の大学では、勉強は高校時代よりも楽なことが多いので、自分で意識的に難しい本を読むことによって力をつけていく必要があります。

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記事 2477番  最新の記事 <前の記事 後の記事> 2025/12/16
遊びによる子供の個性の発見のためには、他の家族の遊び方を参考にすることも必要 as/2477.html
森川林 2015/11/24 02:39 


 個人的な話になりますが、私(森川林)は子供のころ、電気屋さんごっこという遊びが好きでした。狭い建物の天井の上に入って、そこでいろいろな配線をするという設定の遊びです。一緒に遊んでいた友達はすぐ飽きてしまいましたが、私はその遊びをいつまでもやっていたいと思ったものです。

 もうひとつ心に残っているのは、漫画の画面で、鉄人28号が恐竜と対戦する場面です。その恐竜は実はロボットで、恐竜が炎に包まれると、表面の皮膚が燃えて、中の金属の機械的な仕組みが現れるのです。それを見たときに、この「美しい表面の内部にある機械的な精巧な仕組み」というものに少し感動した覚えがあります。

 どうしてこういうことを思い出したかというと、今の自分の仕事をふりかえったとき、やはりそういう裏方の仕事が好きだということに気づいたことがあったからです。きれいな表面の背後にある裏の複雑な配線や機械的な仕組みということに関心があるのです。

 プログラミングの初歩的な勉強をしているとき、for構文を2つ組み合わせてわずか数行で、例えば1から100までのマトリックスが作れることを知ったときも、やはり同じような感動を覚えました。
 だから、中学の技術家庭でプログラミングを教えるようになると、この勉強に熱中する子も多いだろうと思ったのです。しかし、学校ではまだあまりそういうことはやっていないようですが。

 さて、このような人間の何かに対する性向は、持って生まれたものではないかと思います。
 その本来の性質を伸ばす形で仕事ができれば、その人の人生が充実するとともに、社会全体も豊かな多様性を持つようになります。

 この本来持っている個性を発見し育てるものが、さまざまな遊びです。
 そのためには、遊びにも、新しいものに挑戦するという要素が必要です。いつも同じ遊び方をしているだけでは、その子の新しい個性はなかなか見つかりません。
 そして、新しい遊びへの挑戦というものは、ある程度親が道を作ってやらなければ、子供だけで見つけるのは難しいのです。

 それは例えば、何かの工場見学に行かせたり、工作キットや科学実験キットで遊ばせたり、小動物を飼ったり、野外で生活する経験をさせたりというようなことです。
 親は、普通自分が経験した範囲のことしか考えつきませんから、他の家族との交流の中で、新しい遊びを開発していくことも必要になります。
 言葉の森では、そういう情報交換のひとつの場として、facebookグループの「親子で遊ぼうワンワンワン」を作っています。

 勉強は答えのある世界ですから、正しい勉強法と一定の勉強量で、誰でも同じように必要な学力をつけることができます。
 今は、正しい勉強の仕方と、必要な勉強量が確保できていない場合も多いので、ここでも親の工夫が必要になりますが、遊びによる個性の発見は、答えのない世界ですから、更に親の工夫が必要になります。

 また、現代では、遊びの世界も、例えばスポーツや音楽に見られるように、その一つの分野だけで試合やコンクールが目標になり、子供の生活のバランスを崩す場合もありますから、ここでも親のコントロールが必要になります。

 この勉強による学力の向上と、遊びによる個性の発見が、子供の人生の両輪で、そのバランスを取っていくのが親の役割になると思います。

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