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読解力には段階がある(4)――論理的読解力の先にあるもの as/3385.html
森川林 2018/08/23 12:06 

 論理的に理解する力というのは、答えを見つける力です。答えのある世界で正しい答えを見つける方法が論理的な読解力です。

 以前、言葉の森で、センター試験で満点を取るための講座を開いていました。しかし、満点を取ること自体は何の意味もありません。それは、既にある答えが見つかったということに過ぎないからです。

 文章を理解する力があることは学力の基本です。しかし、それはゴールではありません。
 文章を読んでその内容を理解するというのは、到達点ではなく、そこが出発点にならなければならないのです。

 言葉の森は、昔、速読のページを作りました(今でもありますが)。
 しかし、言葉の森が速読をそれほど重視しているわけではないのは、速読のあとに来る「考えること」の方が大事だと思うからです。

 情報処理能力というと、大量の文章を読んで理解し、それを整理して自分なりにまとめる力というように考えられていたことがあります。
 しかし、それは、キュレーションと呼ばれるような処理と同じで、別の言葉で言えばコピペの能力をさらに進化させたものです。
 こういう情報処理能力は、もう人間のやる仕事ではなくAIがやってくれる仕事になっているのです。

 人間がすべきなのは、大量にある情報を整理することではなく、既にある情報の中から新しいものを創造することです。
 この創造の根本にあるの、よりよく生きようとする意志です。
 人間とAIの違いはまさにここにあります。

 よりよく生きたいと思うからこそ現状の追認に満足せず、現状を克服すべき問題としてとらえ、未来にまだない理想を建てるということができるのです。

 この創造に必要な材料は、確かに読書などによって与えられます。
 しかし、その材料を生かすエネルギーは、読書ではなく経験や実行の中から生まれます。
 そして、そこから生まれた創造が、他の人間との対話の中で発展していくのです。

 文章力の自動採点は機械でできますが、その文章の内容に価値があるかどうかを判断するのは同じようによりよく生きる意志を持った人間だけです。

 だからこれからの文章の評価は、形式的な評価はAIが行うとしても、内容的な評価は同じレベルにある人間の評価によるほかはないのです。

 この創造的読解力を育てるためには、文章をただ理解するために読むのではなく、対話をするために読むという読み方をする必要があります。
 これが、論理的読解力のあとに来るものです。

 言葉の森の作文指導の中で読解力が育つのは、課題の文章を読み取り、そこに自分らしい創造を付け加えて書く勉強をしているからです。

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森川林 20180823  
 論理的に読む力などと言うと、いかにも優れた能力のように思われがちですが、わずかの訓練ですぐにできるようになります。
 難しいのは、その論理的な読み方のあとに来る創造的な読み方です。
 創造的な読み方ができているかどうかは、作文を書くことによってわかります。
 読解のテストは満点を取ればそれでおしまいですが、読解のテストが満点の子の間でも、作文のテストには大きな開きがあるのです。


nane 20180823  
 「論理的に読む力」というのは、テクニックであって、読む力でも何でもありません。
 やれば誰でもできるようになります。ただ、それを教えてくれる人がなぜか少ないだけです。
 難しいのは、創造的に読む力で、これは作文力の差として表れます。
 これはテクニックではなく、本当に考える力を育てていないとできるようにはならないのです。

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読解力には段階がある(3) as/3384.html
森川林 2018/08/19 08:43 

 話すことが普通にできても、文章が全くと言っていいほど読めない人がいます。例えば、日本に来て何年か暮らしている外国の人などです。
 話をする分には、読む力がないとは感じられませんが、日本語の文章というものを全く読もうとしないのです。
 一語ずつ読むことはもちろんできるのかもしれませんが、文章として理解するという読み方ができないのです。

 それと同じ状態になっている小学生の子が、最近見られるようになってきました。
 これはたぶんテレビやスマホやタブレットのようなビジュアルな情報機器によって、文字を読むという時間がなかったからだと思います。
 こういう子供たちも、小学校の中学年までの勉強は、耳で聞いただけで分かるような内容ですから、学校の勉強にもついていくことができます。
 しかし、小学校高学年から、文章として読まなければ理解しにくい抽象的な考え方の言葉が出てくると、急に勉強についていけなくなるのです。
 これが、今日起きている読解力の不足の最も大きな問題です。

 この子たちに、どう読む力をつけていくかというと、その方法は論理的に読む練習をするいうようなことではありません。
 言葉と言葉のつながりをひとまとまりの意味のあるものとして実感できるようにする練習が必要なのです。

 その方法は、繰り返し音読をすることです。
 精読とは、論理的に読むことではなく、同じものを繰り返して読むことです。この繰り返し読むという学習を助ける読み方が音読です。

 音読の復読(繰り返し読むこと)という単純に思えるような学習方法こそが、逐語的な読解力が育っていない子供たちがまず最初に取り組むことなのです。

 さて、では次に、読む力は十分にあり、論理的に読むこともでき、読解問題は普通に高得点が取れるような子の、更にレベルの高い読み方である創造的読解力をつけるにはどうしたらよいのでしょうか。
(つづく)

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森川林 20180819  
 勉強の方法は単純です。一に読むこと、二に読むこと、三に読むことです。
 プログラミングとか、英会話とか、速読とか、慣用句とか、漢字の書き取りとかいうのは、趣味で好きでやる分にはいいのですが、やってもやらなくても、あとで必要になればいくらでも追いつくものです。
 しかし、読む力というのは、日常的な生活の中では差があることがよくわかりません。
 それだけに、いったん差がつくと、その差はなかなか埋められなくなります。
 そして、その読む力の土台の上に、書く力が育つのです。

nane 20180819  
 読む習慣をつけるいちばんいい方法は、読む友達を作ることです。
 小学校低学年までは、親が子供の習慣を作る時期ですが、中学年からは友達関係の中でその子の習慣が作られます。

 本を読むことが話題になるような関係を作るために、言葉の森の寺子屋オンラインコースでは、毎週読んだ本をで紹介する時間を作っています。

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