学力には、二つの道があります。
 ひとつは、与えられたものを咀嚼し自分のものにする従順な学力。
 もうひとつは、無いものを作り出し、作ったこと自体を喜びとする奔放な学力です。
 人間が小さいころは、二つの道はつながっていて同じ一本の道を進んでいるように見えます。
 しかし、年齢が上がるにつれて、二本の道はだんだん分かれていきます。
 それは、それぞれの個性です。
 作文力にも同じような二本の道があります。
 ひとつは、まともな作文を書く力。
 もうひとつは、面白い作文を書く力です。
 まともな作文(構成、表現、字数などの項目が一応全部できていて習った漢字もきちんと使ってある作文)を書いている子を見ると、親は、「何かものたりなところがある」と思いがちです。
 しかし、そういう子は心配は要りません。
 学力はしっかりしているので、そのまともな作文をそのまま伸ばしていけばいいのです。
 面白い作文を書いている子をみると、親は、「何か心配だ」と思いがちです。
 確かに、学校の成績にはムラのあることも多く、放っておくと自分の好きなことしかしない子になりそうな気がします。
 しかし、そういう子は社会に出ればどこでも活躍できるのですから、家庭では基本さえしっかり押さえておけばよいのです。
 
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 面白さとまともさは、相反する面があります。
 多少の軌道修正は必要ですが、基本はその子の持っている個性を伸ばしていくことです。
 今あるよい面を褒めて伸ばしていくのが主で、ない面を付け加えようとすると、注意することが多くなります。
 注意が多くなると、子供は自信をなくし、いつでも親に聞くようになります。
 他人依存で間違いなく進むより、多少間違えても自分の判断で行動する子の方が得るものは多くなるからです。
 面白い作文を書ける子が、意外と勉強が嫌いだったりします。
 しかし、そういう子も必要になれば、熱心に勉強に取り組むようになります。
 反対に、勉強のしっかりできる子が、意外と面白い作文が書けなかったりします。
 しかし、そういう子は読書や勉強の中でいろいろなものを吸収するので、自然に内容の充実した作文を書けるようになります。
 だから、今あるよいところを伸ばしていけばよいのです。
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 笑い話かと思うくらい、NTTコミュニケーションズの電話の切り替えが、あれこれ意味不明の技術的な理由で全くできない状態になっています。
 よくそれだけできない条件が重なったと思うほどです。
 たまたま、携帯に転送していた回線だけが1本生きていたので、それでかろうじて電話の受け付けができています。
 ここでふと思ったのは、人間はこういう三次元のトラブルをいろいろ経験するために生きているのだろうということでした。
 かつて勝海舟は、辞書を買うお金がないので、持っている人から借りて、夜中に全部書き写しました。
 しかも、その書き写した1冊を売って家計の足しにしたので、結局2冊書き写すことになりました。
 今ならコピー機があるし、ネットでいくらでも辞書の代わりができますが、その当時は、書き写すしかないというところに、その時代を生きる人の経験があったのだと思います。
 現代を生きる私たちは、ついトラブルがないことやスムーズにうまくいくことがよいと思いがちですが、本当は、何でもうまく行く状況では、人間の生きる意味は希薄になります。
 では、トラブルには、どのように対応していけばよいのでしょうか。
 ひとつは、そのトラブルを創造的に克服することです。
 しかし、トラブルのほとんどは、簡単には克服できないのが普通です。
 だから、もうひとつは、そのトラブルを楽しむことです。
 楽しむとは、しみじみとそのトラブルを味わうことです。
 そして、それを苦にしないことです。
 更に、そういうトラブルを経験できたことに感謝さえすることです。
 トラブルの原因はいろいろありますが、悪いのは相手でも自分でも運勢でもありません。
 それは、起こるべくして起こり、それが自分や相手や宇宙の経験を豊かにしたということなのです。
 災難に逢う時節には災難に逢うがよく候。
 死ぬる時節には死ぬがよく候。
 これはこれ災難をのがるる妙法にて候。
  良寛
 
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 山中鹿之介は、「我に艱難辛苦を与え賜え」と月に祈りました。
 「葉隠」の山本常朝は、犬死が最も価値ある死に方だと言いました。
 近代は、意味ある生き方だけが前面に出た時代でした。
 しかし、人間の本質には、意味を超えた実存的な面もまたあるのです。
 それが良寛の「災難に逢う時節には災難に逢うがよく候」の意味です。
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 作文は、子供たちの学力を全面的に育てる勉強です。
 第一に、作文は、子供たちの理解力や読解力を育てます。
 本当の学力の中心となるものは、物事を理解する力です。
 読解力は、問題集を解くような形で行うものではなく、感想文を書くために文章を深く読み取ろうとすることによってついてくるものです。
 深く読み取るために必要な準備が、長文を繰り返し読むことと、その長文をもとに両親に取材し対話をすることです。
 第二に、作文は、家庭での親子の関わりを豊かにします。
 小学校低学年では、実行課題集などを参考に、親と子が協同で実験や遊びや工作や料理や旅行などに取り組むことによって親子の関わりが生まれます。
 この家庭における親子の関わりが、机上で知識や技能を学ぶこと以上に、子供たちの将来の役に役立つものとなるのです。
 また、小学校中学年以降は、与えられた題名や長文で作文感想文を書く練習をします。
 このときに、課題となっているテーマや長文を親子で話し合うことによって、子供たちの語彙力、思考力、理解力、表現力が育ちます。
 これらが、大人になったときに、社会で役立つ本当の実力の基礎になるのです。
 第三に、作文は、点数に表れない子供たちの文化力を育てます。
 何かのテーマを書く際に、自分なりに深く考えようとすると、自然に人間の本来の生き方や、社会の本来のあり方のようなものを考えるようになります。
 このときに、勇気や思いやりや他人に対する共感を自分の問題として考える機会が生まれます。
 作文を書かなければ気づかなかった感受性を、作文を書くことによって自分の内面に自覚することができるのです。
 第四に、作文は、子供たちの創造力を育てます。
 与えられた構成で書こうとすれば、その構成に合わせて実例や理由や方法や原因を考えなければなりません。
 たとえや名言の表現を工夫しようとすれば、その表現や思考がそのまま創造になります。
 そして、作文を発表するときに最も重要になるものが、その子の独創的な内容です。
 答えのある勉強では、いくら成績がよくても行き着く先は誰も同じです。
 しかし、これから大事になるのは、人それぞれに違う個性です。
 その個性を学力で豊かにしていくことが、作文の創造力なのです。
 世間にある作文教室の多くは、作文試験に間に合わせるという目標のために勉強を教えています。
 もちろん、そういう勉強もそれなりに必要です。
 だから、言葉の森も、受験作文に対応した指導をもう何十年も行っています。
 しかし、本当は、その受験よりももっと先にある本当の学力をつけるために作文の勉強をしていると考える必要があるのです。
 言葉の森で、小学生のときに作文の勉強を始めた子は、中学生になっても、高校生になっても勉強を続けていくことができます。
 そして、もちろん、大学生になっても、社会人になっても勉強を続けていくことができます。
 特に、高3からの数年間は、人間の思考力が最も伸びる時期です。
 今後、この高3以降の年齢の生徒を対象にした学問クラブを作っていきたいと思っています。
 子どもたちは、点数として表される勉強にどうしても目を奪われがちです。
 それは、大人ももちろん同じです。
 しかし、あとあとまで残るのは、今点数として表れている勉強ではなく、まだ表れていない子供たちの内面に育っているものです。
 そういう長期的な視野で、子供たちの勉強を考えていく必要があります。
 
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 今の子供たちは、いろいろ忙しいようですが、本当に大事なものは何かというのをときどきふりかえってみる必要があります。
 明日必要なものよりも、十年、二十年先に必要になるものを第一に考えるのが子育ての基本です。
 自分で言うのも何ですが、うちの子がやっていたのは小1から高3まで言葉の森だけで、ほかには塾にも予備校にも行きませんでした。
 それもまた極端だとは思うので、人にすすめるわけではありませんが(笑)。
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★訂正です。NTTコミュニケーションズによると、フリーダイヤルも同じように切り替えに数週間かかるため、しばらくは1回線しか使えません。
 また、ファクスはしばらくの間、全く使えません。
 ただの電話番号の切り替えに、2週間も3週間もかかり、しかもこちらが事前に携帯電話への転送を設定していなければ、その間電話が何も使えない状態になっていました。
 これは、単純に技術的な対応の遅れだと思いますので、NTTコミュニケーションズは猛省して、技術面の改善を進めていただきたいと思います。
 また、今後引越しを予定される方は、NTTコミュニケーションズが通話料に関与しない形にしておくといいと思います。
 言葉の森は、とりあえず12月中は携帯電話1本で電話対応していきますので、つながらない場合は再度おかけなおしくださるようお願いいたします。
====▼元の記事
 あいかわらず電話の転送ができない状態が続いておりますので、しばらくの間、言葉の森へのお電話は、通常の045-830-1177ではなく、フリーダイヤル0120-22-3987の方におかけください。(「丸い庭二つ咲く花」と覚えてください)
■電話は、0120-22-3987
■ファクスは、0120-72-3987
です。
※12月中旬には、もとの045-830-1177(ファクスは045-832-1466)が使えるようになる予定です。
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東京薬科大学 生命科学部生命医科学科(小論文入試) N.Sさん
(担当講師より)
 「高校生になって国語の成績がめきめきあがった。 
受講当初は、しらない先生とのやりとりが心配だったけれど、とても気が合ったので続けられた」と言っていただきました。 
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國學院大学人間開発学部(初等教育学科) 社会人入試(OA) I.Cさん  
(担当講師より)短時間でしたが、とても頑張っていましたので、その成果だと思います。おめでとうございます! 
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 電話の転送設定がうまくいかないため 、見通しとしては少なくとも5日までは正常に使えません。
 これまでの電話番号をかろうじて携帯電話に転送しているので、そこだけつながりますが、複数の通話を同時に受け付けることはできない状態です。
 したがって、なかなかつながらないことが多いと思いますがご了解ください。
 これは、すべて NTT コミュニケーションズの設定の問題で、昨日はほぼまる一日電話で対応を相談していましたが埒があきませんでした。
 ただし、NTT東日本の方が可能な仕組みを考えてくれたので、その対策を5日に行っていただく予定です。
 今回の電話トラブルで、NTT コミュニケーションズとのコラボレーションは、サービスがまだ始まったばかりという事情もあると思いますが、かなり問題があると思いました。
 引っ越しなどの予定がある方は 、電話回線はNTT東日本に一本化しておくとよいと思います。
 さて、そのような対応に時間が取られたため、受験作文コースの木・金・土曜日の生徒の課題の発送が遅れてしまいました。
 課題をアップロードし次第ご連絡しますのでお待ちください。
 さて、また話は大きく変わりますが、今回の電話トラブルの最中に、私は、こういういろいろな経験をするために人間は生まれてきたのだろうなあという感覚がずっとしていました。
 本当はそんな悠長なこと言っていられる状況ではないのですが(笑)、宇宙の果てから見たら、こういう地球上のさまざまなトラブルは、小さな微笑ましいエピソードのように見えるだろうという感じがしていたのです。
 物事がスムーズにうまくいくに越したことはありません。
 しかし、たとえうまくいかなかったとしても、それはそれで価値のある経験なのです。
 ひるがえって今の受験生の立場を考えてみると、志望校への合格不合格は、そのことによって自分の人生が天と地ほども変わるような感覚を持っていると思います。
 そして、そのぐらいの感覚で取り組まなければ、本当には身につくものはないのです。
 しかしそういうときでも、心の中に、合格もいい経験だし、不合格もいい経験だし、どちらであっても自分が真剣に取り組んだものは、自分自身の価値ある経験として残ると思っていくとよいのだと思います。
 
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 引越しのその後の混乱が続いていますが、昨日2日の夕方にやっと自分の机を置く場所が決まりました。今ごろ(笑)。
 やっと落ち着いたので、文鳥のサクを約2周間ぶりにカゴから出してやったら大喜びでした。
 それまでは不安だったのか、大好きな水浴びも全然しなかったようです。
 いつもは少なくなっている水入れが全く減っていませんでした。
 今日は、今もちょうど水浴びをしています。
 鳥でも、やはりコミュニケーションが必要なのだと思いました。
 このことに関連して、上の子が受験中だと、下の子にいろいろ小さな問題が起こることがあります。
 お母さんが、受験中の子ばかりに関わってしまうので、それがやむを得ないこととはわかってはいても、下の子は不安をうまくコントロールできなくなるのです。
 ちょうど、今回の引越し中ののサクと同じだと思いました。
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△新しい言葉の森の教室(まだ看板はありません)
●12月2日現在、電話はまだ使えません
 NTTコミュニケーションズの転送の設定が正しく行われていないために、月曜日にならないと電話はまだ使えるようになりません。ご迷惑をおかけしますがよろしくお願いいたします。
●受験作文コースの教材は、月・火・水曜日の生徒の分を送付
 受験作文コースの12月の教材発送が遅れています。
 月・火・水曜日の生徒の分は発送しましたので、まだ届いていない場合は検索の坂でごらんくださるようお願いいたします。
 木・金・土曜日の生徒の分は、月曜日に発送する予定です。
 遅れて申し訳ありませんが、よろしくお願いいたします。
●12月から港南台教室とオンライン教室の生徒募集
 11月は初めに引っ越しが決まり、11月中に引っ越し作業を行い、12月になってやっと荷物がほとんど新しい教室に収まりました。
 倉庫に入れていたものもすべて引っ越したので、新教室の中はまだダンボールの山です。
 これまでの教室はJR根岸線港南台駅から南に徒歩3分でしたが、今度の教室は北に徒歩4分になります。
 まだ看板はありませんが、Googleマップには表示されていますので、来られる方は地図を参考にしてください
 12月からは、新しい教室の生徒募集、講師募集も含めて、通学教室を兼ねたオンライン教室を広げていく予定です。
 また、これからは更にネットを活用し、保護者とのコミュニケーションも、独自SNSなどを利用していつでも連絡が取れるようにしていきたいと思います。
●受験作文コースの生徒のための直前アドバイス
 受験作文コースの人は、今の時期がが最後の仕上げの段階になります。
 これまでに書かれた作文を中根(森川林)が直接見て、試験直前アドバイスをする機会を作っていきたいと思います。
●受験作文対策は小学校低学年から
 今年は、中学入試だけでなく高校入試でも作文小論文試験が増え、中学3年生の受験作文コースの参加者が増えました。
 作文試験の課題のテーマはさまざまですが、基本的な書く力があれば、少しのアドバイスで合格作文を書くことができるようになります。
 受験作文は、小学5年生以降の考える作文感想文からが本格的な勉強になりますが、書く力の土台を作っておくためには、小学校低学年から子供を読書好きにさせ、親子の会話を楽しむ家庭文化を作っておく必要があります。
●小1から始められる家庭での作文学習はオンラインと結びつけて
 言葉の森では、幼稚園年長・小学1年生からの親子作文も取り組んでいます。
 作文の勉強は、家庭学習が最も向いていますが、親子だけで勉強しているとやる気が続かなかったり、親子喧嘩になったりしてしまう場合も出てきます。
 したがって、オンラインの少人数クラスで、友達と作文を発表し合いながら行う形の家庭学習が最も理想的な作文の勉強の形態になると思います。
●森林プロジェクトの講師育成講座をインターンシップ制で
 言葉の森では、今後オンラインの少人数クラスをできるだけ学年別の発表や交流ができるような形に細分化していきたいと思っています。
 そのために、現在森林プロジェクトの講師育成講座を行なっています。
 この育成講座は、講座受講料の負担が少なくなるように、インターンシップ制を導入していく予定です。
 また曜日や時間が限定されていると受講しにくい面があるので、ビデオ講座を基本とした受講時間の自由度のある講座にしていきたいと思っています。
 詳細は、近い内にホームページでお知らせしますのでしばらくお待ちください。
 
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 引越しのために、2週間ぶりの記事更新になりました。
 電話の切り替えと、ネットの切り替えと、コピー機の切り替えと、しかも、それらの相互調整が必要になったため、スケジュールがかなり混み合いました。
 これまでの教室は大きい部屋が2つでしたが、今度は、小さい部屋がいくつもあるので、そこで5、6人の通学型のオンライン教室を複数並行して開始する予定です。
 また、冬休みや春休みなどは、読書作文合宿を行い、近くの「上郷森の家」などで遊ぶ企画を作っていきたいと思っています。
 引越し作業の始まる前に、由比ヶ浜で寒中水泳をやっていたところ(笑)、何か毒のある魚に刺されたようで足が腫れてしまいました。
 痛みを緩和するために、足にカイロをゆわえつけておいたら、今度はそこが低温やけどになりました(笑)。
 びっこを引きながら重い荷物を運んでいるときに、ふと、
「こういういろいろな経験をさせてもらってうれしいなあ」
と思ってしまいました。
 たぶん、人間の生きる意味のひとつはそういうところにあるのだと思います。
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