https://youtu.be/sS-aN9_0PdE
11月の森リン大賞について紹介します。森リン大賞とは、毎月10日に前月分の作文の中から、よく書けている作品を学年別に選び、ベストテンとして発表する企画です。
ホームページを見ると、1年生から高校生まで、それぞれの学年で異なる題名とねらいが設定されています。学年が上がるにつれて、扱うテーマも少しずつ難しくなっていることが分かります。
■学年ごとに決まった題名と方向性
例えば、小学1年生は身近な体験をもとにした題名で、2年生、3年生と進むにつれて、考えを整理して書く力が求められます。
5年生では「こだわりが通用しない」、6年生では「慎重居士」など、抽象度の高い言葉が使われています。
中学生になると、「心を動かす言葉」や「デジタルかアナログか」など、意見を深めるテーマになり、高校生では「自己満足は成長を止める」といった思考力を問う題名になります。
■小学1年生の作文項目の具体例
それぞれの学年には、書く際の項目がはっきりと決められています。
1年生の場合は、「初めに絵を描こう」「会話を思い出して書こう」といった具体的な指示があります。たとえが書けそうなら書いてみる、理由が分かるなら「どうしてかというと」と書いてみる、擬声語・擬態語が使えそうなら入れてみる、といった形です。ダジャレも、無理のない範囲で入れられたら挑戦してみようという位置づけです。
■高校生に求められる構成力
高校生になると、項目はより論理的になります。
「当為の主題」から始めて、「複数の方法」を考え、その中の一つに歴史的な実例を入れることも求められます。ことわざを加工したり、反対意見への理解を示したりしながら、名言を引用し、書き出しと結びを意識してまとめていきます。
何を書くかが明確に示されているため、取り組みやすくなっています。
■目標があるから作文は伸びる
このように、何を書くかという目標がはっきりすると、子どもは自然と頑張ることができます。
作文が得意な子も苦手な子も、方向性が分かれば取り組みやすくなります。
先生も、その目標に応じて具体的に褒めることができます。
作文指導のコツは、何をどう書いたらよいかを示し、それができたときにきちんと褒めることです。
そうした積み重ねによって、子どもたちは着実に上達していきます。
▽note
https://youtu.be/sS-aN9_0PdE
この記事に関するコメント
コメントフォームへ。
作文力を上達させるコツは、褒めることでも直すことでもなく、書くための目標を示すことです。
同じカテゴリーの記事
同じカテゴリーの記事は、こちらをごらんください。作文の書き方(108) 森リン(103)
上智大学総合グローバル学部 O.Y.さん
この記事に関するコメント
コメントフォームへ。
同じカテゴリーの記事
同じカテゴリーの記事は、こちらをごらんください。合格情報(27)
上智大学総合グローバル学部 O.Y.さん
この記事に関するコメント
コメントフォームへ。
同じカテゴリーの記事
同じカテゴリーの記事は、こちらをごらんください。合格情報(27)
https://youtu.be/-GFxB5rJze8
■作文コンクールや宿題の意義が薄れている
作文コンクールや作文の宿題ではなく、作文は授業の中で行うべきだという話です。先日、グーグルで「作文」という検索をしてみると、上位に多くの作文コンクールが並んでいました。どこでも様々な作文コンテストや作文コンクールがあり、昔はこうした取り組みが盛んでした。しかし、現在はこれらが無意味になりつつあります。
その理由は、次のとおりです。作文コンクールについて「AI利用」という検索をすると、AIによる作文は「禁止または制限」と書かれている一方、実際にはAIを利用した作文が容易に認められてしまう状況にあります。AIの利用を見抜くツールもまだ道半ばですから、誰でもAIを使って書くことができます。つまり、教育的な意味がほとんどなくなっているということです。
■先生の負担と授業内作文の課題
では、なぜ作文コンクールや作文の宿題が続いているのでしょうか。それは、作文を授業の中で指導するには先生の負担が大きいからです。作文指導は教員の業務の中でも特に負担が大きいもので、まず読むだけでも時間がかかり、さらに講評を書くとなるとより多くの時間が必要になります。
言葉の森では、これを解決するために、作文評価をグラフで見える形にしています。このグラフがどのように作られているかについてもオープンにしており、どういう語彙が使われているからこの点数になったのかが子供にわかるようになっています。
森リンの評価では、そこにさらにAIによる六十字程度の講評が付与されます。先生は子供の作文とその評価を見ることで、その子の実力とこれから進むべき方向がわかります。これにより、作文指導を授業の中で行うことが可能になるのです。
■感想文コンクールも教育的意義を失いつつある
言葉の森では、以前、2023年に「読書感想文コンクールはたぶん今年で終わる」と書いたことがあります。しかし、実際には終わらず、まだ続いています。かつての読書感想文コンクールには教育的な意義があったと思いますが、現在はその意義は失われつつあるということです。
言葉の森の記事に、感想文コンクールの書き方が載っていますが、このような感想文の書き方を学年別に説明したのは言葉の森が初めてだったと思います。それまでは、読書感想文を学年別にどのように書くかということを、誰も明確に示していませんでした。言葉の森が初めてこうした指導法を提示したのです。
したがって、授業の中で作文添削の時間が取れないのであれば、作文検定の森リンによって評価と添削を行い、作文の授業をもっと日常化していくことが大事になります。
■年一回のコンクールより日常的な作文教育へ
年に一回のコンクールや夏休みの宿題は、教育的な意義を失いつつあります。これからの作文教育は、作文検定と森リンの評価によって教育的に対応していく流れになります。日常の授業の中で作文を書き、子供たちが継続的に力を伸ばしていく仕組みが必要になっているのです。
△note
https://note.com/shine007/n/n93190da8e3ca

この記事に関するコメント
コメントフォームへ。
子供たちの教育で大事なのは、知識の詰め込みではなく、読書と作文で読む力と考える力をつけること。
それが行なわれていないのは、指導の方法と評価の方法がないという教える側の問題。
同じカテゴリーの記事
同じカテゴリーの記事は、こちらをごらんください。読書感想文(19) 日本語作文検定(4) 森リン(103)
https://youtu.be/flnjLuKLsgw
■作文を書く子はどうして頭がよくなるのか
言葉の森で小学生の頃から作文を書いてきた子どもたちを見ていると、作文を書くことで頭がよくなっていると感じます。正式な統計があるわけではありませんが、長く続けた生徒ほど学力が伸び、進学先も自然と良くなっていく傾向があります。
先日も、私のThunderbirdに懐かしいメールが届きました。2012年に小四で作文を始め、高三まで続けた生徒が、現在は大学四年生になったという知らせでした。日本語の読み書きも上達し、今は東京大学教養学部で環境科学を学んでいるとのことです。こうした知らせは珍しいことではなく、言葉の森で育った子の多くが、気づけば難関大学へ進んでいます。
ホームページに「合格情報」を掲載していますが、載せきれないほど多くの子がそれぞれの良い進路を歩んでいます。作文の継続には、やはり力があるのだと実感します。
■成績を上げるのは勉強、頭を良くするのは読書
保護者懇談会でもよくお見せする資料に、脳科学者・川島隆太さんの調査結果があります。読書習慣の有無が、勉強時間以上に成績と強く相関しているというものです。睡眠時間よりも読書時間のほうが、学力を左右するという指摘もあります。
私自身の長年の実感としても、よく本を読む子は、高校生になってから成績が自然に伸びます。勉強は成績を上げるためのものですが、読書は頭そのものを良くする働きを持っています。これは、小中学生の指導を続けてきて感じるところです。
もう一つ参考になるのが、新井紀子さんによる「シン読解力」という本です。読解力の高さと学力には強い相関があることを、実データで示したことで大きな話題になりました。この読解力のテストそのものは短い読解問題ですが、厳密に読む力を測る点で意義があります。
■読解力はどう育つか―作文課題の役割―
この読解力を育てる最も効果的な方法の一つが、難しい文章をじっくり読み、自分の考えを書き表す訓練です。言葉の森の読解検定でも、内容の密度が高く抽象度の高い文章を用いています。中学一年生向けのテキストでは、記憶の仕組みや社会現象など、日常では触れにくいテーマが題材として出題されます。
作文課題も同じです。中学一年生の12月の課題では、「今日の都市生活に欠かせない行列」という社会現象に関する文章を読み、1200字の作文小論文を書くことになっています。1200字を書くには、一般に1時間半ほどかかります。難しい文章を読み、内容を理解し、深く考え、1時間半集中して書く──この過程が頭を良くしていくのです。
日本語作文検定のデータベースには、すでに十万三千件を超える作文が蓄積されています。小一から高三まで、学年に応じた難易度で読解と思考と表現の力を養える仕組みになっています。作文検定では字数を600字に設定し、より短時間で取り組める形に整えていますが、内容の核は従来と同じく「読む―考える―書く」の一貫学習です。
■難しい文章を読んで書くことが最も頭を鍛える
頭を良くする方法は世の中にさまざまありますが、私が最も効果的だと考えるのは、「難しい本を読んで、難しいことを考えて、作文を書く」ことです。これは入試のための勉強とは異なり、その先にある本質的な学力を育てます。
週に一度でも、月に一度でも構いません。難しい文章を読み、自分の考えを文章にまとめる習慣を続けることで、子どもたちの学力は確実に伸びます。日本語作文検定や森リンを活用しながら、日々の学習の中に「読む―考える―書く」の時間をぜひ取り入れてみてください。
作文は、成績を上げるだけでなく、人生のあらゆる場面で役に立つ「本物の頭の良さ」を育てる学習です。
▽note
https://note.com/shine007/n/n598982d1cc7e

この記事に関するコメント
コメントフォームへ。
小学生時代は、勉強よりも読書。
中学生以上は、勉強と同じぐらいに読書。
更に実力をつけたい子は、読書とともに作文。。
同じカテゴリーの記事
同じカテゴリーの記事は、こちらをごらんください。日本語作文検定(4) 読解力・読解検定(0)
神山まるごと高等専門学校 T.Y.さん
<担当講師より>
興味を持っていることや今行なっていることをとことん究め、それを楽しく伝えてくれるY君。いつも抜群の思考力と明るく伝える力を発揮して授業に臨み、傑作を書きあげ続けてくれています。
課題に真摯に取り組む姿勢、仲間と一緒にお互いによいフィードバックを送り合い共に成長できる姿勢がすばらしいです。これからも仲間と共に、Y君らしさを存分に発揮して楽しんで学び続けていってください。
合格おめでとうございます!
この記事に関するコメント
コメントフォームへ。
同じカテゴリーの記事
同じカテゴリーの記事は、こちらをごらんください。合格情報(27)
https://youtu.be/C2GxPtXFd0o
■森リンが作文学習の核心になる理由
日本語作文検定の基になっているのが、自動採点システム「森リン」です。森リンがあることで、子どもたちは作文を書く明確な目標を持つことができ、毎週の学習が習慣として定着していきます。特に小学六年生以上では、毎週1200字以上の作文を書くことを目標に取り組んでいます。
作文を書く前には、課題となる長文を読みます。小学生には中学入試レベル、中学生には高校入試レベル、高校生には大学入試レベルの説明文を用意しています。読む力と書く力の両方を同時に育てるための仕組みです。
言葉の森のオンラインクラスでは、現在ほとんどの生徒が少人数のグループで学習しています。以前は個別指導でしたが、仲間との交流があることで意欲が高まり、学習がより活発になりました。
■書く前の「考える時間」が文章力を決める
オンラインクラスでは、作文を書く前に必ず「構成を考える時間」をとります。生徒たちは、課題文を読んだあと、自分がどのような流れで文章を書いていくかを事前にまとめます。これが作文力を高める最大のポイントです。
この構成説明には、だいたい十五分ほどかかります。しかし、この時間がしっかり取れていると、作文を書く段階ではほとんど内容が固まっており、迷いが少なくなります。書いている途中で新しい着想が浮かぶこともありますが、全体の柱を決めてから書くことで、より 論理的で読みやすい文章に仕上がります。
実際にどのような作文が書かれているかは、ホームページの「森リンベスト」に掲載されています。小学生から高校生までの優秀作品が並び、その語彙力や構成力、表現力の高さに驚かされます。
■高得点を支える語彙力と引用の活用
たとえば、小学六年生の作品では「笑う門には福来る」ということわざを軸に、「運は偶然ではなく心の持ち方で引き寄せられる」という主張を展開し、松下幸之助氏や新渡戸稲造氏の言葉を引用しています。思考語彙、知識語彙、表現語彙、経験語彙が豊富で、読み応えのある文章になっています。
中学生の作品でも、古典と流行をテーマに深い考察が示され、語彙と構成のバランスが高く評価されています。目標があることで、子どもたちは自然に質の高い文章を書こうとするようになります。
森リンベストのページの下部には、「森リンの哲学的基礎」というリンクがあります。ここには森リンがどのように作られたか、開発の経緯や考え方が詳しく説明されています。2002年にアメリカで自動採点ソフトが登場したことが開発のきっかけで、日本も負けてはいけないという思いから研究が進められました。
■作文検定がめざす本当の学力
森リンを基にした作文検定のページでは、実際の採点例や学習の進め方が紹介されています。作文検定は、これまでの詰め込み型の知識習得ではなく、「読む力」と「書く力」を中心に据えた新しい学習方法です。
小学一年生から高校三年生まで、どの学年でも取り組める仕組みを整えています。文章を読み、自分の考えをまとめ、根拠を示しながら書くという学習は、これからの時代に必要な思考力の基礎となります。
作文はすぐに結果が出るものではありませんが、継続することで必ず力がつきます。森リンと作文検定を活用することで、子どもたちが楽しみながら深い学びを得られる環境をつくっていきたいと考えています。
▽note
https://note.com/shine007/n/nacba17c7ed18
この記事に関するコメント
コメントフォームへ。
今の受験は知識の詰め込みの勉強になっています。
考える問題と言っても、解法の知識を詰め込むだけです。
本当に必要なのは、読む力、書く力、考える力をつける勉強です。
同じカテゴリーの記事
同じカテゴリーの記事は、こちらをごらんください。日本語作文検定(4) 森リン(103)
■ 中学生の作文にはどんな力が求められるのか
作文検定には、小学生から高校生まで、多くの子どもたちが参加しています。作品はすべて AI によって語彙や構成の観点から評価され、毎月「森リンベスト」として優秀作が紹介されます。今回は、その中から中学三年生の生徒の作文「デジタル化アナログ化」を例に、どの部分が評価されたのかをご紹介します。
十二月は提出数が少なめですが、一月になると小一から全員が掲載されるため、ベストテンの顔ぶれはとてもにぎやかです。小一から小三までは保護者の方が入力を手伝うケースもありますが、小四以降は多くの子が自分で入力しています。学年が上がるほど文字数も増え、六年生では千二百字を超える作品も珍しくありません。
その中で、中学生の作文は内容の深まりが特徴です。今回取り上げる作文も、しっかりとした調査と体験が組み合わさった、とても説得力のある文章でした。
■ データと体験が文章に説得力を与える
この文章は「時計を選ぶときアナログかデジタルか」という日常的なテーマから始まります。しかし、その後に続く記述には具体的なデータが引用されています。たとえば「1980年代にはデジタルがアナログを上回った」「1990年にはデジタルの比率が二割まで落ち込んだ」というように数字を示すことで、読み手に強い印象を与えています。
数字の提示は、文章の説得力を大きく高める要素です。さらに彼女は「小学生の頃、数字を入れると説得力が増すと教わった」という体験も書き添えています。データと体験が結びついた文章は、単なる説明を超え、読み手の共感を呼び込む力を持ちます。
また、デジタルとアナログの特徴を対比しながら、どちらにも利点と欠点があることを丁寧に述べています。論理的な比較の姿勢が一貫しており、文章全体に安定した構成力が見られます。
■ 中学生らしい視点の広がりと学びの積み重ね
さらに良い点は、自分の学習経験をうまく取り入れていることです。模試の結果を例に挙げ「グラフで示されると弱点がよくわかる」と説明する場面は、アナログ情報の利点を体験的に理解していることを示しています。数字だけでは掴みにくい全体像を、視覚的に理解する方法としてグラフを挙げている点は、とても中学生らしい気づきです。
作文の最後では「人と同じではなく、自分が最高だと思うものを作れ」という先生の言葉を引用し、学びを自分なりにまとめています。学校での経験や日常の対話から得た価値が文章の背景にあることは、評価の上でも重要な要素です。
家庭での親子の会話が豊富な子ほど、学校での学びを吸収しやすく、作文にも深みが出ます。この文章には、その積み重ねがはっきりと表れていました。
■ 作文指導が数字で見える時代へ
作文検定では、語彙力を「思考語彙」「知識語彙」「表現語彙」「経験語彙」の四つに分けて評価しています。この作品は知識語彙や表現語彙が特に豊富で、高いレベルに達していました。一方で、思考語彙はやや少なめだったため、総合点のバランスの面では課題が残りました。
しかし、こうした具体的な数値が出ることで、どこを伸ばせばよいかが明確になります。AIによる講評も加わり、作文学習が「結果が返ってこない」という従来の弱点を大きく改善しています。学校では時間的な制約から作文指導が十分に行われないため、こうした仕組みは学習の質を高める大きな手助けになります。
週に一度であっても、継続的に書き続けることで作文力は確実に伸びます。評価が見える作文検定は、そのサイクルを支える新しい学習環境と言えるでしょう。
■ まとめ――作文は未来の自分への投資
今回紹介した中学三年生の作文には、デジタルとアナログの対比だけでなく、自分の体験や学びがしっかりと生かされていました。こうした作文は読む人に安心感と説得力を与えます。
これからも学年ごとの優れた作品を紹介しながら、よりよい書き方をわかりやすく伝えていきたいと思います。作文指導に興味のある先生方、またお子さんの思考力を伸ばしたいと考えている保護者の方は、ぜひ作文検定にご参加ください。作文は、未来の自分をつくる大きな力になります。
▼note
https://note.com/shine007/n/n7575fcdd0d20
この記事に関するコメント
コメントフォームへ。
作文は、褒められても注意されても、そこに客観的な基準がなければ、子供は意欲的に取り組むことができません。
褒められつづければ、そこから進歩しません。
注意されつづければ、書くことが嫌になります。
作文検定(森リン)という基準をもとに、人間がその作文を見ることが大事なのです。
同じカテゴリーの記事
同じカテゴリーの記事は、こちらをごらんください。日本語作文検定(4) 森リン(103)