算数数学の勉強で、一見難しそうに見える問題があります。しかし、答えを見て、解き方を知って、「なあんだ。そうなのか」とわかる問題は、難しい問題ではありません。難しそうに見える問題です。
では、難しい問題とは何かというと、答えを見て、解き方を知っても、その解き方の考え方を理解するのが難しいという問題です。
世の中に新しい考えが登場したとき、それは、多くの場合、理解するのが難しい考え方として登場してきました。
ニュートンの力学もそうだったでしょう。ケインズの経済学もそうだったでしょう。近年では、量子論というが理解の難しい学問かもしれません。
そういう本当に難しい問題に取り組むことが思考力をつける道です。
難しそうに見える問題は、パズルのような問題ですから、いくら時間をかけても考える力はつきません。受験の算数数学の問題には、そういうパズルのような問題も多いのです。
だから、受験勉強の仕方は、自分であれこれ考えるよりも、すぐに答えを見て解き方を理解することです。そういう勉強を積み重ねているうちに、初めて見る難しそうな問題にも、おおよその見当がつくようになってきます。しかし、それは、パズルに慣れたというだけで、思考力がついたというのではありません。
では、小中学生で、本当に難しい問題に取り組むような勉強はできるのでしょうか。
その一つが、難しい文章を読むことです。
難しい文章といっても、さまざまな段階があります。ヘーゲルやハイデッガーのように超がつくほど難しい文章もあります。しかし、小学生には小学生なりに難しい文章、中学生には中学生なりに難しい文章というものもあるのです。
その学年相応の難しい文章として参考になるのが、入試問題です。
国語の入試問題集を読書がわりに読んでいると、書いてあることはわかるが、それを自分のものとして理解するのは難しいということがよくあります。
そのとき、その子の頭の中では、新しい語彙や新しい概念や新しい思考法が育っているのです。
しかし、問題集読書は、ひとりではなかなか続けにくいものです。
本当は、子供が音読をして、それを近くで聞くともなしに聞いているお父さんやお母さんが、音読の終わったあと、その文章の内容に関して家族みんなで似た話をし合うような機会があればいいのです。
言葉の森では、この家庭では続けにくい問題集読書を、寺子屋オンエアなどで続けやすくする仕組みを考えているところです。
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漢字力や計算力は、勉強の基礎です。しかし、基礎ができたから、その後の学力が自然につくというわけではありません。だから、必要以上に計算力や漢字力に力を入れる必要はありません。社会生活では、電卓でも検索でも自由に使えます。計算力や漢字力が社会生活を左右すことはありません。
しかし、基礎ができていないと、その後の学力はつけにくくなります。特に、今の受験勉強では、計算のスピードや正確な漢字力が要求されますから、受験期には、計算や漢字の力はひととおり完成されていなければなりません。
ここから出てくる結論は、いかに短い時間で能率よく計算力や漢字力をつけるかということになってきます。
計算や漢字に長時間かけると、肝心の考えたり遊んだり本を読んだりする時間が少なくなってしまいます。計算や漢字の練習は必要ですが、能率よくやっていく必要があるのです。
能率よい勉強のいちばんの鉄則は、同じ教材を同じ順序で同じように繰り返すことです。
例えば、漢字の問題集でも、ページがばらばらになったものや、いろいろな種類のものを次々にやるというのは、あまりよくない勉強の仕方です。
1冊の問題集(あるいは漢字集)だけを徹底してやれば、その漢字を覚えるだけでなく、その漢字がその問題集(あるいは漢字集)のどのへんに出てきたかということが頭に入ります。この「どのへんに出てきたか」ということがわかるというのが、繰り返し勉強の大事なところです。
計算の練習でも同じです。九九がよい勉強法なのは、同じ順序で声を出して繰り返すからです。この九九の練習でも、単語カードのように、表に「3×4」と書き、裏に「12」を書くようなものを作って練習するのでは、かえって時間がかかります。ばらばらにしたものを使うのは、仕上げ段階で定着度を試すときです。身につけるときには同じものを同じ順序でやっていく方がいいのです。
もし、単語カードのようなものを作るとしたら、それをカードとしてばらばらにしたものではなく、1枚の一覧表にしたものにしてそれを指などで答えを隠しながら繰り返すことです。そのようにすれば、その計算がそのシートのどのへんにあったかということが自然に頭に入ります。この「どのへんにあったか」ということがわかるぐらいに同じものを繰り返すことが大事なのです。
この計算シートは、エクセルの表があればすぐにできます。たとえ3×4=12や3+4=7に習熟するには、
┏━━━┓
┃12 ┃→(このセルは、「=A2*B2」などという式にする)
┣━┳━┫
┃3┃4┃→(このセルがそれぞれA2、B2の場合)
┣━┻━┫
┃ 7 ┃→(このセルは、「=A2+B2」などという式にする)
┗━━━┛
大事なことは、この計算の一覧シートを計算ごとにばらばらに切り離さずに、1枚の印刷物にしてそれをずっと使い続けることです。
勉強に時間のかかる子に共通するのは、いろいろな教材に取り組んでいることです。
今は、豊富な教材が手に入る時代ですから、それだけに、早めに1種類に絞って取り組むことが大事なのです。
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寺子屋オンエアは、現在、google+のハングアウトオンエア機能を使っています。
ハングアウトの仕様は、これから変わると思いますが、今のところはハングアウトの中での話は常に全体に向けての話になってしまいます。
勉強の詳しい内容などは、個別に話した方がよいので、google+とは別にskypeをつなげて、個々の生徒とのやりとりはskypeで行うようにしたいと思っています。
しかし、新しい仕組みにすぐに切り換えられない場合は、これまでどおり、google+、又は電話でやりとりしていく予定です。
skypeは、出た当初に比べると、だいぶ使い勝手がよくなっていました。
別のソフトを使うと、skypeの音声や動画を録音・録画しておくこともできます。すると、寺子屋オンエアの勉強中に保護者がいない場合でも、伝言を伝えておくことができます。
また、ハングアウトによるその日の勉強の内容は、youtubeの限定ページで見ることができます。(24時間ほどで削除するようにしていますが)
勉強で大事なのは、教材、方法、意欲、時間の4つです。
これまでの勉強は、先生がいかにうまく教えるかということが重視されていましたが、小中学校の勉強は、基本的には教わらなくてもできるものです。
自宅で自分のペースでできて、しかも友達もいて張り合いがあるという勉強が、これからもっと広がってくると思います。
将来は、この寺子屋オンエアの中で、同じ学年の同じ進度の生徒が協力して勉強できるような仕組みを作っていきたいと思います。
神田昌典(まさのり)さんは、これからの教師hの役割はファシリテーターになるというようなことを述べています。
先生が教えるのではなく、子供が学びやすくするための条件を整えるのがこれからの先生の役割になってくるのだと思います。
江戸時代の寺子屋は、先生が親身の指導をしたように思われていますが、その親身さは勉強の内容についてではありません。その子の人生に対して親身だったのです。
勉強の内容は、ある程度自動的に子供が取り組んでいけるものでした。
だから、長時間の勉強でも可能だったのです。
今、世界中には、学校に行けない子供たちがたくさんいます。
しかし、この対策として、欧米流の学校を作って先生を派遣してということをやっていたのでは、世界に教育が普及するまで何十年かかるかわかりません。
日本の寺子屋のような教育こそ、これからの世界に広げる教育のモデルになると思います。
▽寺子屋オンエアのページ
https://www.mori7.com/teraon/
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始めまして、オーストラリアに在中の2人のこどもの母です。下は8歳、上は11歳です。日本語と、日本の勉強をおしえたいのですが、私自身はシングルマザーで、時間がまったくとれません。なんとか、二人に教育をつけさせたいのですが、スカイプで、定期的に日本の学校の勉強と、日本語を教えていただけるところはないかと探しています。よろしく、情報ありましたら、お願いします。
Mikiさん、こんにちは。
言葉の森では、海外の生徒も、毎週の電話指導のある作文の通信教育を受けています。
現在、この作文通信指導を、ウェブ会議システムでやれるようにしています。(まだ一部ですが)
また、時差の問題がありますが、日本時間で平日16:00~21:00ごろまで寺子屋オンエアという家庭学習のアドバイスをするコースがあります。
このほかに、今やはりウェブ会議システムで、読書感想クラブなども行っています。日本語で交流する機会を増やすのであれば、この読書感想クラブはおすすめです。(ただし、今のところ毎週火曜日18:00から45分間。今後日程を増やす予定)
詳しくは、言葉の森までお問い合わせください。
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