国語力は、一種の身体力です。
適度な負荷をかければ、その負荷に応じて力がついてきます。逆に、負荷のない運動をしていると、それに応じて力が低下します。重力のないところで生活する宇宙飛行士の筋力が低下するのと同じです。
小学校低学年のうちは、漫画を読むことも国語力になります。しかし、高学年になると、漫画ばかり読んでいる子は国語力が低下します。
もちろん、漫画が悪いというのではありません。読書好きな子は、漫画も好きです。また、日本の漫画は内容的にレベルの高いものがかなりあります。しかし、文章で書かれていないために漫画がそのまま国語力に結びつくことはないのです。
だから、漫画が悪いのではなく、しっかりした本を読まずに漫画ばかり読むということが悪いのです。
中学生や高校生になると、この難しい読書の必要性は、もっとはっきりしてきます。特に受験生は、入試レベルの文章を読まずにやさしい物語だけ読んでいると、いくら読書好きでも国語力はつきません。
では、この難しい負荷のある文章を読むのは、週に何日ぐらい必要なのでしょうか。
一般に、運動は週に1日では効果がないと言われています。週に2日でやっと現状維持、週に3日以上で徐々に力がついてきます。
運動の場合は、筋力を休める必要もあるため、週に3、4日というのが妥当なところかもしれませんが、頭脳の「筋力」は、休める必要はありません。だから、いちばんいいのは週に7日、要するに毎日なのです。
寺子屋オンエアで、現在、国語力をつける問題集読書を行っています。週に4日、5日参加する子も、週に1日、2日の子もいます。
たとえ、週に1日、2日でも、ほかの日も同じように家庭で問題集読書をやっていれば国語力はつきます。しかし、「国語は週に2日やって、算数も週に2日やって、英語は週に1日やって、水泳は週に2日やって」というような、とびとびのやり方では、どれも中途半端な力しかつきません。
寺子屋オンエアの勉強は、毎日やることを前提にしています。いろいろな事情で実際に参加するのは週に1日や2日になってもよいのですが、同じやり方の勉強は、寺子屋オンエアのない日も、土曜も、日曜も、毎日やっていく必要があるのです。(つづく)
勉強でも、仕事でも、平凡なことを続けるのが難しいのですが、その平凡なことを続けることが最も効果があります。
国語で言えば、国語問題集の難しい文章を毎日少しずつ読み、1冊の問題集を5回以上繰り返し読むことです。
算数数学ならば、1冊の問題集を、できない問題が1問もなくなるまで繰り返し解くことです。
英語であれば、教科書を1ページずつ毎日繰り返し音読し暗唱することです。
理科や社会も同じです。基本は教科書を何度も繰り返し読むことです。
こういう方法であれば、勉強の時間はずっと短くなり、学力もずっと向上します。
ところが、そういう勉強法をできる子はあまりいません。小さいころから、新しいプリントを解くというスタイルの勉強に慣れているからです。
新しいものを解くというのは、新鮮な気がして楽しいものです。しかし、新しいものを楽しく解けるというのは、その問題が、もうやる必要がないような易しい問題だからです。
できる問題を何度解いても力はつきません。同じように、楽に読める本を何冊読んでも読む力はつきません。
もちろん、小4までは、そういう勉強でも通用します。小4までは、国語も算数も、基本的に難しいものは何もないからです。 小4までの勉強は、考える勉強というよりも、作業の手順を身につけるという誰でもできる勉強です。だから、次々と新しいプリントを解くような勉強をしても、それなりに成績は上がります。
しかし、小4までの成績と小5以降の成績は質が違います。
小5からは、勉強の中に、徐々に考える要素が入ってきます。
そのときに、漢字や計算の作業の勉強に慣れた子は、かえって行き詰まることがあるのです。
では、考える勉強はどのようにしてやるかというと、それは繰り返すことによってです。
しかし、それは、簡単にできる作業的な勉強を繰り返すことではありません。
できなかった問題を繰り返し解くという、考えることを繰り返すことによってです。
この繰り返しの勉強を容易にするために、寺子屋オンエアがあります。
だから、寺子屋オンエアは、週に1回や2回、ちょっと変わった勉強をするというものではなく、基本的には毎日やる勉強です。
問題集読書を毎日10分やるだけでも、国語の実力は大きく向上します。しかし、ほとんどの子は、この毎日の問題集読ということができません。そして、問題集の新しいプリントを解くというやりやすい勉強に流れてしまうのです。
平凡なことを毎日繰り返すという勉強を、より楽しくできるように工夫して広げていきたいと思っています。