言葉の森では、小3から感想文の課題があります。本当は、小3ではまだ感想文を書く必要はないのですが、書き方の形を練習しておかないと学校などで宿題として感想文の課題が出たときに困るから練習することにしています。
ですから、小3で感想文の課題を上手に書ける子はほとんどいません。ただし、上手には書けなくても長く書ける子はいます。それは、もとの文章に対する理解が深く、似た例をよく考えてくる子です。
もとの文章を理解し似た例を考えるのに最も大切なのは、もとの文書を繰り返し読んでおくことです。文章というものは、不思議なことに、1回読んだだけでは見落としていたことが、2回目、3回目と読むにつれて目に入るようになってくるのです。
そのようにして理解した内容を、自分の言葉で表現するのが対話です。感想文の場合は、子供がお父さんやお母さんに、その長文の内容を説明し、お父さんやお母さんがその子供の説明を聞いて、似た話をしてあげるというのが対話の基本の形になります。
しかし、子供によっては、これまでの勉強の延長から、お父さんやお母さんに、似た例という答えを聞くという姿勢になってしまう子も多いようです。また、お父さんやお母さんも、子供に似た例を教えてあげることが役割のように考えてしまうことがあると思います。
対話の中心は、子供が、それまで毎日音読していた長文の内容を説明することです。それも、長文を見ながらではなく、自分の頭の中に入っている範囲で自分の理解したことを説明していきます。だから、最初のうちは、説明はあまり上手でないはずですが、ここで、大事なことは、聞いているお父さんやお母さんが、「もっと上手に説明して」などと言わないことです。
音読でも、暗唱でも、説明でも、注意をすれば、更に下手になります。その前に、お父さんやお母さんの前で長文を読んだり説明したりすることを嫌がるようになります。最初はどんなに要領を得ない説明であっても、それを聞いてあげる中で次第に説明の仕方が上手になってきます。
子供の説明をたっぷり聞いてあげると、説明のために使う語彙がだんだん増えてきます。それがその子の将来の作文の語彙力になってきます。したがって、説明をすること自体が勉強のひとつなのだと考えておくことが大切です。
そして、その説明を聞いたあと、お父さんやお母さんがその話に関連した似た話をしてあげます。しかし、それは長文の内容にぴったり合った似た話である必要はありません。むしろ、長文の内容にあった話などなかなか思いつかないのが普通です。そこで、長文の内容を拡大解釈して、言わば話がずれてもかまわないという気持ちで話してあげることが必要になります。
また、その話の内容は、できるだけお父さんやお母さんの自分の体験に基づいたものにしていくことです。なぜかというと、子供は抽象的な話であっても、それが身近な人の体験と結びついているとより深く理解できるようになるからです。
子供時代、いろいろないたずらをして大人になったお父さんやお母さんは、似た話を見つけるのが比較的得意だと思います。しかし、そうでないお父さんやお母さんも多いと思います。
似た話が見つからないときは、親が話をしてあげるという姿勢をとらずに、子供の説明を聞いてあげるとか、子供に教えてもらうとかいう姿勢で話をしていくと対話を進めやすくなります。
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最近の国語の入試では、記述式の問題が増えています。大学入試センター試験など、短期間で大量の採点を必要とする国語問題ではまだ選択式が中心ですが、選択式の問題は解き方のコツがわかるとかなり高得点がとれるので、子供たちの本当の国語力を表しているとは言えません。
東大をはじめ国立大学の入試問題は、国語に限らず英語などでも記述式の問題が主流です。ですから、中学や高校の入試も、難関校ほど記述式の問題が多くなります。記述式の問題の方が、その子の本当の国語力がわかるからです。
その記述式の問題よりも更に国語力がはっきりとわかるのが作文です。ところが、この作文の課題は、易しいものから難しいものまでかなり広がりがあります。易しい作文課題は、生活作文の一種のようなもので、「私の友達」や「この一年間で思い出に残った出来事」などという内容のものです。実は、こういう易しい作文課題では、子供たちの実力の差はあまり出てきません。実力の差というよりも、取り上げた題材の差の方が大きく出てくるので、本当の実力はなかなかわかりません。
そのため、今の入試で行われる作文の課題は、身近な課題はほとんどなく、意見文的な課題や感想文の課題が主流になっています。
言葉の森の作文の課題も、小学校5年生から感想文が中心になります。この感想文を書くために毎週難しい長文を読み自分なりに似た例を考える練習をしていると、書く力だけでなく読み取る力もついてきます。
作文の実力というものは、実はなかなか上達しないものです。よく穴埋め問題を解かせるようなプリントを使って、それが作文の学習の基礎になっているという指導をしているところがあります。しかし、穴埋め問題を解くことと、作文の実力がつくことの間にはほとんど何の関係もありません。
作文の実力は、作文を実際に書く中でしか身につかないからです。
そして、この、子供たちに作文を書かせるということ自体が難しいのです。小学校低中学年のときにいくら穴埋め問題をやっても、小学校高学年になって作文を書く実力はついていません。だから、作文の勉強をするには、小学校低中学年から正しい方向で勉強をしていく必要があります。その正しい方向とは何かといえば、読む力をつけることと、実際に作文を書く練習をすることです。
言葉の森の子供たちの作文力の推移を見ると、小学校低学年のころに作文が苦手か普通だった子が、小学校高学年からだんだん得意になり、中学生になると自信を持って優れた作文を書くようになっています。しかし、その実力の伸びはきわめてゆるやかなので、途中には、作文力が停滞しているように見える時期が必ずあります。しかし、その停滞しているように見える時期も、気長に読む勉強としての長文音読などを続けることによって、学年が上がるにつれて作文の実力が再びついてくるのです。
実は、こういう長期的な見通しがあって作文指導をしている作文教室はほとんどないと思います。作文の実力はなかなかつかないので、その教え方がいいかどうかは何年かたってみないとわかりません。そして、穴埋め問題でやりやすい勉強をしていたのでは、何年かたったときに結局何も実力がついていなかったということになります。作文の実力をつけるにはかなり時間がかかりますが、実力をつけるための方法は確実にあるのです。
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穴埋めイコール暗記で考えていますよね?穴埋めも読解力要ります。
問題の形式ではなく、問題のレベルですが、穴埋めはレベルが低いことが多いです。
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