世界から日本へ、グローバルからローカルへ、大都会から地元へ、という志向が、若い人たちの間で生まれています。
ローカルは、生活の必要で成り立っている社会ですから、大きく儲けることもなければ、大きく損をすることもありません。人間のつながりの中で、自分の個性をほどほどに生かしていくというのが、ローカルの社会です。
町内の相撲大会で優勝して満足するのがローカルの個性です。それ以上のプロを目指したり、オリンピックを目指したりするのではありません。ほどほどの個性に満足して、地に足の着いた生活をしていくのがローカルの人生です。
しかし、日本の文化の中では、生活の必要は、単なる必要のレベルにはとどまりません。もともとの個性にだんだん磨きがかけられ、やがてその個性が「道」を究めるようになっていくのです。
日本では、生活産業は、次第に究道産業へと進化していく傾向があります。それは、最初から日本一や世界一を目指すグローバルな発想ではありません。自分の興味を深めていくうちに、次第に自分でしか究められない世界に入っていくという進み方です。
だから、日本の社会でこれから生まれるのは、グローバルでも、その対極にあるローカルでもありません。グローバルとローカルの対比を超えたところにある「道」の文化が新しい産業として生まれてくるのです。
これまでの欧米中心の社会で生まれた文化の中には、サッカーやゴルフやバスケットボールのように、単なる遊びから生まれたものであるにもかかわらず世界的な広がりを持つようになったものがありました。
日本でも、アニメや寿司やカラオケなど、日常の延長から生まれたものであるにもかかわらず、世界的な広がりを持つようになっているものがあります。
これからは更に、今はまだ現れていない新しい日本文化が次々とローカルの生活の中から生まれてくるのです。
その根底にあるのは、向上心です。
欧米の文化の根底にあるのは、勝ち負けの発想です。あらゆるものが、勝つことに向けて収斂していく面があります。
日本文化にももちろん勝ち負けの発想はありますが、それと同時に、勝ち負けとは別に自分自身を高めることに価値を置く発想があるのです。これが「道」の文化の根底にあるものです。
「道」の文化は、国内でも一つの産業になりますが、更に世界に向けての輸出産業になる可能性を秘めています。
しかし、それ以上に大事なのは、「道」の文化が広がることによって、向上心が社会の共通の価値観として認められていくことです。
そこから、人間にとっても社会にとっても最も本質的な価値となる「創造」が生まれてくるのです。
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ハーバード大学などアメリカのハイレベルの大学に日本の若者が進学しなくなり、その代わり中国や韓国の若者が急速に増えているそうです。
しかし、日本の若者全体が海外に行かなくなったわけではありませんから、特に優秀な層が、海外に行かなくなっているのだと思います。
この現象を見て、最近の若者は覇気がなくなったと思う大人は多いと思います。しかし、それは実は違うのです。
海外と日本という対比と似ていますが、最近の若者には、大都会よりも地元へという志向が強くなっているようです。
マイルドヤンキーという言葉がありますが、地元でそれなりに自分らしい、そこそこに楽しい生活を送るという傾向が強くなっているのです。
今の日本の社会では、ローカル経済は、グローバル経済とは切れて存在する面が強くなっています。だから、円安でグローバル企業が利益を上げても、それがトリクルダウンする形で地方を潤すところにまで行かなかったのです。
しかし、そのことは逆に、これからグローバル経済に金融危機が見舞い、大きなシュリンクが起きた場合も、そのシュリンクが地方にまで波及することが少ないだろうことを予想させます。
地方の経済は、生活の必要で成り立っています。もちろん、ネットの影響を受ける分野は、グローバル経済の影響を受けますが、そうでないリアルな地方の産業は、世界的な経済危機があろうがなかろうが同じように存続し続けるのです。
このような情勢の中で、若者の発想は、世界を相手に大儲けをするという過酷な競争の人生には向かわずに、地元で成り立つ個性を生かした、大儲けもないかわりに大損もない、長続きする生活へと向かっているのです。
しかし、この生活には続きがあります。それは……(つづく)
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3月19日(木)から24日(火)にかけて、言葉の森のトップページから無料体験学習を申し込まれた方は、こちらのプログラムミスにより、情報が正しく送信されていませんでした。
体験学習の資料などが届かない方は、誠に申し訳ありませんが、再度、お電話又はフォームから体験学習をお申し込みくださるようお願い申し上げます。
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2月23日ごろに、「山のたより」の手書き作文の表示の仕方を変更しました。
これは、ブラウザのバージョンアップに伴い、ブラウザによって見え方が異なる問題を当面解決できないことがわかったためです。
しかし、そのために、2月以前の手書き添削が見られないようになっていました。
そこで、下記のページで、2月以前の表示の仕方もできるようにしました。なお、昔の山のたよりを見る場合は、インターネットエクスプローラーの「ツール」→「互換表示」で、古いバージョンへの互換表示を設定してからごらんください。
(新しい「山のたより」は、互換表示をしないで見るようになっています。)
https://www.mori7.net/oka/iyama_old.php
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言葉の森の生徒コードは、ひらがな3文字で作っていました「あああ」から始まって、「ああい」「ああう」と進み、最後のコードは「んんん」となるコードでした。
なぜひらがなかというと、数字やアルファベットでは味気ないからという理由もありますが、それ以上に、ひらがなは文字の種類が多かったからです。
数字で3桁のコードを作ろうと思えば、数字は1から0までの10種類ですから、10の3乗で、1,000種類しか作れません。アルファベットの場合は、26の3乗ですから、17,576種類です。ひらがなの場合は、「が」行や「ざ」行などを入れれば、60種類ぐらいの文字がありますから、60の3乗とすると、216,000種類もできます。(60進法ということです。)
これならしばらく安心と思っていたら、そのコードが次第に枯渇してきました。これは、生徒だけでなく、ただ問い合わせをした人にもコードを割りふっているからです。
そこで、今後のことを考えて、本日から生徒コードを4桁にしました。4桁ですから、60の4乗とすれば、12,960,000種類です。今世紀中は間に合いそうです。
しかし、順に作ったコードが、「ああああ」「あああい」「あああう」……と、何かコードらしくありません。もちろん、自分で、「もりおか」とか「やまなし」とか任意のものを作れますから、問題はないのですが、自分でコードを選ばない場合は、自動的に「ああああ」のようなコードになってしまいます。
そこで、3桁のコードのうち、空きができてまだ使われていないものを新たに追加することにしました。これは、明日作る予定です。
今、体験学習を申し込まれる方は、コードが4文字になっていますが、できるだけご自分で気に入ったものを選ぶか作るかしてください。
もちろん、いったん決めたコードも、変更することはできますが、最初から同じものの方がいいと思いますので。
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60の4乗の12,960,000種類でも間に合わなくなりますように。
関西(和歌山)の友人・知人に、言葉の森のよさを宣伝しています♪
ラウレアさん、ありがとうございます。
寺子屋オンエア方式で作文の通信指導ができることがわかったので、これから世界中の人に広げていきたいと思っています。
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