明けましておめでとうございます。
言葉の森が今後どのような方針で運営していくかということを説明し、新年の挨拶に代えさせていただきます。
言葉の森の目標は、明日の日本を支える、思考力、創造力、共感力のある子供たちを育てることです。
そして、その中でも特に重要な創造性を育てる教育を日本に広めることです。
なぜなら、この世界の価値の根本にあるものは創造だと思うからです。
詳しい説明は省略しますが、言葉の森はこの創造性の教育のために、これまで作文指導、創造発表指導、暗唱指導、読書指導などに取り組んできました。
そして、この創造性の基礎となる学力を育てるために、自主学習の指導を行ってきました。
しかし、2020年3月のコロナによる混乱があるまでは、オンライン教育に参加できる人はあまり多くありませんでした。
ところが、3月以降の学校休校に伴い、リモートワークと並んでオンライン学習が広がるにつれて、言葉の森のオンライン教育の優れた点が多くの人に理解されるようになりました。
言葉の森のオンライン学習の特徴はいくつもありますが、主なものは次の四つです。
第一に、同レベルの5人程度の少人数クラスによる学習交流があること、
第二に、個々の生徒に対応したは個別指導があり、自分で考えさせる教育が行われていること、
第三に、小1~中3までの全学年の国語・数学・英語・作文・創造発表・暗唱・読書などの全教科プラスユニークな独自教科が、ワンストップで低価格で自由に学べること、
第四に、どの教科も先生が一方的に講義をするのではなく、生徒が自主的に参加する形で行われていること、
などです。
そこで、言葉の森は今後、オンラインの自主学習クラスを広げ、日本中の子供たちがこの優れたオンライン教育を受けられるようにしたいと思っています。
そして、その学力的基盤の上に、子供たちの個性と創造性を育てる教育を進めていきます。
そのために、単なる座学だけではなく、自然や人間との触れ合い、理科実験や工作の取り組み、などができる機会を作っていきます。
当面、この新しいオンライン教育を支える講師を森林プロジェクトで募集します。
そして、多くの子供たちがこの新しい教育を受けられる体制を整えていきたいと思っています。
それでは皆さん、今年も元気にやっていきましょう。
言葉の森の中学2年生相当の項目に「総合化」というものがあります。これは、AとB、二つの異なる意見を挙げ、最後にその二つの意見のさらに上をいくCという意見でまとめるという書き方です。
何やら難そうですよね。実際、難しいです(笑)。
でも、考えるのが好きな生徒にとっては腕の見せ所でもあります。
たとえば「スポーツの勝ち負け」というテーマの場合、「スポーツには勝ち負けが必要だ」という意見と「勝ち負けにこだわるのはよくない」という意見を総合化します。
「確かにスポーツの勝ち負けには良い面も悪い面もある。しかし、一番大切なことは、スポーツを通して自分自身が成長していくことである。」
「確かにスポーツの勝ち負けには良い面も悪い面もある。しかし、一番大切なことは、最後までやり遂げるということである。」
「確かにスポーツの勝ち負けには良い面も悪い面もある。しかし、一番大切なことは、挑戦しようとする気持ちである。」
どれもすばらしい総合化です。
こんなふうにさまざまなテーマの総合化を考えることによって、物事を多面的に見る力、大きく捉える力が養われていくのだと思います。
読書好きな子供は、作文も上手なことが多いです。そんな読書好きの小学校5年生の男の子が書いた、水泳のクラス分けテストについての作文の一部を紹介します。この生徒は、いつも、本の一部を切り取ったかのようなすばらしい表現で、テンポよく臨場感あふれる作文を書いてくれます。
4年生まではスイミングスクールに通っていたので、自信満々でテストを受け、いつも一番上のクラスに入っていたのですが、スイミングスクールをやめてしまったため、今回のテストはあまり自信がなかったようです。
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(テストを待っているとき)
「僕は放心状態だった。」
(テストの番が近づいてきたとき)
「僕は上の空だった。」
(さらに近づいてきたとき)
「僕は、他の人に緊張が感染したかのように、心の底から不安と緊張が膨れ上がり、上の空ではいられなくなった。」
「僕は自分に言い聞かせた。緊張があるというのは、自分の心の奥深くでは、いいプレイにしようと炎が燃えているのだと。」
「だが、そんなに緊張しなくてもいいだろっ叫ぶ自分も心の中にいる。二つの心がせめぎあって、つい僕はクスッと笑った。笑ったことで、僕の心の中に炎が宿った。」
(自分の番になったとき)
「落ち着けと自分に言い聞かせ、テストに挑んだ。」
(テスト中)
「やってみると、テストは苦もなく、泳ぐことができた。自分が余裕で泳いでいることに対して、僕は驚き、ホッとした。つい笑い出しそうになった。だが、我慢した。こんなところで終わってはたまらない。」
(泳ぎ切ったとき)
「水中で思いっきり笑った。嬉しい気持ちがあふれ出た。そのあふれ出した気持ちが、僕の名前を一番上のクラスの名前表に書き込んでくれたのだ。」
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案ずるより産むが易し。テストの結果は良かったようですが、その結果を出すまでの気持ちの移り変わりが手に取るようにわかります。短い間に刻々と変化する心情を見事に言葉にしています。「緊張があるというのは、心の奥深くでは、いいプレイにしようと炎が燃えているのだ」とは、自分の心の内をよく見つめていると思います。確かに、いい結果を出そうと思わなければ緊張などしないでしょう。心の中の葛藤も冷静に観察しています。また、テスト結果を擬人法を使って表現したところも工夫されています。
読書好きで、作文が得意な子供は、ときには、背伸びし過ぎて不自然な表現になることもあります。そんなとき、どんなに得意な生徒であっても、決して注意しないことが大切です。書くことに自信を持っている子供ほど、ちょっとした指摘に傷つき、自信をなくしてしまうことがあるからです。ほめることが大事なのは、どの生徒にも共通することなのです。