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綱引きの中心は「分離と競争」から「共生と創造」に。新しい作文教育論
森川林 2014/01/16 03:56 



 歴史の流れは混沌としているように見えますが、大きく見ると、綱引きの中心が時とともに移っていきます。(この発想は、副島隆彦さんの文章から学びましたが、内容は文化の話です。)

 明治維新が、尊皇攘夷から尊王討幕に中心点を移したあと展開を速めたように、中心が移動することによってその後の歴史の方向が大きく変わります、。
 今、日本と世界を取りまく情勢には、さまざまな綱の引っ張り合いがあり、それらに応じてさまざまな小さな中心が生まれています。どれが主要な中心点になるかによって、私たちの今後の生活も大きく変わってきます。

 その中心点は、客観的な情勢である以上に、主体的な歴史観によって決められていきます。
 そこで、私(森川林)は、言葉の森の教育との関連において、今後の綱引きの中心点を、「分離と競争」対「共生と創造」として見ていこうと考えています。

 まず、経済の話です。
 グローバリズムは、その名称とは裏腹に、分離と競争の世界に属しています。それは、個人、個々の企業、個々の国家をばらばらに分離し、それらが自由な競争の中でひとつの勝者によって統合されるという世界像を持っています。
 では、その対極にある世界像は何かと言うと、それは単に言葉の上での対極にあるローカリズムなのではありません。世界の国々がそれぞれの国境で守られていても、その国内で分離と競争があるならば、それは小さなグローバリズムにすぎません。
 分離と競争の対極は、共生と創造です。個人、個々の企業、個々の国家が手を取り合って、それぞれが創造したものを分かち合うのが今日のグローバリズムの対極にある世界です。それは、見方によっては、今のグローバリズムよりも更にグローバルな世界に見えるでしょう。

 次に、政治の話です。
 今、世界の覇権を、米国が維持し続けるか、中国が台頭するか、あるいはEUやロシアを含めた多極世界が分担するのかということが、綱引きの中心であるかのように言われています。
 しかし、それらの国々が目指している覇権は、ばらばらに分離された国家が、軍事力や経済力の競争によって序列化され、強い国が弱い国を支配するという世界像に根ざしています。
 覇権の世界は、分離と競争の世界です。その対極にあるものは、多様な国々が互いに共生し、それぞれの国が自国の得意なものを創造し他国と分かち合う世界です。
 その世界が、夢物語のように思うのは、そういう世界を提唱する国がまだ存在しないからです。そして、その共生と創造の世界を提唱する最も可能性の高い国が日本だと思います。

 最後は、教育の話です。
 「分離と競争」から「共生と創造」へという綱引きは、経済や政治のような大きな世界だけでなく、身近な世界にもあてはまります。そのひとつが教育の世界です。
 これまでの教育は、受験に収斂された目的のもとで、子供を、家庭や地域という共同体から引き離し、学校や塾という機能社会の中で個々人の生徒として分離してきました。そして、点数化される知識や技能を優先することによって点数化されない文化を軽視し、社会貢献する独立した個人ではなく、社会の階層を上昇するために競争する個人を育ててきました。

 この対極にある教育が、共生と創造の教育です。共生と創造の教育とは、具体的には、(1)受験から実力へ(2)学校から家庭へ(3)点数から文化へ(4)競争から独立へ、という方向の教育を目指すことです。
 その教育の中心になるものとして、創造性を育てる作文の教育を行い、その作文の教育をきっかけとして家庭での対話や地域での交流を生かし、余裕のある創造的な作文教育の土台として効率のよい教科の学習を進めるという教育を行っていきたいと思っています。

 理想は高く、現実は低く。
 作文教育の現場は実際には、もっとレベルの低いものです。
 中には、書くことをお父さんやお母さんに取材して、親子の対話をもとに優れた作文を毎週書く子もいます。しかし、中には、書くことを決めてこずに、予習もせずにただ先生の説明だけを聞いて、解説を写すような形で書く子もいます。
 それでも、だんだん多くの生徒が、自分なりに考えてその子らしい文章を書くようになっています。
 日本中の子供が、毎週そういう作文を生き生きと書けるような社会を目指していきたいと思います。
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