作文の通信講座の教材を見て感じたことを書いています。
取り上げたのは、
ベネッセ、
Z会、
ブンブンどりむ、
ドラゼミ、
学研、
白藍塾、その他です。
通信講座全体に関する話の続きです。
第四は、作文の通信指導の特徴が赤ペン添削ということになっているために、赤ペンがびっしり書いてあることを売りにしているところが多いことです。
しかし、その赤ペンの多くは、あまり意味がありません。勉強は理屈で説明して理解して完成というようなものではなく、その理解を何度も繰り返し定着させることが大事ですから、赤ペン添削を読むだけでは、そういう定着作業はまずできません。
通信指導=赤ペン添削というのは、多分に惰性で行われている面があります。赤ペンでは作文の実力はつかないと思います。
第五は、記述問題や作文問題を提出したあとに、赤ペン添削と一緒に優秀作品や模範解答例が送られてくることです。
教科の学習のように答えがひとつに決まるものであれば、模範解答も意味がありますが、記述や作文の模範解答はあまり意味がありません。
特に作文の模範解答例は、何かのプラスになるよりも、親がその解答例と比較して子供を煽る原因になり、子供が自信をなくすという結果しか生みません。小学生の場合は特にそういマイナスの方が大きいのです。
第六は、通信教育の多くが、肝心の実力をつける勉強に集中して取り組むような形でなく、さまざまなおまけの勉強を伴っていることです。
例えば、小学生の勉強で最も大事なのは、国語と算数ですが、大手になるほど理科や社会も含めて満遍なく多くの教科を用意するようになります。理科や社会は、学校で教科書を読んでいれば済むものですから、家庭でわざわざ時間をとってやるほどのことはありません。
しかし、そういう教材が全体の流れの中に用意されていると、親も子もついすべてをやってしまいたくなります。その結果、肝心の国語と算数の力をつける時間が少なくなるのです。
第七は、言葉の森以外の作文指導の多くが、明確な事前指導を持っていないことです。
作文の構成メモを作るようなスモールステップ方式の導入学習はありますが、よく書ける子にとって、そういう導入学習はかえってわずらわしいものです。また、よく書けない子にとっては、導入部分が易しくてすぐにできても、そこから作文を書くまでには大きなギャップがあります。
また、こういうスモールステップ式の学習をしている子は、作文というのはまるで教材でお膳立てしてもらわないと書けないような特殊な勉強だと勘違いしてしまうと思います。
作文は、教材の助けがなくても、自分で書けるようになることが大切なのです。
第八は、これは明確な事前指導がないことにも関連しますが、書けない子をどうするかという指導がないことです。
作文が苦手な子の保護者は、書き出させることにまず困っています。書き終えたあとの赤ペンがいくらていねいであっても、その前にまず書くこと自体につまずいている子が多いのです。逆によく書ける子の場合は、書けたからといってどうということはないという評価になりがちです。
通信教材の多くは、四コマ漫画を使ったり、物語の続きを書かせたりと、子供が面白さを感じて取り組めるような課題を準備しています。しかし、面白そうだと思って書いてはみたものの、書く前の事前指導がないので、書いたあとの評価も、主観的にただ褒めるだけか、表記の間違いを注意するかだけになってしまいます。つまり、指導と評価を結びつける明確な基準がないのです。
第九は、作文指導に関しては、通信教育のほとんどが小1から小6までで終わっていることです。
作文の学習が本当に勉強らしくなるのは、小学校5、6年生の説明文のあと、中学生の意見文に入ってからです。ところが、どの作文通信講座も、小6の公立中高一貫校の作文試験を終点としています。だから、本当の実力がつかないのです。
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中学受験対対策に役立つというので、以前、娘が1年間、学研の作文指導を受けました。教材の内容は古臭く、どう見ても私立中学受験や効率中高一貫校受検に対応しているとは思えませんでした。都内の進学塾に通わせるようになり、そちらで一貫校向けの作文講座があったので、そちらに切り替えました。講師の先生がよく添削していただいたので有難かったです。学研は主人の仕事上の付き合いのある方からの紹介でしたが、子供にとっては得るものがありませんでした。添削の仕方にも疑問を感じました。
作文や国語の勉強の中心に、通信教育を行っているいろいろな団体の教材を比較してみました。
取り上げたのは、進研ゼミ、Z会、ブンブンどりむ、学研、ドラゼミ、その他です。言葉の森の教材と比較して考えてみました。
それぞれの通信講座のよいところは、その団体がしっかり宣伝しているので、ここでは問題点を中心に挙げてみます。
まず第一に、通信教育は、通学教育ではできないことをするものですが、そのためには通信を活用した双方向性がなければなりません。しかし、ほとんどすべての通信教育は、ただ教材が定期的に送られてくるだけで、課題の提出とその添削講評というやりとりがかなり少ないのです。1、2か月に1回提出するという勉強では、個別指導や担任制とは言っていても、担任という実質的な意味はありません。
教材が送られてくるだけで、通信的なやりとりの少ないことが現在の通信教育のいちばんの問題です。(言葉の森は週1回の提出で、提出率は91.6%です)
第二は、毎月送られてくる教材の多くが、市販の問題集を薄い分冊にしたようなものだということです。これなら保護者が書店で問題集を自分で選んで使った方が、子供の実態に合わせた勉強ができます。
市販の問題集にも、いろいろな長所や短所がありますが、保護者が自分の目で見て取捨選択できるというところと、通信の教材よりもはるかに割安だというところが優れています。
第三は、教材が毎月送られてくるという性格上、1冊が薄いものになり、薄い教材が何種類もたまる結果になりがちだということです。
薄い教材が多くなると、保管して何度も繰り返すという勉強がしにくくなります。
通信教材は、子供が自分でできるように導入部分は易しく面白く工夫されていますが、そういう易しい問題は、いくらやっても力がつきません。
本当に力がつくのは、すぐにはできなかった問題ですが、1回目にできなかった問題というのは、普通は3、4回繰り返して初めて身につきます。ところが、保管しにくい薄い教材では、繰り返すといってもせいぜい1、2回です。
だから、本当は教材は1年間通して使えるような1冊のものがいちばんいいのです。1冊にまとめた方がいいものを何冊にも分けてあるというのが、今の通信教材の問題点です。(つづく)
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