日本人の国民性もあると思いますが、子供が、いい成績と悪い成績の両方を持ってきたら、親はまずその悪い成績の方に目が行くと思います。
いい成績を褒めるのは後回しにするか、あるいはすっかり忘れて、悪い成績の方だけを話題にしてしまうのです。
作文の場合は、この欠点指摘がもっと強く出てきます。
というのは、子供たちの書く作文はどこかしらに必ず不十分なところがあるので、ついその欠点の方に先に目が行ってしまうのです。
言葉の森の生徒のお母さんに、よく電話面談などで、「子供の作文はいいところだけ見て褒めてあげてください」と言いますが、「いいところがないときはどうするのですか」と聞くお母さんも多いのです。
子供の立場に立ってみるとわかりますが、時間をかけてそれなりに苦労して書き上げた作文を、お母さんが見て、「字がきたない」「漢字を使っていない」「この文がおかしい」「意味が通じない」などということばかり言われたら、次回から作文を書きたいとは思わなくなるでしょう。
それなのに、お母さん方の中には、先生に、「うちの子はいくら言われても大丈夫ですから、直すところをたくさん言ってください」と言う人がいるのです。
欠点を直すという方法で作文が上手になるのだったら、日本中の子供は、すぐにみんな作文が上手になっているでしょう。
しかし、そうはなっていません。
欠点を指摘するのは、教える側の工夫がないからです。
長所を指摘して伸ばすところに、本当の教え方の工夫があるのです。
その工夫の一つが、言葉の森で行っている事前指導です。
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ないものを数えるのではなく、あるものを生かそう
https://www.mori7.com/index.php?e=1815
5月18日のfacebook記事より
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持っていないものを数えるのではなく、持っているものを活用しよう。
ないものを使おうとするのではなく、あるものを使おう。
お金がないのなら、お金以外のものを使えばいいし、時間がないのなら、時間以外のものを使えばいい。
若さがないのなら、若さ以外のものを使えばいいし、経験がないのなら、経験以外のものを使えばいい。
どちらも何もないとしたら、ゼロからスタートできるという利点がある。
そう考えると、みんな何かを持っている。
小学生の作文の課題で、「私の長所短所」「家族の長所」という題名があります。
すると、短所だけはすぐに思いつくのですが、長所がなかなか出てきません。
ないものは見つけやすいのですが、あるものはなかなか気がつかないのです。
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実力と成績とは区別して考える必要があります。
入試のための成績を上げるには、苦手を改善することが第一です。
入試は総合点で決まるからです。
しかし、その子の本当の実力を伸ばすには、得意なものをどんどん生かしていくことです。
学校時代は苦手を直すことが中心になりますですが、社会に出てからは長所を伸ばすことが大事になってくるからです。
作文の勉強で大事なのは、書いたあとではありません。
書いたあとにいくらていねいに添削しても、それで力がつくわけではないからです。
大事なのは書く前の準備で、その一つが事前指導で、もう一つが家庭での準備です。
その家庭での準備を充実させるものとして、思考発表クラブの授業を掲載しています。
作文がうまくなっていく生徒さんは、家庭で課題についてよく話し合っています。また、ご家族がそれを楽しんでいるのです。実際に多く生徒さんに作文指導していると、本当によくわかります。
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小4の5.1週の課題は、「家族でスポーツをしたこと」。
連休中に、家族で共通に楽しめるスポーツができるといいですね。
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思考発表クラブは、次の週の作文の予習と、算数の似た問題作りと、それぞれの生徒の読んだ本の紹介、作品の発表、そのあとの保護者懇談と盛りだくさんです。似た問題作りは、力作が多いのでいつもい感心しています。
これまでの勉強は、答えを早く見つける勉強だったので、よくできる子にはつまらなかったと思います。
答えのある勉強で百点を取っても嬉しくも何ともありません。(何ともではないですが)
いちばん面白いのは、自分で作り出す勉強です。そのために、子供の生活時間はもっと余裕のあるものにしていくべきだと思います。
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あるとき、全然作文が書けない、書けても間違いだらけ、しかも字数もほんのわずか数行だけ、そして、何よりも文章がほとんど読めないという小学校高学年の子が、言葉の森の教室に来ました。
本人もお母さんも、どうしたらいいか途方に暮れていました。
その子とお母さんに説明した勉強法は、何しろ毎日、長文を音読すること、できれば暗唱するぐらいまで読むことでした。
音読は、ただいろいろな文章を音読すればいいのではありません。
その文章を暗唱できるぐらいまで同じものを繰り返し読むことが大事です。
ところが、大抵の子は、同じものを繰り返し読むのは退屈するので、次々に新しい文章を音読したがります。
それでも音読をしないよりはましですが、繰り返し読むのに比べて効果はぐんと落ちます。
学校で音読の宿題を出すところが増えてきましたが、全体に繰り返しの回数が少ないのではないかと思います。
その子の学校はそういう宿題がなかったので、言葉の森の長文の音読だけを毎日続けました。
その子は漢字がほとんど読めなかったので、言葉の森のサイトで全部ルビ振りにしたものを印刷して、同じものを1週間読むということにしました。
そして、それに加えて毎日の読書も必ずやってくるようにしたのです。
すると、ある時期から急に作文が長く書けるようになり、数年たつと同学年の生徒よりも語彙の豊富な立派な文章を書けるようになりました。
そして、高校入試では、数年前には考えることもできなかったような第一志望の高校に合格したのです。
その間、やっていたことは毎日の音読と読書だけです。
大事なことは、その音読と読書を毎日一日も欠かさず続けたことです。
勉強でうまくできないことがある子の勉強の仕方には特徴があります。
それは、お父さんやお母さんが、あるとき集中して教えるような勉強の仕方をしていることです。
休みの日に数時間集中してそのことを教え込むような勉強の仕方をすると、確かに何とかできるようになります。
しかし、そこで、親も子もくたびれ果ててしまうのです。
そして、しばらくすると、またもとの何もしない状態に戻ります。
ある時期集中して勉強するという勉強スタイルは、お父さんやお母さんの教え方だけでなく、子供の勉強スタイルにも出てきます。
そういう子は、やっているときはすごくがんばっているように見えます。
しかし、そういう勉強法では効果が出ないので、やはり自分はその勉強は苦手なのだと思ってしまうのです。
小中学生の勉強に、苦手ということはありません。ただ、毎日やる仕組みを作っていないだけなのです。
勉強の基本は、あるときたくさんではなく、毎日少しずつです。
言葉の森の自主学習クラスも、この毎日少しずつが自然にできるようになることを目的にしています。
特に、国語問題集読書のような勉強は、家庭でやるとすぐに飽きてしまいます。
成果がすぐに目に見えないような勉強こそ、この毎日少しずつという勉強の仕方が大事なのです。
▽自主学習クラス
https://www.mori7.net/teraon/jiga/
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よく、○○が苦手という子がいますが、小・中学校の義務教育の勉強では、苦手も何もありません。
ただその勉強をやっていないだけです。
しかし、やると言っても数日間集中するような勉強法では成果が出ません。出てもすぐに元に戻ります。
家庭で無理のない勉強法を決めて、それを毎日続けることが大事です。
しかし、この毎日続けてということに、まず子供が飽きて、次に親が飽きてしまうことが多いのです。
毎日短時間でいいから同じことをやっていると、必ず力がつきます。
しかし、そこでちょっと力がつくと、すぐに問題集を次々とやるような勉強に戻ってしまう人が多いのです。
同じものを徹底して繰り返すという勉強はそれほど続けにくいのです。
できる子はどの子も、1冊を完璧に仕上げるような勉強法をしています。
逆にできない子は、次々に新しい問題をやるような勉強法をしています。
勉強法の習慣は、それほど変えにくいのです。
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以前、勉強の量と質と環境と想念について書いたことがありました。
この中でも最も大事なものは、量と質で、簡単に言えば、時間をかけて正しい勉強の仕方をすれば誰でも成績は上がるようになっています。
逆に言えば、勉強で苦手なものがある場合は、時間をかけていないか、正しいやり方でやっていないかのどちらかです。
よく、苦手な教科があるという人がいますが、そのほとんどは、その苦手な教科に時間をかけて勉強していないだけです。
勉強の質という点で言うと、できない問題をできるようにするというのがその質の中身です。
しかし意外と、できない問題を飛ばして、できる問題だけをやる勉強の仕方をしている人が多いのです。
できる問題をやっているときは、気分のいいものです。
通い慣れた道をドライブするようなもので、苦労せずに気軽に勉強ができます。
そして、やった問題に全部○がつけば、本人も嬉しいし、周りの人もそれを褒めてくれます。
勉強に慣れることも大事な小学校低中学年のころはそれでもいいのです。
そのころには、できない問題などはまずほとんどないからです。
低中学年で、なかなかできないような問題をやらせるとしたら、その勉強法の方が逆に問題があります。
しかし、その小学校低中学年の、できる問題をやる勉強法のまま、中学生になっても、高校生になっても、更には大学受験の時期になっても、質の伴わない勉強をしている生徒が意外と多いのです。
この勉強法の良し悪しについては、本人が自覚しにくいだけでなく、学校や塾の先生も気が付きにくいものです。
見えるのは、勉強している量だけで、その質の面が本当にわかるのは本人だけだからです。
だから、家庭でお父さんやお母さんがときどき勉強の仕方を見てあげる必要があるのです。
そして、その土台作りとして、小学校低中学年のころは、子供に次のように言っておくのです。
「○がつくのはいいことだけど、×がつくのは、その分自分が成長するのだからもっといいことなんだよ」と。
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勉強を進めるための4つの見方
https://www.mori7.com/index.php?e=2008
facebook記事より。
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その1、量。
ある程度の時間をかけることは必須です。
勉強が苦手だという子のほとんどは、ただかけている時間が少ないだけです。
その2、質。
時間をかけているわりに成果が上がらない子は、無駄の多いやり方をしています。
例えば、簡単にできる問題を何問も解き、はた目には勉強しているように見えてもただの作業になっているような場合です。
その3、環境。
勉強する以前の環境作りも大切です。
例えば、テレビやゲームの時間には明確なルールがなければなりません。
ルールを守ることが難しい場合は、捨てちゃうことです(笑)。
その4、想念。
「勉強は、誰でもやればできるようになる。人間には、皆その能力がある。早くできるかちょっと時間がかかるのか違いだけ」
そういう確信を親がまず持つことです。
何だか自分の仕事の仕方にもあてはまりそう。反省。
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勉強は難しいものではありません。
答えがわかっていて、その答えの導き方もわかっているのですから、あとは勉強の量と質だけです。
本当に難しいのは、答えのないもので、そこには努力と工夫と飛躍が必要になります。
勉強を難しくしているのは、正しくないやり方をしていることだけなのです。
どんなことでもそうですが、大事なのは才能の有無ではなく、努力の量と質です。
ただ成果が出るまでに時間がかかることがあるので、苦手な人は、それをつい才能の問題と考えてしまうだけです。
だから、子供に最も身近なお母さんが、才能ではなく努力だということをしっかりと確信しておくことが大事です。
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