何事も、最初に始めたときの印象が、その後ずっと続く印象の土台になります。作文も、最初に書いたとき、たくさん褒められれば好きになります。直すところを注意されれば嫌いになります。直すのは、充分に自信がついてからいいのです。
子供が親に何かを説明するときも同じです。その説明が、どんなにもたもたしていて要領を得ないものであっても、最初に褒めれば説明が得意になります。最初に注意されれば説明が苦手になります。
音読も、暗唱も、同じです。最初は誰でも下手なのが普通です。しかし、だから最初はたっぷり褒めてあげることが大事なのです。
あるサイトに、「子供が説明するのが下手なので、どうしたらいいですか」という質問が載っていました。
その回答は、「説明の仕方として、『いつ、どこで、だれが、なにを、なぜ、どのように』などを使って説明する方法を教えてあげる」でした。
しかし、この回答のとおりに、お母さんが、子供の説明に、「それはいつ? どこで? だれと? なにを? なぜ? どうしたの?」などと聞いていったら、子供は確実に説明が苦手になります(笑)。
説明の方法を教える以前に、その説明を楽しく聞いて褒めてあげることです。そして、その説明を聞きながら、お母さんが自分の体験で似た話をしてあげるのです。
そのお母さんの説明の中に、自然に、「いつ、どこで、だれと……」などが入っているので、子供はお母さんと楽しく話をしながら上手な説明の仕方を身につけていきます。
本当の勉強というのは、苦しく厳しく注意して直すものではなく、楽しく明るく褒めて自然によくなっていくものなのです。
【参考記事】
「あるがままを褒める―作文がなかな書けないときはすぐに電話を」
https://www.mori7.com/as/1623.html
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私の娘も六年生で、いまだに2語までの文章でしか話さず、散々にしかってきました。もういまさらであきらめています。
あきらめのはまだ早い(笑)。
これまでのことを子供に説明して、「これから、いつもいいところを見ていくようにするからね」と約束すればいいのです。
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入試のテストというのは合格するためのものですが、それ以外のテストというのは、すべて模擬試験のようなものです。いい点を取ることが目的ではなく、自分の弱点を知ることが目的です。ですから、言い方を換えれば、いい点を取るよりも悪い点を取る方がいいのです。
しかし、子供はそういうことはわかりません。テストというのは、全部いい点を取らなければならないものだと思っています。
だから、身近な大人が、テストの意義をわかりやすく説明してあげる必要があります。例えば、「テストというのは、あいまいなところは当てずっぽうで答えを書き込まずに、空欄にして×にしてもらってきた方がいいんだよ」というようなアドバイスです。
子供はみんな純真ですから、大人が正しいことをわかりやすく言えば、そのとおりに理解します。ズルをしてでもいい点数を取ろうとする子などは、ほとんどひとりもいません。だから、まず大人の姿勢が大事なのです。
今度、言葉の森の通信クラスで学力テストという模擬試験を行うことにしました。自宅で行うテストですから、ごまかそうと思えば、いくらでもごまかすことができます。しかし、大人がテストの意義をわかりやすく言えば、それでほとんどの子は正しくやるのです。
テストそのものよりも、むしろそういうことを話してあげることの方が意味のあることかもしれないと思いました。
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1学期期末テストをいい結果を出そうと今まで以上に頑張ったけど全く結果出せなくて勉強を投げ出そうとしたけどこの記事を読んですこし元気になりました。ありがとうございました。
北海道の学力 ABCでも同じことが言えますか?
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ツバメのツーちゃんと名犬ゆめ
作文は、国語力の集大成なので、欠点が目につきやすいという話の続きです。
よくあるのが、「字がきたない」「漢字を使わない」。
男の子なら、誰でも身に覚えがありそうです(笑)。
字がていねいで、漢字が使ってあるのにこしたことはありません。
しかし、字のていねいさは、初めて文字を書き始めた小1のころからのことなので、文章を書く量が増えてからではなかなか直りません。
また、文章の中身がよければ、今はパソコンで入力できるので、生活上困ることはほとんどありません。
昔、超がつくほど字の下手な生徒がいましたが、高3のとき代ゼミの小論文模試で最高点を取ってきました(笑)。
いい文章を書く子と、字の下手な子というのは、ある程度の相関があるような気さえします。
だから、ていねいに書くことは大事ですが、そんなに気にすることはないのです。
漢字は、書き取りの練習を真面目にしていなければ正しく書けるようにはなりません。
だから、思った以上に時間がかかります。
800字の作文で誤字が1か所あったとしたら、それは確率的に1か所あるということなので、文章に誤字が全くなくなるまで約1年かかります。(週に1回書くペースで)
成績の優秀な高校生でも、小学生のころは遊びほうけているのが普通ですから(そうでない人もいますが)、小学校の4、5、6年生で習った字を勘違いして覚えていることがかなり多いのです。
これは、高校生のときに小論文の勉強をみっちり1年間やれば直ります。
だから、大学入試に小論文があるというのは、実はとても意義あることなのです。
言葉の森で作文の勉強をする目標の具体的なイメージは、大学入試の現代文と小論文で高得点が取れることと、更にその上に創造的な思考ができるようになることです。
そのための方法は、多読と難読と対話と作文です。
そういう大きな方向さえ押さえておけば、途中の小さな欠点はそれほど口やかましく言う必要はありません。
注意をすることによって、親子でストレスを感じることの方が問題なので、基本はいつも楽しく褒めていくことです。
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====4月15日のfacebook記事より====
作文というのは、国語力の集大成のようなものですから、いろいろなところで欠点が目につきやすいものです。
ほとんどの人は、それをすぐに直そうとします。
しかし、その欠点はそう簡単には直らないものがほとんどです。
だから、作文教育に熱心になればなるほど、作文の苦手な子が増えるのです。
誤解の多い指導法でよくあるのは、ほかの子の上手な作文を見せることです。
... 上手な作文を見せて、「こんなふうに書いたらいいんだよ」と言われて、「はあい、そんなふうに書きます」となる子はひとりもいません。
作文は、その子のこれまでの読書や対話や経験の総合的なものですから、すぐには書き方を変えることができないのです。
上手な作文を何度も見せられていると、だんだん劣等感が増してきて、かえって書けない子になっていくのです。
いちばんいいのは、その子の作文のいいところだけをしっかり褒めることです。
そして、その一方で、読書や音読や対話の自習を気長煮続けていくことです。
しかし、褒め方も、ただ褒めればいいというだけでは、そのうち褒めることがなくなってきます。
その子のできるぎりぎりのところを目標にして、それができたら褒めるということができればいちばんいいのです。
今日も、いい天気で、風の強い日です。
ちょうど春先は、「風が吹けば桶屋が儲かる」という季節なのでしょう。
桶と言えば、桶に入る水の量は、その桶の周りを囲むいちばん低い板によって決まるというリービヒの最小律という法則がありました。
作文の評価も、欠点が最初に目につきやすいという点で、ちょっとそれに似ています。
桶に入れるものを液体ではなく、果物のような固体にすると、もしかすると最大律というものが成り立つのかもしれません。(新しい法則(笑))
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====4月13日のfacebook記事より====
本当は、勉強は楽しいものです。
その楽しい勉強観を持つためには、自分で勉強することが大事です。
本格的な勉強が始まるのは、高校生になってからです。
そのときにがんばれる子は、小学校時代に自分のペースで余裕のある勉強の仕方をしてきた子です。
小学生の勉強する内容は限られているので、時間をかければ誰でも成績が上がります。
だから、塾によっては、学校が終わってからすぐその足で塾に向かわせ、夜中まで勉強漬けにするところがあります。
そして、それで実際に成果が上がるのです。
しかも、子供はそのときそれなりに生き生きと楽しくやっているように見えます。
しかし、そのあとが問題です。
自分で勉強するのではなく、人にやらされて勉強することに慣れてしまった子は、中学生になっても、やらされないと勉強できなくなることが多いのです。
そして、勉強は、苦しいものだから、強制や褒美がないとできないものだという勉強観を持ってしまいます。
だから、小学生の勉強は、結果が第二、方法が第一です。
結果を求めすぎると、方法が二の次になってしまいます。
子供が小さいときほど、勉強は子供自身のペースで無理なくやるようにしていくことです。
その結果と方法の兼ね合いを見られるのは、やはりお父さんやお母さんなのだと思います。
今日ものどかな春の空です。
植え込みのツツジも、次々と花を咲かせ始めました。
ツバメは、まだ来ていないようですが、今ごろ太平洋のどこかを飛んでいるのでしょうか。
果たして、この間作った巣に来るかなあ(笑)。
それでは、今日もいい一日をお過ごしください。
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