言葉の森の作文指導の特徴は、事前指導があることです。
その事前指導の要となるのが項目指導で、小1から高3までの作文は、この項目指導の流れとしてできています。
以前は、この項目指導を徹底するために、項目シールを作っていましたが、生徒が形のあるものに頼らないようにするために、項目マークを自分で書くというやり方にしました。
構成なら「枝」、題材なら「葉」、表現なら「花」、主題なら「実」という絵で、それを時分で絵でかくのです。
1編の作文を1本の木に見立てると、この構成、題材、表現、主題の区分は、自然の木とよく似ています。
しっかり枝を伸ばし、たっぷり葉をつけ、きれいな花を咲かせ、おいしい実をつけるという木です。
そういう木を、課題の山に植えていくというストーリーで作文のカリキュラムを考えています。
ですから、進度の名称も、小1がアカシアの山、小2がカキの山、小3がサツキの山となり、ずっと進んで高3がザクロの山になります。1学期は、アカサタナの順番です。
そして、2学期は、イキシチニになるので、小1がイバラの山、小2がキンモクセイの山になるのです。
さて、その項目マークですが、親子作文の場合は、親子で作文を書くので、子供が項目マークということをあまり意識しません。
親子の対話のきっかけは、一緒に構想図を書きながら項目を考えることですから、項目シールを使う方がわかりやすいのではないかと思いました。
すると、ちょうど4色のシールがありました。
いずれまた、言葉の森独自のシールを作るかもしれませんが、当面はこのシールを使って親子作文の対話がしやすいようにしようと思いました。
それが、このシールです。
4色がぢょうど、構成、題材、表現、主題に対応しています。
構成(枝)は、青です。枝の隙間から青い空が見えるからです。
題材(葉)は、もちろん緑です。
表現(花)は、黄色です。
そして、主題(実)は、赤です。
黄色い花が咲いて赤い実のなる木というのは、どんな木かあるか、園芸に詳しい方で知っている方がいたら教えてください。
このシールを使って、親子でこんな対話をするのです。
母「じゃあ、絵がかけたから、青い空の青シールね。次は、□○□○ってあるかなあ」
子「ジャブジャブっていうのはどうかなあ。雨が降ってきたし」
母「あ、それいいね。では、花の黄色シールね。ペタン。次は、赤い実のシールで、『どうしてかというと』だけど」
子「えーと、どうしてかというと、春は天気が変わりやすいってお母さんが言ったじゃない」
母「あ、よく覚えていたね。じゃあ、赤い実のシール、ペタン。春はね、三寒四温と言って、温度も変わりやすいけど、天気も変わりやすいんだよ。冬の間は西高東低の気圧配置で、日本列島は太平洋側が晴れの同じ天気が続くんだけど、春になると、大陸の高気圧が日本に次々を移動してきて天気が周期的に変わるからね。」
子「ふうん、そうなんだ」
母「さあ、残りは、みんなの言った会話で、緑の葉っぱシールだけど、会話はあるかなあ」
子「うん、たくさんあるよ。えーとねえ……」
という感じで、親子で構想図を書きながら、言葉遊びのような感じで作文の勉強をしていくのです。
この対話の重要なところは、共通の話題をもとにして、作文を書くという共通の目標があるので、親から子への知的な話がしやすいということです。
これがもし、理科の勉強のような感じで、子供に話をしたら険悪な雰囲気になる可能性があります。
母「ちょっと来なさい。今日は理科の勉強をするから」
子「はい」
母「いい。この天気図をよく見なさい。これはね……」
子「……」
親子の対話は知的にする必要がありますが、楽しく知的にすることが大事です。
お母さんは、いつもにこやかに遊びのような感じで、いつの間にか勉強的なことをしているという状態を目指すといいのです。
「最レベ」などの難しい問題集をやらせるよりも、親子で知的な対話をした方がずっと子供は勉強が好きになりできるようになるのです。
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小1、小2のころは、親の意思で子供にどんなこともさせられる時期です。
だから、この時期に勉強の詰め込みをするようなことはせず、親子で楽しい対話をする時間を作っていくといいのです。
発明家の中松義郎さんは、よく笑いのネタとして取り上げられることがありましたが、実は立派な人です。
その中松義郎さんを育てたのは、優しい知的なお母さんでした。著書「お母様」には、そのことが詳しく書かれています。
子育ての基本は、昔も今も共通です。
お父さんやお母さんが、子供に楽しい知的な話をすることがすべてで、それに毎日の読書が加われば、問題集をやらせたり塾に通わせたりする必要はないのです。
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Zoomを使ってオンラインの少人数クラスで作文を勉強するというコンセプトがわかりにくいと思うので、なかなか人が集まらないかと思ったのですが、それでも毎日数人のペースで参加者が増えてきました。
しかし、このクラスの難しいところは、人数が多くなりすぎても少なくなりすぎても少人数クラスではなくなってしまうことです。
今後、学年別のクラスが軌道に乗れば、作文の勉強はこれまで以上に高度にできるようになると思います。
子どもたちにとって、一生懸命に書いた作文は自分の分身のようなものです。
だから、人からその作文に対する感想を言ってもらうとうれしいのです。
そして、不思議なことに、これまで誰一人も、ほかの人の作文の欠点を感想で言うような子はいませんでした。
みんな、(今の大人の世代が子供だったころより)人間ができているような気がします。
この寺子屋オンライン作文よりもコンセプトがわかりにくいと思うのが、発表学習クラスです。
発表学習は、創造的な学習を発表することが目的ですから、単なる発表だけではありません。
どこかに出かけて遊んだという発表も発表ですが、そこから学問的なところまで発展させることが大事です。
それは、小学校中学年までの子供には少し難しいので、お母さんが、「こういうことを調べてみったら」と言ってあげるといいと思います。
その親子の対話の中で、子供たちはものごとを学問的に見る見方を養っていきます。
それを日曜日などの親子の関わりの時間の中でやっていくのです。
一方、逆に学習が単なる学習になってしまっても、本来の発表学習の意義は薄くなります。
例えば、教科書や参考書に書かれている知識を書き写すような発表は、勉強としての意味はありますが、それだけではその子にとって面白いものになりません。
学問を教科書から引っ張ってくるのではなく、自分の経験から引っ張ってきて、そこにもうひとつ自分の創造を加えて発表するというのが発表学習の目指す学習です。
子供たちにとって、こういう抽象的な目的はわかりにくいと思いましたが、子供たちの中には、こういう目的を把握しているかのように素晴らしい発表を毎回行う子がいました。
そういう子供たちは、互いの発表に感想を言う場合でも、深く考えられた感想を簡潔に言う力がありました。
これからの未来の学力として求められているものが、発表学習クラスの中にはあると思います。
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少人数クラスは、多くなりすぎても少なくなりすぎても少人数にならないというややしいところがあります。
だから、このあたりが独自のノウハウになると思います。
作文教室というのも、最初はすごくわかりにくいコンセプトで、そのころ来たのは、優秀な子(とお母さん)が多かったです。
今の寺オン作文や発表学習クラスもそれに似ているところがあると思います。
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小山工業高等専門学校 H.K.さん
(担当講師より)
将来は技術者になりたいという目標を一貫して持ち続けていた立派な女の子です。合格されて本当に良かったです。
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都立竹早高校 M.G.さん
(担当講師より)
受験勉強と作文、どちらも全力で頑張ってくれました。「疲れた、ほっとした」と笑っていました。
おめでとうございます‼ 本当によかったです。
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小学1、2年生の子供には、親がすべてです。
お父さんやお母さんの言ったことは、すべて正しいことのように考えてそのまま吸収します。
だから、この時期は何でもできるようになります。
この時期の子供たちは、親や尊敬できる大人を模倣しながら成長していきます。
小学3年生になると、小1、小2と同じように親の言うことを聞くことに加えて、勉強面でもどんどん力がついてきます。
やらせれば何でもやれるようになる感じがします。そして、実際にいろいろなことがやれるようになります。
しかし、この時期にやらせすぎると、あとから反動が来ます。
この時期は、親のペースでやらせるよりも、本人の自主性に任せるように、方向を切り替える時期です。
しかし、すべての親にとって子育ては初めての経験なので、自主性に任せるような非能率なことをするよりも、親の指示でやらせる方向をそのまま進めてしまうことが多いのです。
親の指示でやらせると、何でもどんどん捗(はかど)ります。
ところが、親の言うことをよく聞いていた子ほど、小学4年生から、急に親の指示に反発を示すようになります。
人間は、もともと自分の意思で行動したい生き物なので、人の示した道をそのとおり歩むというのは抵抗があります。
そういう人間本来の意思が出てくるのが、この小学4年生からの時期なのです。
この時期から先の子供は、次第に親から離れた子供だけの世界を持つようになります。
しかし、この小学4年生から先は、勉強が難しくなる時期で、作文の課題も考える内容のものが増えて急に書きにくくなってきます。
だから、本当はこの時期から、親子が助け合って勉強を進めていかなければならないのです。
親子が協力しなければならない時期に、子供の自立が始まり、親と子だけで勉強を進めることが難しくなります。
子供は、親から離れようとします。親が引きとめようとすれば、ますます離れようとするようになります。
この時期は、親も子供から離れる時期なのです。
子供は、親から離れて、友達との関係の中で自分を成長させるようになっています。
これからの時期は、親の言うことを聞かせる時期ではなく、いい友達を作る時期です。
親の役割は、子供にいい友達のできる環境を作ってあげることになります。
そして、親自身も、同学年の子供を持つ他の親といい友達関係を作ることになるのです。
小学4年生から先の子育ては、親子で単独でやるものではなく、他の友達の親子との関係を含む社会生活の中で進めていくようになるのです。
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子供が親の言うことを聞かなくなったら、それは本当は喜ぶべきことです。
そういう子は、頼りになるからです。
逆に考えればわかりますが、いつまでも親の言うことを聞いている子がそのまま大人になったら、全然頼りになりません。
だから、親は早めに子供の自主性を生かす方向に子育てを切り換えていくといいのです。
小4からの親子関係の助けになるのが、他の友達の親子です。
親と子だけの関係から、社会の中での親子関係に移る時期になるのです。
他の親子はライバルなんて言っていられません。
この小4からの新しい親子関係に、寺子屋オンラインの少人数クラスが活用できます。
子供は、きれいで優しいお母さん、格好よくて面白いお父さんが好きです。
だから、小4までに、お父さんお母さんは、そういうふうになっておくといいのです。
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