ログイン ログアウト 登録
 Onlineスクール言葉の森/公式ホームページ
 
記事 2493番  最新の記事 <前の記事 後の記事> 2025/11/5
勉強の順番は、1に国語2に国語 as/2493.html
森川林 2015/12/13 21:05 


 勉強の順番から言うと、国語が一番です。
 しかし、この国語は漢字の書き取りや、国語のドリルのような勉強ではありません。まず本を読むこと、そして親子で対話をすること、更にできれば文章を書くこと、つまり文化としての国語なのです。
 この国語力さえしっかりしていれば、それ以外の勉強はあとからいくらでも間に合います。

 例えば、想像をたくましくして考えてみるとわかりますが、歴史上の有名な人物が、今の社会に突然登場したら、その成績はどんなだったでしょう。
 聖徳太子が、突然、現代の中学生になって勉強したとすれば、国語は言葉の使い方にギャップがあるとしてもそれでも高得点でしょう。
 しかし、数学は、たぶん0点でしょう。英語も、まず0点でしょう。
 しかし、聖徳太子が一念発起して、数学と英語に取り組めば、数年もせずに高得点になるはずです。

 例は聖徳太子でなく、西郷隆盛でも、勝海舟でも誰でもかまいません。
 つまり、知識的な勉強は、時間はかかるとしてもあとからでも間に合います。しかし、思考的な勉強は、考える力の土台ですから、あとからでは間に合わないのです。

 確かに、数学的なものの考え方は大事です。
 物事を生まれつき理詰めに考える人もいますが、数学の勉強によって理詰めに考える力が育ちます。
 また、これからの社会で仕事をするためには、数学的な素養がさまざまなところで必要になってきます。

 外国語は、自分の文化を相対化して考えるために役に立ちます。
 また、今はコミュニケーションの道具としても、英語は役に立ちます。

 しかし、今の数学と英語の勉強が、学校でなぜ重要になっているかというと、受験で差がつきやすい教科だからという理由の方が大きいのです。
 その証拠に、社会に出たら、特に数学や英語を使わなくても日常生活を支障なく送れるという人の方が圧倒的に多いのです。

 さて、勉強で大事なのは国語力だとしても、人間は勉強の力だけで生きているわけではありません。
 昔から言われているように、知育、徳育、体育のバランスが、人間の生活を作り上げています。

 徳育の基本は、正直に生きることと、思いやりを持つこと、勇気ある行動をとれることです。
 体育の基本は、健康な生活をすることです。
 これらは、いずれも家庭が中心になって行うことです。

 だから、国語力を中心とした知育も含めて、子供の教育のほとんどは家庭で作られ、その表面の仕上げのようなところだけが学校や塾で行われているのです。
 このように考えると、子育て全体については、1に躾、2に健康、3に読書と対話、あとは自由に、ということになるかもしれません。

この記事に関するコメント
コメントフォームへ。

同じカテゴリーの記事
同じカテゴリーの記事は、こちらをごらんください。
勉強の仕方(119) 子育て(117) 

記事 2492番  最新の記事 <前の記事 後の記事> 2025/11/5
作文検定の理論――森林プロジェクトの勉強の目標は作文検定で as/2492.html
森川林 2015/12/12 11:47 


 作文の客観的評価というものは、難しいものです。
 人によって評価が違うことはもちろんですが、同じひとりの人が評価しても、その日の気分や、前後の作品の影響によって評価が微妙に違ってきます。

 といって、評価があてにならないわけではありません。複数の人が評価しても、大体同じようなところに落ち着くからです。上手な作文とそうでない作文に関する、おおまかな合意はありますが、それを厳密に客観的評価として打ち出すことはできないということなのです。

 言葉の森は、この評価の仕組みを当初から考えていました。
 そして、その評価の方法として、二つの仕組みを考えました。
 ひとつは、項目評価と呼ばれるもので、その作文にどういう表現や内容を盛り込むかを、作文を書く前にあらかじめ指示しておくというものです。

 公立中高一貫校の作文試験問題にも、こういう形の問題があります。そこは、作文の評価についてよく考えているところです。
 これに対して、ただ題名や文章だけの課題を出しているところは、作文の評価についてあまりよく考えていない学校だと思います。

 この項目評価によって何がわかるかというと、実例となる材料の豊富さと、構成を組み立てる思考力とがわかるのです。材料の豊富さは、経験の豊富さと読書の豊富さによって成り立ちますが、同年齢の子供たちの経験はそれほど差があるわけではありません。だから、材料の豊富さは、その子の読書経験の豊富さと比例していると言ってもよいのです。

 構成を組み立てる思考力というものは、学校のテストなどではあまり評価の対象にならないので、その子の思考力がどのくらいかということはよくわからないものです。
 しかし、例えば、大人と話していて話がよく通じる子と、あまり通じないので大人の方が子供に合わせて話をしなければならい子とがいます。この話の通じやすさが思考力です。

 言い換えると、作文の中で、理由や方法や実例や原因などという言葉で表せる内容を説明できる力が思考力です。だから、大人が子供に対して、「それはどうして?」とか、「例えばどんなこと?」とか、「どうしたらいいと思う?」などと聞いたときに、自分なりに考えて答えることができれば、それは思考力があるということです。

 この項目評価だけでも、ある程度の客観評価はできますが、あるレベル以上の作文になると、項目評価だけでは不十分になります。
 例えば、「たとえを入れて書く」という項目の場合、低学年ではこのたとえを入れることができるかどうかで、その子の表現力がわかりますが、高学年の生徒では誰でもそれなりにたとえを入れられるようになるので、この評価だけでは差が出ません。

 しかし、同じたとえでも、ありきたりのたとえしか書かない子と、自分なりに工夫したとえを書く子との違いがあります。
 この違いを評価する方法が、森リン点による評価です。

 森リンというのは、言葉の森が開発した作文の自動採点ソフトです。
 このソフトが何を評価しているかというと、主に、その文章の中の語彙の多様性です。それ以外に、語彙の難易度や、語彙の性質も評価していますが、中心になるのはどれくらい多様な語彙が使われているかということです。
 すると、同じたとえでも、ありきたりのたとえの場合は多様性が低くなり、ユニークなたとえの場合は多様性が高くなるという傾向があるのです。

 受験作文コースの作文を見ると、共通する弱点として、同じ言い回しの表現を使いすぎるということがあります。それは、作文に書く内容が、その学年の生徒にとっては難しいので、それに合う語彙が不足しているためにどうしても同じような感想や説明を何度も書くことになるからです。

 これらの作文を人間が見たときにどう感じるかというと、同じ言い回しが多い文章は密度が薄く感じられ、いろいろな言い回しが使われている文章は密度が濃いと感じられるのです。
 しかし、この密度の濃さというものは、人間の主観ですから数値では表せません。ところが、森リンの評価にかけると、それが多様性の点数の差として出てくるのです。

 作文検定は、このように、項目評価の点数と森リン評価の点数によって数値化されています。
 自宅で作文を書く練習をしている人は、自分の作文がどれくらいのレベルかわからないと思います。森林プロジェクトで作文指導をしている場合も、子供たちの評価に確実性を持たせたいと考えていると思います。
 そういうときに、言葉の森の作文検定を活用するといいのです。

 作文検定は、個人でも受けられます。ただし、その場合は、googleハングアウトやskypeによる作文検定試験会場との接続が必要になります。と言っても、用意するものはウェブカメラだけで、パソコンに内蔵されているものでもかまいません。
 8名以上の団体で受ける場合は、インターネットによる接続は特に必要ありません。
 詳しい案内は、作文検定のページをごらんください。
https://www.mori7.com/sakken/

この記事に関するコメント
コメントフォームへ。

同じカテゴリーの記事
同じカテゴリーの記事は、こちらをごらんください。
日本語作文検定(4) 森林プロジェクト(50) 

記事 2490番  最新の記事 <前の記事 後の記事> 2025/11/5
帰国子女や外国人のための漢字学習――まず楽しく読めるルビ付きの本から as/2490.html
森川林 2015/12/11 08:41 


 帰国子女や外国人の生徒が、日本語を勉強する際に、最も難しく感じるのが漢字だと思います。
 中国語のように、全部漢字であれば、そういうものだと納得できますが、日本語のように、表音文字として楽に読めるひらがなの間に、読めない漢字が入っていると、余計に漢字の難しさが感じられるのでしょう。

 では、この漢字への抵抗をなくすためには、どうしたらいいのでしょうか。
 以前、言葉の森に、小6から日本に来たという中国人の生徒がいました。
 その生徒は、日本語を知りませんから、日本の漢字は読めません。日本と中国では同じような漢字もあるので、意味の検討はつきますが、読み方が日本語と中国語では違うのです。

 その生徒は、しばらくの間、絵本のようなひらがなばかりの日本語の本と、漢字ばかりの中国語の本を読んでいました。
 そこで、勉強法として、入試問題レベルのかなり難しい文章を約1500字程度、全部ルビを振って、毎日音読するようにしたのです。
 時間としてはわずか数分です。しかも、すべての漢字にルビがふってあるので、音読だけは楽にできます。
 そういう勉強を続けているうちに、自然に日本語の漢字の入っている本も読めるようになったのです。

 湯川秀樹は、6歳のころから、祖父に教えられて論語を素読するという練習をさせられました。
 そのときは、意味不明の言葉をただ声を出して読むだけですから苦痛だったようですが、学校に上がってみると、どんな本でも楽に読めるということに気がついたそうです。

 よく、子供に音読をさせているお母さん方の中に、ただ読めるだけではだめで意味も知らなければ勉強にならないと考えている人がいますが、これは実は逆です。
 意味はわからなくていいから、ただ読めるだけで充分なのです。

 百人一首の連続暗唱を指導していた杉田久信さんも、同じようなことを書いていました。
 小学生の子供に、百人一首を暗唱させると、意味のわからない言葉がたくさん出てきます。
 しかし、子供たちは暗唱に慣れているうちに、自然にその言葉の見当をつけているので、やがて自分で意味を確認したときに、その意味がすぐにしっかり身につくというのです。

 漢字は、読めないから難しく感じるのであって、読めれば、つまりふりがなが振ってあれば、わかった気になって読めるのです。
 そして、わかった気で何度も読んでいると、自然に確かめたい気持ちがわいてきて、近くにいる人に、その漢字の意味を聞くようになります。

 ここで、漢字の意味を聞かれたお母さんが、「自分で辞書を引いて調べなさい」というのはよくありません。その場で自分が知っている範囲で簡単に答えてあげるといいのです。
 今は、パソコンやスマホですぐに意味が調べられる時代ですから、読めれば簡単に意味もわかるようになります。

 したがって、苦手な漢字の勉強法で最もやりやすいのは、すべての漢字にルビの振ってある本を読むことです。
 講談社の青い鳥文庫のシリーズは、どの本もすべてルビが振ってあるのでおすすめです。
 また、ロールプレイングゲームの解説本などで、やはりすべての漢字にルビが振ってあるものがよくあります。
 こういう本で楽しいものを読んでいれば、自然に漢字の読みができるようになります。

 もうひとつは、先ほど挙げた例のように、全部ルビの振ってある長文を毎日音読することです。
 これからの時代は、漢字の読みさえできていれば、書きはパソコンの変換で充分にできます。
 試験では書き取りの問題が出ますが、実生活では、書き取りはもうほとんど不要な時代になっています。
 だから、漢字の勉強は、読みも、書きも、書き順も、部首の名前もと、すべてを漢検対応のようにやろうとするのではなく、ただ読みさえしっかりできればいいと割り切ってルビ付きの読書を中心勉強していくといいのです。

この記事に関するコメント
コメントフォームへ。

touko 20161013 77 
日本語を教える立場として、なるほどなぁと、とても参考になりました。

ROSS 20161014  
まさに、漢字教えてます。幸い日本語会話はできるので、読めれば意味わかります。進んでいけば、同じ発音の漢字があるので・・

森川林 20161014  
ROSSさん、こんにちは。
やはり、漢字をおぼえるのがいちばんたいへんですよね。
がんばってください。

同じカテゴリーの記事
同じカテゴリーの記事は、こちらをごらんください。
外国人と日本語(4) 帰国子女(12) 漢字(17) 
コメント281~290件
……前のコメント
兄弟で作文を書 シナモロ
参考になりました 7/15
記事 1880番
頭括型の書き方 乙女
わかりやすかった 7/13
記事 1352番
公立中高一貫校 森川林
受験勉強は答えのある世界ですから、答えを見るというのがいちば 6/28
記事 4487番
公立中高一貫校 kana
初めて質問させていただきます。 先に答えを見る勉強法は、国 6/28
記事 4487番
日本の作文教育 森川林
 これまでの作文指導でわかったことは、作文の通信教育には、も 6/27
記事 4490番
web3.0時 森川林
 web3.0時代の教育とは、勉強ができるのはもちろんいいこ 6/24
記事 4489番
公立中高一貫校 森川林
 公立中高一貫校に限らず、受験勉強には共通する勉強法がありま 6/22
記事 4487番
作文と国語読解 nane
 親の前で音読するのを嫌がるのは、これまで音読を注意していた 6/19
記事 4485番
作文と国語読解 森川林
 作文が苦手なら、まず国語読解、それから作文です。  作文 6/19
記事 4485番
作文が書けない 森川林
 作文を書けない子が増えています。  しかし、それは作文が 6/18
記事 4484番
……次のコメント

掲示板の記事1~10件
画像送信テスト 森川林
回回回 11/2
森川林日記
Thunder 森川林
https://www.thunderbird.net/ja 10/29
森川林日記
この忙しいとき 森川林
この忙しいときに、というかいつも忙しいけど、今は特にというと 10/28
森川林日記
もう二度とGm 森川林
 Gmailが突然、大量のPOP3は受信できないようにした。 10/28
森川林日記
2025年10 森川林
△ミズヒキグサ ●紙ベースの勉強が基本。デジタルの 10/22
森の掲示板
3I/Atla 森川林
それは、いい結果になるだろう。 10/2
森川林日記
SDGsとかL 森川林
SDGsとかLGBTQとかいう新しい言葉を使う人は、考えの浅 9/27
森川林日記
千葉県立千葉中 森川林
受験生に点数の差をつけるためだけのテスト。 横浜市立南 9/25
森川林日記
2025年9月 森川林
●家庭学習の習慣を  小学生のうちから家庭学習 9/22
森の掲示板
OCRのオシロ 森川林
今からOCRのオシロンの作り直し。 これまでgoogl 9/20
森川林日記

RSS
RSSフィード

QRコード


小・中・高生の作文
小・中・高生の作文

主な記事リンク
主な記事リンク

通学できる作文教室
森林プロジェクトの
作文教室


リンク集
できた君の算数クラブ
代表プロフィール
Zoomサインイン






小学生、中学生、高校生の作文
小学1年生の作文(9) 小学2年生の作文(38) 小学3年生の作文(22) 小学4年生の作文(55)
小学5年生の作文(100) 小学6年生の作文(281) 中学1年生の作文(174) 中学2年生の作文(100)
中学3年生の作文(71) 高校1年生の作文(68) 高校2年生の作文(30) 高校3年生の作文(8)
手書きの作文と講評はここには掲載していません。続きは「作文の丘から」をごらんください。

主な記事リンク
 言葉の森がこれまでに掲載した主な記事のリンクです。
●小1から始める作文と読書
●本当の国語力は作文でつく
●志望校別の受験作文対策

●作文講師の資格を取るには
●国語の勉強法
●父母の声(1)

●学年別作文読書感想文の書き方
●受験作文コース(言葉の森新聞の記事より)
●国語の勉強法(言葉の森新聞の記事より)

●中学受験作文の解説集
●高校受験作文の解説集
●大学受験作文の解説集

●小1からの作文で親子の対話
●絵で見る言葉の森の勉強
●小学1年生の作文

●読書感想文の書き方
●作文教室 比較のための10の基準
●国語力読解力をつける作文の勉強法

●小1から始める楽しい作文――成績をよくするよりも頭をよくすることが勉強の基本
●中学受験国語対策
●父母の声(2)

●最も大事な子供時代の教育――どこに費用と時間をかけるか
●入試の作文・小論文対策
●父母の声(3)

●公立中高一貫校の作文合格対策
●電話通信だから密度濃い作文指導
●作文通信講座の比較―通学教室より続けやすい言葉の森の作文通信

●子や孫に教えられる作文講師資格
●作文教室、比較のための7つの基準
●国語力は低学年の勉強法で決まる

●言葉の森の作文で全教科の学力も
●帰国子女の日本語学習は作文から
●いろいろな質問に答えて

●大切なのは国語力 小学1年生からスタートできる作文と国語の通信教育
●作文教室言葉の森の批評記事を読んで
●父母の声

●言葉の森のオンライン教育関連記事
●作文の通信教育の教材比較 その1
●作文の勉強は毎週やることで力がつく

●国語力をつけるなら読解と作文の学習で
●中高一貫校の作文試験に対応
●作文の通信教育の教材比較 その2

●200字作文の受験作文対策
●受験作文コースの保護者アンケート
●森リンで10人中9人が作文力アップ

●コロナ休校対応 午前中クラス
●国語読解クラスの無料体験学習